この前の続きをさらします.
ここで,ハーシュマンさんのExit-Voiceを考えて見ましょう.
まず,Exit-Voiceの考え方ですが,伊藤元重さんの「ビジネス・エコノミクス」の内容から見ていきます.
伊藤元重,「ビジネス・エコノミクス」P102~104
<引用>
</引用>
つまり,仮に会社が変なことをしているときは,従業員として,その会社で改善を訴える(もしくは,改善活動を行う)か,会社を辞めて,他へ移るかです.
実は,会社側も同様で,使えない従業員をクビにするか,教育等を行うかの選択になります.
さて,ここでExitとVoiceの内容を考えて見ましょう.
・Exit:
・退出する人は,その組織に何かを残していくという考えを持た
ない.
・退出する人が少数の場合(もしくは少数に見える場合)は,そ
の組織として何かを(例えば従業員の待遇改善など)改善しな
ければならないという意識がなかなか持たれない.
(例:どこかのお蕎麦屋さんが,コストダウンのために出前持
ちを辞めさせて,板さんが配達する.そのおかげで,料理の出
来上がりが遅くなる.常連さんは,注文しなくなるが,新しい
お客さんが注文してくれるので,売上はそんなに下がらない.
しかし,新しいお客さんがいなくなって(もしくは,その店の
評判「料理が出来るのが遅い」と言う事が,お客さんになりそ
うな人まで広がって)売上が下がる.ここでやっと板さんに改
善意識が出てくる.)
・Voice:
・告発(Voice)する人は,少なくても自分の持っている情報(改
善すべきポイント等)を組織に与えたいと思っている.
・告発する人が少数の場合でも,組織として改善意識を持つ可能
性がある.
こう考えると,退出より告発の方が有利に思えます.そして,ハーズバーグさんの動機付け衛生理論を考えると,衛生要因で退出を防いで,動機付け要因で,告発を多く導き出した方が良いように思われます.
Exit-Voiceのイメージでは,Exitをする・させることが競争,Voiceする事が協調のような感じがします.
ですが,こう考えて見るのもいいでしょう.
・Exit競争:相手をExitさせる競争.
・Voice競争:相手とVoiceを競う競争.
こう考えると両方とも競争になります.
では,協調はあるのでしょうか? 協調は,実は「分業」ではないのでしょうか.
そうすると,デミングさんの考えの,「良い競争相手」とは,顧客に対するVoice競争を行い,そのVoice競争をサポートするため「分業」してくれる相手のような気がします.
例えば自社や競争相手が属している「業界」のサポートや,業界内で使用する部品等の「標準化」のようなサポートです.
Exit競争を仕掛けてくる相手は,きっと,「競争をなくすための競争」をしたいので,その様な「分業」もしてくれないでしょう.
デミングさん曰く,「競争もシステムの一部である:あなたにいいことは,彼ら【競争相手】にもいいことだ.【逆に,「良い競争相手はあなたを助ける.」とも答えています.】」とのことです.(これは,ベンチマーキングにおける質問に対する答えなので,この話の流れに合うかどうかは判りません.)
“Does anybody give a hoot about profit?” Deming Speaks to European Executives P8より.
但し,デミングさんは,「独占は,世界に対するサービスを最大化及び,重い義務をもって行うベスト・チャンスである.」とも言っています.確かに,技術進歩や,他の外部性があるときは,ある程度の独占的な動きが必要らしいですが,すべてに必要ではないし,ビジネス特許等を考えるとどうかなぁとも思います.
技術進歩とか,外部性については,「スティグリッツ・ミクロ経済学」10章 技術進歩や,PUBLIC POLICY FOR A KNOWLEDGE ECONOMYを参照してください.(時間があるときにでも,この話をまとめます,きっと・・・)
何か,取り留めなくなってきたので,この話は,ここで終わりにします.
Exit-Voice
ここで,ハーシュマンさんのExit-Voiceを考えて見ましょう.
まず,Exit-Voiceの考え方ですが,伊藤元重さんの「ビジネス・エコノミクス」の内容から見ていきます.
伊藤元重,「ビジネス・エコノミクス」P102~104
<引用>
ある組織の中で好ましくないことが起きているとき,人々はどう対応するだろうか.たとえば,企業の中で不当な行為が行われている,あるいは経営的にまちがった行為が行われていたとき,その企業の社員はどの様な対応が可能であろうか.基本的には二つのタイプの対応が可能である.
一つは「告発(Voice)」だ.告発とは,たとえば組合を使って改革を求める.あるいは上司の所へ行って「このままではまずいのでは」と変更を訴えてもいい.ようするに組織の中で声をあげて変化を迫るのだ.
もう一つの「退出(Exit)」というのはその会社を辞めて他へ移るということだ.もっと良い場所へ移ればいい.<以下略>
</引用>
つまり,仮に会社が変なことをしているときは,従業員として,その会社で改善を訴える(もしくは,改善活動を行う)か,会社を辞めて,他へ移るかです.
実は,会社側も同様で,使えない従業員をクビにするか,教育等を行うかの選択になります.
さて,ここでExitとVoiceの内容を考えて見ましょう.
・Exit:
・退出する人は,その組織に何かを残していくという考えを持た
ない.
・退出する人が少数の場合(もしくは少数に見える場合)は,そ
の組織として何かを(例えば従業員の待遇改善など)改善しな
ければならないという意識がなかなか持たれない.
(例:どこかのお蕎麦屋さんが,コストダウンのために出前持
ちを辞めさせて,板さんが配達する.そのおかげで,料理の出
来上がりが遅くなる.常連さんは,注文しなくなるが,新しい
お客さんが注文してくれるので,売上はそんなに下がらない.
しかし,新しいお客さんがいなくなって(もしくは,その店の
評判「料理が出来るのが遅い」と言う事が,お客さんになりそ
うな人まで広がって)売上が下がる.ここでやっと板さんに改
善意識が出てくる.)
・Voice:
・告発(Voice)する人は,少なくても自分の持っている情報(改
善すべきポイント等)を組織に与えたいと思っている.
・告発する人が少数の場合でも,組織として改善意識を持つ可能
性がある.
こう考えると,退出より告発の方が有利に思えます.そして,ハーズバーグさんの動機付け衛生理論を考えると,衛生要因で退出を防いで,動機付け要因で,告発を多く導き出した方が良いように思われます.
競争と協調
Exit-Voiceのイメージでは,Exitをする・させることが競争,Voiceする事が協調のような感じがします.
ですが,こう考えて見るのもいいでしょう.
・Exit競争:相手をExitさせる競争.
・Voice競争:相手とVoiceを競う競争.
こう考えると両方とも競争になります.
では,協調はあるのでしょうか? 協調は,実は「分業」ではないのでしょうか.
そうすると,デミングさんの考えの,「良い競争相手」とは,顧客に対するVoice競争を行い,そのVoice競争をサポートするため「分業」してくれる相手のような気がします.
例えば自社や競争相手が属している「業界」のサポートや,業界内で使用する部品等の「標準化」のようなサポートです.
Exit競争を仕掛けてくる相手は,きっと,「競争をなくすための競争」をしたいので,その様な「分業」もしてくれないでしょう.
デミングさん曰く,「競争もシステムの一部である:あなたにいいことは,彼ら【競争相手】にもいいことだ.【逆に,「良い競争相手はあなたを助ける.」とも答えています.】」とのことです.(これは,ベンチマーキングにおける質問に対する答えなので,この話の流れに合うかどうかは判りません.)
“Does anybody give a hoot about profit?” Deming Speaks to European Executives P8より.
但し,デミングさんは,「独占は,世界に対するサービスを最大化及び,重い義務をもって行うベスト・チャンスである.」とも言っています.確かに,技術進歩や,他の外部性があるときは,ある程度の独占的な動きが必要らしいですが,すべてに必要ではないし,ビジネス特許等を考えるとどうかなぁとも思います.
技術進歩とか,外部性については,「スティグリッツ・ミクロ経済学」10章 技術進歩や,PUBLIC POLICY FOR A KNOWLEDGE ECONOMYを参照してください.(時間があるときにでも,この話をまとめます,きっと・・・)
何か,取り留めなくなってきたので,この話は,ここで終わりにします.
参考文献
- Dening, W. Edwards,The New Economics: for Industry, government, education -2nd ed.,1994,ISBN:0-262-54116-5
- 高橋伸夫,虚妄の成果主義 -日本型年功序列制復活のススメ,2004,ISBN:4-8222-4372-9
- DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部,動機付づける力,2005,ISBN:4-478-36081-2
- Stiglitz, E. Joseph,藪下史郎 他訳,スティグリッツ ミクロ経済学 第2版,2000,ISBN:4-492-31258-7
- THE SWISS DEMING INSTITUTE,“Does anybody give a hoot about profit?” Deming Speaks to European Executives,2000,http://www.deming.ch/downloads/deming_speech_en.pdf
- Joseph E. Stiglitz,PUBLIC POLICY FOR A KNOWLEDGE ECONOMY,1999,http://www.worldbank.org/html/extdr/extme/knowledge-economy.pdf