前回、接着剤について書いたついでに、今日はちょっと有機溶剤について書いてみたいと思います。
出来上がったスピーカーを使う時にはあまり関係ないかも知れませんが、BOXの塗装などで有機溶剤系の塗料をお使いになることもあるかと思うので、お暇な方は見てください。詳しい話はネットで検索していただくとして、一般の接着剤や塗料などに含まれる有機溶剤に関連することを中心にまとめてみます。
有機溶剤とは樹脂、ゴム、塗料など水に溶けないものを溶かす有機化合物というのが定義ですが、これと違い水と油の混合物に分離を防ぐための乳化剤を加え安定させた混合物であるエマルジョンタイプというものもあります。このエマルジョンは水溶性のため非常に安全で、木工ボンドがその代表例です。最近は塗料でも水溶性タイプのものが多く見られますが、健康のことを考えるとこれらのものを使った方が安全です。ただ接着剤の場合、エマルジョンタイプは溶剤系に比べ性能が劣ることが多いため、簡単にはいかないのが現状です。
有機溶剤には沢山の種類がありますが、皆さんが日常目にされるものに使われている代表的なものは下記になります。有機溶剤の障害についてはここに詳しい表記があるので、参考にしてください。
1)エチルアルコール
薬局などで販売されている消毒用のアルコールがこれです。お酒の中でアルコール分**%とか言っているのもこれになります。一般にアルコール、エタノールとも言われています。有機溶剤といっても毒性は無く、酒と同じで致酔性がありますが、消毒用にもよく使われています。
塗料や接着剤がちょっと手に付いたのをふき取るとか、塗装前の脱脂などには非常に安全で便利に使えるので重宝します。私は先ずこれを使ってみて、どうしてもダメな時に他の溶剤を使うようにしています。酒は全く飲めないのですが、アルコールは結構使っていたりします。
アルコールで気をつけないといけないのは、同じアルコールでもメチルアルコール(メタノール)は有毒だということです。メチルは視力障害が有名で、目がちる(メチル)と覚えておくと良いでしょう。キャンプや宴会の時に使うアルコール燃料は価格の安いメチルアルコール系が多いようなので要注意です。
2)アセトン(アセトン・ケトン)
マニキュアの除光液でよく使われる溶剤で、毒性は比較的低いものです。皆さんがお使いの有機溶剤系の接着剤や塗料にもよく使われています。機会があれば、お使いのものの成分表を一度見てみてください。結構使われていることが多いものです。
3)酢酸エチル
サクエチと呼ばれ、これも以前は接着剤などでよく使われていました。毒性も比較的低く、アセトンと同程度のものです。欠点はお酢系のちょっと独特の臭いがあることで、作業者には嫌われます。
4)酢酸イソプロピル
酢酸エチルとほぼ同じクラスの毒性で、接着剤等によく使われています。
5)メチルエチルケトン
MEKもしくは2-ブタノンとも呼ばれ、揮発性が高いため非常に臭いはきつく、上記のものよりは若干毒性が強いですが、その強い臭いほどは強くないものです。これも接着剤ではよく使われています。
6)キシレン
トルエンよりは若干ましですが、かなり危険度の高い溶剤です。特に造血障害や脳障害が有名で、この障害が厄介なのは一度進行すると元には戻らないということです。そのため有機溶剤を使用する作業者は特殊検診というのをやって肝機能等をチェックするのですが、実は検査で分かっても治療は出来ないという困ったものです。キシレンが上記の溶剤と決定的に違うことは、皮膚吸収をするということです。つまりキシレンは皮膚からも体の中に入っていくので要注意です。
7)トルエン
今回紹介する溶剤のなかでは一番毒性の強いものです。、皮膚吸収をすることもキシレンと同じです。ところが揮発性が比較的低く、他の溶剤に比べると臭いもきつくないため、トルエンの方が安全だと勘違いしてこれで手についた汚れを拭いている人を時々見ますが、毒を体にすり込んでいるようで本当に怖いことです。
ちなみに皆さんがよくご存知のシンナー(英語の意味はうすめ液)には、上記のアセトンや複数の溶剤とともにこのトルエンが入っていることが結構あるので、本当に要注意です。
皆さんのなかで、市販のシンナーで手を拭いたりしたことはありませんか? 危険ですから、絶対に止めましょう! もちろん、シンナー遊びなどは論外です。
上の写真は、ホームセンターで普通に販売されている塗料や接着剤の成分表ですが、トルエンを使っているものもありますね。皆さんがお持ちのものでも、トルエン系があるかも知れませんね。
では今日はこの辺で。