
盲導犬と、電車に乗ろう! ~そうだったのか! 盲導犬の“シゴト”~
(2)開催目的やポイント
今回のプログラムを実施しようと企画したきっかけは、朝日新聞で大きくとりあげられた盲導犬のユーザーの方々の声でした。街で時折、盲導犬を見かけるようになりましたが、バスに乗車して迷惑に思ったり、ユーザーが困った様子であってもそのまま通り過ぎるなど、盲導犬について正しい知識がないことで、誤解をしていたり、簡単な声かけさえできないでいます。
そこで、盲導犬のユーザーと共に行動し直接お話を伺うことで、盲導犬や視覚障害者に対する理解を深め、街で気軽に視覚障害者に声をかけられるようになれたり、視覚障害者を支えるボランティア活動への関心を高めてもらうことを目的に開催しました。
(3)当日の様子
朝9時、JR塚本駅で集合して、盲導犬ブライディーとユーザーの山本美惠子さんにお会いしました。参加者の自己紹介の後、山本さんから盲導犬の基礎知識と手引き(介助)方法について簡単にお話がありました。犬好きゆえにブライディーをなでてかわいがろうとした人がいたこともあり、「盲導犬が黄色の用具ハーネスをつけている時は、仕事中の印なので触れないこと。犬はなでられたりかわいがってもらったりすると集中力を欠いてしまう」ことを教えていただきました。
さて、いよいよ出発。数名が交代で手引きをしながら塚本駅から大阪駅経由で、環状線野田駅で行き、そこから歩いて約10分のところにある大阪NPOプラザに向いました。山本さんいわく「外に出て一番怖いのは駅のプラットフォームです。声をかけてもらえたら、とてもうれしい」とのこと。その他にも、「盲導犬は信号の色の判断はつかない」「盲導犬は道案内をするのではなく、あくまでユーザーの指示で誘導する」「交差点では止まるが、どの方向に行くのかはユーザーの指示」であることなどを学びました。
その後、2人一組になり、1人がアイマスクをつけ、もう1人が手引きをし、大阪NPOプラザ施設内の階段を上ったり下ったり、歩きまわりました。また、実際にトイレに行って、トイレ介助の方法も教えていただきました。和式や様式、便器の位置を伝えるなど、とてもシンプルな内容です。見えないことの怖さを感じる一方、適切な情報を伝えると、とてもスムーズに行動できるということを体験しました。改めて自分たちが街で視覚に障害のある人を見かけたときは、声をかけたいと多くの参加者が語ってくれました。



また、今回の手引きだけでなく、盲導犬の子犬を育てるパピーウォーカーの活動や、書籍や雑誌を音訳・朗読する活動など、視覚障害者を支える多様な活動を紹介。プログラム終了後は、盲導犬ブライディーのハーネスを外し、ふれあいのひと時を持ちました。
さらに、オプション企画として、有志のメンバーで、山本さんと一緒に昼食をいただき、食事介助の方法も教わりました。サポートに少しだけ自信が持てた1日でした。
(4)運営スタッフから一言メッセージ
「当日はボランティアをするというより、体験とお話が中心でしたので、今後の活動に本当に繋げることができるか心配でした。しかし、「振り返り」で参加者のみなさんから前向きな感想をいただき、実施してボランティアの輪が広がった感じがしました。
(5)開催基礎情報
1.開催日時
2010年11月21日(日曜日)9時-12時30分
2.開催場所
JR塚本駅、大阪NPOプラザ(福島区)
3.参加者数
12人(うち「ボラスタ」スタッフ3人)
4.登壇者名
山本美惠子さん & 盲導犬Brydie(ブライディー)
5.主催、共催
主催:大阪ボランティア協会
協力:教育福祉教育語りの会