「恋するジュエリーデザイナー」水上ルイ・著 イラスト・吹山りこ 幻冬舎ルチル文庫
2008年6月20日初版 226ページ 514円+税
リーフノベルズから出ていたものの新装版です。書き下ろしは10ページ。
ストーリーは・・・
篠原晶也は宝飾品メーカー「ガヴァエッリ」の日本支社のデザイナー。デザイナー室の上司でイタリア本社からやってきた黒川雅樹に憧れている。ある日、本社の副社長でグループの御曹司・アントニオが来日。デザイナー室存続に関わる課題が出される。そんな中、晶也は黒川から突然キスをされ…!?ジュエリーデザイナーシリーズ、待望の文庫化。
●水上スタイルの原点がここに
「僕は、篠原晶也」(P7)
「俺は、黒川雅樹」(P10)
ってな感じで、受けと攻めの視点が交互に描かれるおなじみの水上スタイルです。
著者紹介のところを見ると、水上先生はもともとジュエリーデザイナーだそうで、職業の部分は実体験をもとにしたリアリティのある宝飾業界の物語なのかと期待に胸を膨らませてページを捲ったのですが・・・。
主人公・晶也と雅樹の勤める会社はイタリア法人の日本支社だったのだが、日本支社のデザイン部門を廃止するとの方針が親会社から出る。
晶也と雅樹は部門の存続をかけて、本社が買い付けた巨大なルビーのデザインを提案して、日本支社のデザイン部門の実力を示そうとします。
結局、誰のデザインも採用はされなかったものの、そのルビーのデザインとしては不採用で、他の石のデザインとして全員採用され、デザイン部門は存続が決定してハッピーエンドを迎えます。
仕事の部分が思ったよりもずっと少なくて、延々↓のようなこっぱずかしい水上節が炸裂しています。
「『・・・キミを愛している』
耳元の囁きで、我に返る。
男が男に、こんなことを言うわけがない。
そう。男にキスするわけだってないじゃないか。
もしかして、これって冗談?彼は間抜けな僕をからかっている?
じゃあ、それで、こんな風に感じてしまった僕って、一体・・・・・・?
身じろぎした僕を、逃さないとでも言うように、彼の腕がさらにしめつける。」
(P56より)
「彼の唇が、僕の唇にそっと重なる。それだけで、僕はもう何もかも忘れてしまいそう。
ああ・・・・・・僕の恋人は、ハンサムで、獰猛で、そしてこんなにもセクシーなんだ」(P221)
↑こっぱずかしいというか、一昔前のBLっぽいと言ったほうがいいのでしょうか。
とにかく私はちょっとついていけません。
で、この話の軸の一つに、「巨大ルビーのデザインを完成させる」ってのがあると思うのです。少なくともデザイン部門のメンバーはこれに向けてがんばるわけじゃないですか。
だったら、どういうデザインが出来上がったのか見たいのが人情というものだと思うのですよ。特に水上先生がジュエリーデザイナーであったのなら、説得力のあるデザインが出来るのではないか・・・と期待していたのですが・・・。
イラストはおろか、文章にも殆んど登場しませんでした。
いったいどんなデザインが完成して、イタリア支社が、閉鎖命令を撤回したのか。説得力のかけらもありません。そのあたりはちゃんと描写してほしかったように思います。特に、BL小説はイラストがつきものなので、イラストでもちゃんと描いてほしかったと思います。
あと、「晶也」を「あきや」と呼ぶ人物が居たり(雅樹だけでなく)、雅樹は「あきや」と「晶也」が混在していたりで、何なのでしょう。甘ったるい場面だけ「あきや」ってわけではなかったですし。
2008年6月20日初版 226ページ 514円+税
リーフノベルズから出ていたものの新装版です。書き下ろしは10ページ。
ストーリーは・・・
篠原晶也は宝飾品メーカー「ガヴァエッリ」の日本支社のデザイナー。デザイナー室の上司でイタリア本社からやってきた黒川雅樹に憧れている。ある日、本社の副社長でグループの御曹司・アントニオが来日。デザイナー室存続に関わる課題が出される。そんな中、晶也は黒川から突然キスをされ…!?ジュエリーデザイナーシリーズ、待望の文庫化。
●水上スタイルの原点がここに
「僕は、篠原晶也」(P7)
「俺は、黒川雅樹」(P10)
ってな感じで、受けと攻めの視点が交互に描かれるおなじみの水上スタイルです。
著者紹介のところを見ると、水上先生はもともとジュエリーデザイナーだそうで、職業の部分は実体験をもとにしたリアリティのある宝飾業界の物語なのかと期待に胸を膨らませてページを捲ったのですが・・・。
主人公・晶也と雅樹の勤める会社はイタリア法人の日本支社だったのだが、日本支社のデザイン部門を廃止するとの方針が親会社から出る。
晶也と雅樹は部門の存続をかけて、本社が買い付けた巨大なルビーのデザインを提案して、日本支社のデザイン部門の実力を示そうとします。
結局、誰のデザインも採用はされなかったものの、そのルビーのデザインとしては不採用で、他の石のデザインとして全員採用され、デザイン部門は存続が決定してハッピーエンドを迎えます。
仕事の部分が思ったよりもずっと少なくて、延々↓のようなこっぱずかしい水上節が炸裂しています。
「『・・・キミを愛している』
耳元の囁きで、我に返る。
男が男に、こんなことを言うわけがない。
そう。男にキスするわけだってないじゃないか。
もしかして、これって冗談?彼は間抜けな僕をからかっている?
じゃあ、それで、こんな風に感じてしまった僕って、一体・・・・・・?
身じろぎした僕を、逃さないとでも言うように、彼の腕がさらにしめつける。」
(P56より)
「彼の唇が、僕の唇にそっと重なる。それだけで、僕はもう何もかも忘れてしまいそう。
ああ・・・・・・僕の恋人は、ハンサムで、獰猛で、そしてこんなにもセクシーなんだ」(P221)
↑こっぱずかしいというか、一昔前のBLっぽいと言ったほうがいいのでしょうか。
とにかく私はちょっとついていけません。
で、この話の軸の一つに、「巨大ルビーのデザインを完成させる」ってのがあると思うのです。少なくともデザイン部門のメンバーはこれに向けてがんばるわけじゃないですか。
だったら、どういうデザインが出来上がったのか見たいのが人情というものだと思うのですよ。特に水上先生がジュエリーデザイナーであったのなら、説得力のあるデザインが出来るのではないか・・・と期待していたのですが・・・。
イラストはおろか、文章にも殆んど登場しませんでした。
いったいどんなデザインが完成して、イタリア支社が、閉鎖命令を撤回したのか。説得力のかけらもありません。そのあたりはちゃんと描写してほしかったように思います。特に、BL小説はイラストがつきものなので、イラストでもちゃんと描いてほしかったと思います。
あと、「晶也」を「あきや」と呼ぶ人物が居たり(雅樹だけでなく)、雅樹は「あきや」と「晶也」が混在していたりで、何なのでしょう。甘ったるい場面だけ「あきや」ってわけではなかったですし。