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エロモナス:健 康 魚 と病 魚 との 腸 内 細 菌 叢 の比 較, 相 違 に つ い て

2017-04-12 03:59:48 | 免疫・疾病

「Comparison of Intestinal Microflora between Healthy and Diseased Pond-cultured」Eels Kinya KANAI, Hisatsugu WAKABAYASHI and Syuzo EGUSA Dept. Fish., Fac. Agr., Univ. of Tokyo, Bunkyo-ku, Tokyo, Japan (Received September 3, 1977)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsfp1966/12/3/12_3_199/_pdf

40年も前の論文ですが、とても面白い内容だったので、取り上げてみました。

「養殖ウナギの腸内細菌叢の比較・・・」この時点でこのブログを見ていただいてる方はサッと逃げられるかと思いますが、

こういう話を書いているということは、我が家のグッピーをお見せできるような段階ではないということで、ご了承いただきたいです。

この論文の興味深い点は、普段ウナギの腸管内に住んでいる運動性エロモナス(A.hydrophila)が、何故病原性を発現させるのか。それについて書かれている論文です。

著者は健康ウナギの腸内細菌叢のおおまかな季節変動とその時々にみられた病魚の腸内細菌叢を調べ両者を比較しています。

また、A.hydrophilaについて病原性試験を行っており、強毒株、弱毒株、無毒株を区別しています。

結果として、病魚の腸内細菌数は餌を摂取していないにも関わらず、健康魚と比較して明らかに多く、このことは腸の粘膜上皮いおいて細菌が増殖していることを示唆しています。

・実際に病魚の腸管を開いていみると粘液の異常分泌やカタル性炎症(粘膜の滲出性炎症)のみられる場合が多かった。

・今回の調査では病気の種類に特有の細菌叢は認められなかったが、全体的にAeromonasが増加していることは興味深いです。

・腸管内のAeromonasの増加は何らかの原因による腸管内の異常をきっかけに起こり、強毒性のAeromonasの選択的な異常増殖が腸管の病変をさらに激しいものにすると考えられたようです。

→これらの現象はグッピーでも起きているかもしれませんね。

 


グッピーの疾病:治験

2017-04-10 04:01:00 | 免疫・疾病

・はじめに

グッピーを他所から同一の水槽に混ぜたときに発症することがある通称”水あたり”。

鰓を閉じて、腰を振るような運動を呈し、その後回復するものもいれば、症状が進行し尾ビレの脱落を生じたり、最悪の場合斃死することもあります。

非感染性や感染性でも寄生虫・抗酸菌を含めた細菌類・ウイルスなど種々の原因があると考えられています。

本症状は他所からの導入時や、別々の水槽から合わせた際に起こるなど、ある一定のストレス状態がかかる条件時に発症することが認められています。

これらの問題は、結果的にグッピー飼育者の頭を悩ませる問題の一つとなっており、飼育者数が増えない要因の一つであるとも考えられます。

zuzuさんのアドバイスを受けて、今回は既知の報告を基に種を特定できないまでも原因が「細菌性」であると仮定して、

細菌性の中でも特に「嫌気性菌」が症状に関わっているかどうかを調べました。


・材料と方法 

使用した抗生剤は特筆して嫌気性菌に有効であり、尚且つ菌が耐性化するまでにプロセスを経ないと耐性化できないものを使い、

投与量は海外のエビデンスを基に浸漬法で行いました。使用済の飼育水は液体塩素系漂白剤を用いて殺菌後に処理しました。

試験方法は症状を発症していない、①外産×国産、②外産×外産、③国産×国産の組み合わせを計3群、コントロールとして処置をしない④国産×国産を無作為的に抽出し、3Lプラケースへそれぞれ混泳させ、塩は使用しませんでした。

水換えは毎日90%行い、その都度①~③グループは用意した抗生剤入り水を追加しました。

④の無処置群は抗生剤が入っていない水を追加しました。

5日間、①~③グループは嫌気性菌をターゲットとした抗生剤添加水による水換えを100%行った後、残りの5日間で抗生剤が入っていない水を50%ずつ水換えしました。

そして試験期間中および試験期間後の状態を観察しました。

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・結果

嫌気性菌をターゲットとした抗生剤投与群は試験期間中に3/3群で症状を呈することはありませんでした。

④の無処置群は5日後に軽度の”水あたり”症状を認めました。


・考察

”水あたり”を発症する要因はpHショックなど非感染性と、幅広い種の感染による感染性に大別できると考え、

感染性では原因の一つとして嫌気性菌が関与している可能性が結果より示唆されました。

今後はより試験数を増やすことで統計的に有意か否かを判断すると共に、感染性における非細菌感染を含めて効果的な方法を模索していきたいと考えています。

また、症状を生じなかった①~③の処置群に非処置群の個体を投入することで、症状を発症するか否か追加で試験していきたいと考えています。


・最後に

薬は使い方を誤ると治療効果がなくなるばかりか、副作用や耐性菌の出現などによりかえって魚に害を及ぼします。また、薬による環境汚染を引き起こさないように注意し正しく薬を使用していく必要があります。

魚病の予防には、適正な飼育密度を守るほか給餌や水質管理など日頃の飼育管理が重要です。もし投薬が必要になっても、必要最小限の使用にとどめ、安易に薬に頼ることのないようにしましょう。

(尚、一部の薬品の場合、国内では獣医師による処方が必要なこともあります。どうぞご注意ください)

 


魚病とターゲット抗生剤

2017-03-30 09:43:30 | 免疫・疾病

前回、グッピーに病原性を持つ細菌類の報告からさらに細かくやっていきたいと思います。

グッピーに病原性を有する代表5つの菌

Aeromonas hydrophila :グラム陰性通性嫌気性菌セフェム系(第三世代)、キノロン系

Vibrio cholerae :グラム陰性通性嫌気性菌マクロライド系(アジスロマイシン)、セフェム系(第三世代)、キノロン系、テトラサイクリン系(ドキシサイクリン)

・Flavobacterium:グラム陰性偏性嫌気性菌:有意ではないが、×ゲンタマイシン、×アンピシリン、×バンコマイシン、×ネオマイシン、×カルベニシリン、×オレアンドマイシン、×エリスロマイシン、×ストレプトマイシン、×リンコマイシン、×テトラサイクリン、×ノボビオシン、×ペニシリン、×クロラムフェニコールなどの多くの抗生剤に対して耐性を持つ。Hyun Mi Jin, Ji Young Jung, and Che Ok Jeon 「Antibiotic resistances of Flavobacterium species」 Department of Life Science Koreaより引用

○オキシテトラサイクリンの有効性 ttp://www.aces.edu/dept/fisheries/aquaculture/pdf/479bfs.pdf

・Acinetobacter:グラム陰性好気性菌セフェム系(第三世代)、キノロン系、カルバペネム系

・Alcaligenes:グラム陰性好気性菌カルバペネム系


ってとこまでまとめてみました。

抗生剤特に病原性を有する嫌気性菌に対する治療アプローチが肝要かと思います。


当たるという現象について少しでもエビデンスを

2017-03-18 07:23:41 | 免疫・疾病

文献を見ていて参考になるものがありましたので、少しだけ詳しく加筆しました!

たまに起こる”あたる”という現象。

私的にはこれらの現象は致死性の高いもの(Flavobacterium columnare)を除き、原因(ウイルス?浮遊細菌?腸内細菌?真菌?)に対する一連の免疫応答の一種であると考えています。

2012年の研究報告でグッピーの皮膚、鰓、消化管からは、46の分離株が得られたとの報告があり、そのうち感染性を有しているものは5つ認められたとありました。(Aeromonas hydrophila 1739、Vibrio cholerae 3906、Flavobacterium2495、Acinetobacter 1271およびAlcaligenes 1424)また対抗する菌株も認められた。との報告があります。←「グッピー専用プレ・プロバイオティクスに期待できる。」

これらの細菌は普段は不顕性感染。つまり悪さをしようとしても、体内外のバリア機能により未然に防いでいる状態です。

しかし、ストレス刺激を受けることで体内でコルチゾルが分泌され、白血球の貪食機能低下や各種サイトカンの放出を抑制し、

結果として発症に至ると考えられます。

「ストレスから易感染性になる」という過程以外に、感染と免疫関係の報告では、

「Flavobacterium columnare の実験感染がウナギの IgM 産生能に及ぼす影響について検討した結果,血清総 IgM 量,血清総タンパク質量に占める血清総 IgM 量の割合および IgM 産生細胞数が有意に減少した。」平薮栄治氏・間野伸宏氏・内田大介氏・鈴木隆志氏・廣瀬一美氏(2000)「Flavobacterium columnare の実験感染がウナギの IgM 産生能に及ぼす影響」日本魚病学会.

との報告もあるので、 グッピーにおいても本細菌に罹患した場合はIgM 産生能が低下し、免疫機能が減弱していることが考えられます。

原因はいずれのものにせよ、最低限必要なことは如何に個体のストレスを軽減させ、個体の免疫能を増大させるかかと思います。

ゲルフードなど経口投与に適したフードもあることですし、より個体の免疫能を上げる栄養学的アプローチも検討したいと考えています。

これらの現象の仮定に共感して頂いて、協力して頂ける心強い方がいればと思います。

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魚類において、ウイルス疾患に限定してキャリア化するだろうと考えられるウイルスを列挙します。

・ヘルペスウイルスによるコイヘルペスウイルス

・ノダウイルスによるウイルス性神経壊死症(Viral Nervous Necrosis: VNN)

が挙げられる。

P.reticulataで過去に報告されているものはシンガポールで発見されたノダウイルスでグッピー稚魚における不顕性感染。

Hegde, A., Teh, H., Lam, T. et al. Arch Virol (2003) 148: 575. 「Nodavirus infection in freshwater ornamental fish, guppy, Poicelia reticulata – comparative characterization and pathogenicity studies」

ヘルペスウイルスは種特異性が高いウイルスの一つですが、P.reticulataの報告はありませんでした。

細菌についての報告

「Screening of potential aquatic probiotics from the major microflora of guppies (Poecilia reticulata)」

グッピー皮膚、鰓、腸および腸から46の細菌分離株を得た。上記単離株のうち、Aeromonas hydrophila 1739、Vibrio cholerae 3906、Flavobacterium2495、Acinetobacter 1271およびAlcaligenes 1424は病原性を有す細菌属である。またグッピーから得られた分離株のうち、2つはグラム陽性球菌であり、すなわちMBTU-PB2およびMBTU-PB3であり、 ブドウ球菌(Staphylococcus)属に属する。他の2つは属のグラム陰性桿菌、すなわちMBTU-PB1とMBTU-PB4あったエンテロバクターおよびアシネトバクターそれぞれ。これらの分離株の基本的なプロバイオティクス特性、例えばバクテリオシン様阻害物質(BLIS)の産生、抗生物質感受性および増殖プロファイルもまた決定された。上記の4つの分離株は、5つの指標株と異なる拮抗作用を示した。Balakrishna、A.&Keerthi、TR Front。Chem。Sci。Eng。(2012)6:163. doi:10.1007 / s11705-012-1283-4

https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11705-012-1283-4?LI=true



グッピーの母子免疫

2017-03-15 06:18:01 | 免疫・疾病

http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010351109.pdf

高橋 幸則氏
河原 栄二郎氏が1987年に日本水産学会誌に投稿した文献が興味深かったので、取り上げてみました。

卵胎生魚グッピーの母子免疫

について、個人的に興味深かったので取り上げたい。

この実験ではAeromonas Hydorophilaの抗原性のみ残したホルマリン死菌液を接種したところ、

親魚にも抗体ができただけでなく、生まれてきた子供にも経路は不明だが、抗体が認められた。

という報告である。

 免疫親魚が抗原を接種した後に暴露されてから、生まれた仔魚の移行抗体は産まれて1週間で半減し、

その後も徐々に低下していった。

卵胎生魚のにおける親から子供への移行経路は不明である。

また、グッピーの胎仔におめる栄養物質の取り込み気候は不明であるが、受精卵は卵巣内で孵化、

その中で後期仔魚まで発育し生み出されることを考えると、卵巣内において栄養物質を摂取していると考えられると記載されている。

このことから、母親の抗体が卵黄へ移行し、卵黄を吸収することによって胎仔に取り込まれる経路と卵巣内で孵化した後、、生み出されるまでに、飲細胞運動によってとりこむ経路の2つが考えられた。

これは鳥類や哺乳類でみられる移行経路に類似していると推察される。

グッピーの母子免疫は1週間は担保されていることから、稚魚の疾病発症は1週間後以降に多発することが予測されるが

皆さんのところではどうでしょう。