ペコリーノのBL読書日記

BLスキーのペコリーノのBL読書日記。素人の感想&個人的な覚書です。100%自分向けのためネタバレ全開です。

「硝子の檻の虜囚」森住凪・著 イラスト・みささぎ楓李 イーストプレス AZ NOVELS

2007-10-14 20:42:08 | ボーイズラブ小説
「硝子の檻の虜囚」森住凪・著 イラスト・みささぎ楓李 イーストプレス AZ NOVELS
 2007年6月20日初版 228ページ 850円+税

 本屋に行ったら AZ NOVELSのフェアをやっていて、1冊買ったら番外編の載っている小冊子をくれるという。「タダのプレゼント」によわいオバサンなので、一冊買うことに。対象商品を見てみると、全てに「お前を束縛(しばり)たい・・・!」とい帯がしてありました。さて、どれを買おうかと悩んだのですが、私が好きな作家さんの本はなく、どれを取っても作者には「初めまして」状態。
 裏表紙のあらすじを読むと「ヤクザ」「ヤクザ」「ヤクザ」「マフィア」「アラブ」「アラブ」「アラブ」と、私の嫌いなものばかり・・・。5分ほど悩んだ挙句、手にとったのがこの「硝子の檻の虜囚」。表紙は攻めっぽい眼鏡キャラと、死んだような顔の受けっぽいキャラ。なんだか食指の動かないイラストだこと・・・と思いながら、レジへ。
 レジで渡された小冊子は「萌えアイテムでイって」というタイトルでござんした。

 さて、森住凪先生の本、初めての購入。
 アマゾンで調べると、この本で6冊目のリリースの模様。
 200冊リリースの大台がいるBL小説の世界では、まだまだ新人の部類にはいるのかもしれません。

 ストーリーは、一言であらわすなら「監禁・調教モノ」です。
 裏表紙のあらすじから抜粋すると「不慮の死を遂げた県会議員の一人息子だった実紀は、父親の政敵である高野に引き取られることを拒み、密かに家を出る。それから2年。かつて兄のように慕っていた父の元秘書、宏晃と最愛するが。宏晃に捕らえられた実紀はマンションの一室に監禁され、ヤクザ組長への貢物としてありとあらゆる調教を施されるのだったが・・・。キチク★眼鏡攻め★ハードエロス書き下ろし」だそうです。一部はしょりましたが★は忠実に再現させていただきました。

 さて、この手の調教モノ、本当に沢山、数が出ています。
 んでもって、ゴールは見えてるんですよね。調教されても結局、相手(この場合はヤクザの組長)には引き取られず、大体、調教師とくっつくんです。
 調教している間に愛が芽生えて「お前を渡したくない!」となるか、最初から調教師は渡す意思がなく「最初か俺のモノにするつもりだった」なのか。
 
 なので、この手の話で私の読むポイントは絞られている。
1)裏表紙のあらすじにある「ありとあらゆる調教」の部分でこれまでの調教モノと比べて新鮮味はあるか。
2)攻めと受けが恋愛関係になるまでの描写(主に心理描写)に新鮮味はあるか。

 山藍紫姫子先生をはじめ、濃いエロの調教モノはいくらでもあります。
 歴代の諸先生方が挑まれたテーマを、森住先生はどう料理されたのでしょうか。その結果や如何に??

 結論から言うと、森住先生の本を読むのはこれが最後だろうなぁ・・・と。
 そもそも大御所と比べるなと言われるのかもしれないけど、なんというのか、下手です。はっきり言って。
 
 一番の欠点は、話に盛り上がりがないところです。
 受けの実紀は、父親の秘書で兄と慕っていた宏晃に裏切られ、騙されて監禁される。「あなたを犯すんです。いつでも私のために脚を開く、性奴隷にしてさしあげます」と言われ、調教開始。
 で、調教が進む訳ですが、ページ数使ってる割には進みがのろいというか。それなのにあっさりしていて、調教物に必要なネチネチ感がないんですよね。
 でもまぁ、一番の圧巻(悪い意味で)は、実紀がヤクザの親分に引き渡される日、実紀は親分のところに連れて行かれる~と車に乗せられるのですが、到着したのが宏晃のワンルームマンション。「全て終わりました。安心してください」と言われる。
 途中、実紀奪還のためにドンパチせい!とは言いませんが、あまりにも呆気なくて、見せ場が全くないんですよ。ドンパチしなくても、ヤクザの親分や、実紀の亡き父親の敵の前でタンカ切るくらいのことをしてもよかったんではないかと。
 
 見せ場がないってのは、調教シーンにも言えていて、やはり、調教も、最初チョロチョロ中パッパ、赤子泣いても蓋取るな、じゃないですけど、メリハリが必要だと思うんですよね。それがない。どれも同じトーンで書いてるから、かったるい。いや・・・はっきり言います。つまんないです、この本。

 180ページ過ぎから、実紀の父親の死の真相とか、全てのことを宏晃がセリフで説明して終り。

 そもそも後書きで「今回の本は初眼鏡です」なんて書いている時点で、どの程度か推し量れると思います。眼鏡キャラを出せばいいってもんじゃないでしょうに。
 
 調教物で、特に、性の経験がなかった受けが調教される場合、変わっていく自分の身体への複雑な思いとか、密室で調教師とだけ過ごすわけだから、よくも悪くも調教師への「思い」ってのがあると思うんですよね。
 そういう心理描写って、この手の作品の見せ場の一つだと思うのですが、この作品には殆んどなくて、いったい森住先生は何を書きたかったんでしょう?
 単に、調教されてヒィヒィ&最後はラブって・・・なんつーのか、適当な萌え設定をつくって、適当な筋をたてて、でも、『ドラマ』がない作品でした。・・・筋が本当にあるかっていったら微妙なんだけれども、この程度の筆力で6冊も本を出せるって・・・。BL界は本当に人材不足なんだと実感した作品でした。

 イラストことを悪く書きましたが、そもそも、この話には人物描写が殆んどないのです。宏晃は実紀のことを「キレイだ」って言うのですが、まんま「キレイだ」なんですよ。他のキャラも実紀を見て「キレイだ」。どう「キレイ」なのかわかりません。これじゃ、イラストレーターさんも苦労したんじゃないかと思います

 ちなみにAZ NOVELSのフェアは対象24作品で、配布小冊子の種類は6種類。冊子1つに4つの作品の番外編が所収されています。


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