シャープや京セラなど国内の太陽電池メーカーが主力市場の欧州で苦戦している。
世界市場の7割を占める欧州では、中国勢の台頭などで価格下落が進むとともに経済情勢の悪化や主要国が電力の買い取り価格を引き下げた影響で、需要が減少している。
市況が厳しい薄型テレビと同じく、太陽電池も製品の均一化が進んでおり、各社は製品面や販売戦略で独自性を打ち出す必要に迫られている。
●利益が出ない
国内首位のシャープは、2011年4~12月期の太陽電池の売上高が前年同期の約8割にあたる1594億円にとどまった。
2位の京セラも、太陽電池中心の事業部門で税引き前の最終利益が72億円と約7割減少。久芳徹夫社長は「(太陽電池は)ほとんど利益の出ない状況」と厳しさを訴える。
中国メーカーなどの安値攻勢で、「欧州では単価が約4割下がった」(シャープの片山幹雄社長)。
発電設備の単価が下がると各国は電力買い取り価格を引き下げる。太陽光発電が盛んなドイツでも、12年1月から価格を約15%下げた。
一方、パナソニックの大坪文雄社長は、太陽電池事業で「きっちり利益を出せている」と話す。11年10~12月期の国内販売量は57%増と好調。
海外実績は明らかにしていないが、業界最高水準のエネルギー変換効率を誇る製品を持ち、価格下落の影響が他社より小さい模様。
収益向上に向け、シャープは太陽光発電所の保守・管理業務を手掛け、京セラは国内で蓄電池の販売を開始。サービスや関連製品を組み合わせて巻き返しを図る。
また、電力の全量買い取りを電力会社に義務付けた再生可能エネルギー特別措置法が7月に施行されるため、各社は太陽電池の販売増に繋がると期待している。
【記事引用】 「SankeiBiz/2012年2月15日(水)」