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【オリジナル】ホンダジェットをair-ambulanceにいかが?

2015-04-25 10:55:41 | 航空医療

<【オリジナル】ホンダジェットをair-ambulanceにいかが?>

 この5月は千葉でエアレースがあったり、本来ならMRJが初飛行したりする航空関係のイベントが目白押しの予定です。その前に日本生まれアメリカ育ちのホンダジェットが飛来しました。エンジンを翼の上に置くという特殊な構造で、そのデザインが斬新です。

 で、マリコは、このホンダジェットをair-ambulance(患者搬送などに使う医療用航空機=空飛ぶ救急車)にいかが・・と提案します。特異な病気や緊急度の高い患者さんを地方から都会など医療システムが整った場所に搬送するのがair-ambulanceの基本的ミッションです。欧米や豪州などではポピュラーな航空機の使い方です。


 日本では医療用の航空機といえばドクターヘリですが、進出距離はせいぜい100キロ。その点、ホンダジェットはカタログ値で2150キロ。東京を中心にすれば、北は稚内、南は那覇まで進出できます。また離陸距離は800メートル程度で国内のほとんどの空港に乗り入れられます

 もちろん、他のビジネスジェットでそれ以上の性能を持つ機種はありますが、ホンダジェットのair-ambulanceの利点の「一」は、後部にクラムシエル(観音開き)ドアが設置できる可能性です。

 多くのビジネスジェットの場合、エンジンが後ろに設置されている構造上、前部のドアを改造して広くし、ストレッチャー(患者搬送用ベッド)「斜めにして入れる」スライドインと呼ばれている方式です(写真はリアジェット、プロップ機も同様です)。しかし、ホンダジェットはエンジンが翼上にあり、後部が開けば、ストレッチャーをそのまま機内に運び込めます(写真はヘリの例)

 実機を見てきた人の話だと後部にはエアコンが設置されており、そのエアコンを移動できれば可能かもしれない・・とのことです。ただ、写真を見るとエアブレーキもあり軍用輸送機のように大きくは開口部は取れない感じです。医療関係者も一緒に機内に入るということはできそうにありません。やや改造が必要かと思われます。

 しかし、サイズはパイロット2人を除いて乗客5人。ストレッチャーは2人分とるので、残り3人となり、医師と看護師、そして、他に1人(家族や必要な医療関係者、場合によっては地上支援のための整備士)でジャストサイズです。それが利点の「二」です。

 また、利点の「三」とし、てアビオニクス関係はガーミンの最新版と入れているとのことでCATⅢやRNAV対応可能と思われます(つまりエアライン並み)。この能力は重要なことで、患者搬送のほか、air-ambulanceの重要なミッションとして「移植臓器の緊急搬送」があります。移植を受ける人が待っているのに「(天候で)飛べません」あるいは「飛びましたが、降りれません」という事態を、ホンダジェットならできる限り避けられるということです。

 利点の「四」として最も重要なことがあります。それは燃費です。ホンダジェットのエンジンは米国ゼネラル・エレクトリック(GE)社との合弁で開発した「HF120」で同型機に比べて燃費効率は約17%いいとされています。

 これは進出範囲という側面と同時に、air-ambulanceのプログラム(つまり事業経営)という視点からみると、大きな進歩です。北海道でビジネス・ジェット「セスナ・サイテーション」を使ったプログラム「メディカル・ウイング」が1シーズン(年間7ヶ月程度)で2億2000万円だったそうです(ドクターヘリの年間経費は約1億8000万円程度)。総経費ベースでありドクターヘリとは「飛ばし方の違い」はありますが、経費の燃油の比率は30~40%以上を占めていると思われることから、経営に有利に働くはずです。

 日本では上記「メディカル・ウイング」が固定翼での航空医療で唯一の例となっています。ホンダジェットについて、なんか「お金持ち」と「産業」の視点しかないような報道も多いのですが、日本でもこの機材を使ったair-ambulanceのプログラムが増えれば、いいなと思い、ぶつくさ言ってみました(笑)

 


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