仙丈ヶ岳で

2013-06-17 08:18:02 | 近況報告
■仙丈ヶ岳で

今年のGWは仙丈ヶ岳と甲斐駒をダブルでというのが私の希望だったのですが、夫と出かけて大変な精神的挫折を味わいました…

登山に詳しくない人のために言うと、仙丈ヶ岳なんてたった4時間の山、雪山と言ってもGWは、季節柄寒くもなく、歩くの夏より簡単です。だから甲斐駒とダブルなんですよね。

山はその人の本性を暴きます。

というのは、夏道より歩きやすいような残雪の仙丈ヶ岳で、唯一の危険といえるホワイトアウト…、その日は北アは遭難者が出たほどで、季節外れに一瞬の吹雪きがありました…まぁ30分続いたかどうかで大した時間はつづかなかったのでしたが、ちょうど小仙丈ヶ岳のピークで白くなった…

登山のオーソドックスな考え方としては、当然リスク回避です。つまり止まらないで樹林帯までさっさと歩く。吹雪に巻かれる前に、見えているうちに安全地帯まで逃げ込む。

夫に「休憩しないで歩いて」と私。ところが、彼の反応は

「僕歩けない」= 仮病

だったのです…。 

NOというメッセージを伝えるのに色々な方法がある… 

私なら「心配しないでいいから先に行って」と言っておしまいのところ。

私も大きな声を上げたのですが、それにはちゃんとした理由がありました。  

この事件は、夫の精神の弱さを象徴する出来事として、私の心に大変大きな傷跡を残しました。

彼、ほんとうにヘタレだったんだ…

本当のピンチに陥った時に、この人は頑張るのではなく、むしろ頑張らない選択をする。

ヘタレになってうずくまり、逆に頑張る人のお荷物になってしまうだろう…ってことが一瞬にして分かったのでした。

■ 頑張らない弱さ 

登山というのは、常に一番弱い人に合わせます。それぞれのメンバーが自分の力をアップさせようと頑張っていることが前提。

こんなイメージ…
                      Cさん
             Bさん     ーーー上限ーーーー
           ーーー上限ーーーー    ↑  
               ↑
   Aさん                          Dさん
ーーー上限ーーーー ☆                    ーーー上限ーーーー
   ↑           ↓                  ↑
           ーーー下限ーーーー              ↓
                        ↓      ーーー上限ーーーー
                     ーーー下限ーーーー
   ↓
―――下限―――― ★

登山では、一番弱い人に合わせますから、一番弱い人が遭難したら全員遭難です。登山中止。

一番弱い人がリスク要因なのです。けれども体力差があるのは当然なので、このリスクは頑張ることを前提で受け入れられています。

この場合だとBさんが頑張らない選択をしても、パーティ全体のレベルを押し下げることには
なりませんが、もし、AさんやCさんが頑張らない選択をすると下限は★になってしまいます。

逆にみんなが頑張る選択をすると、このパーティのレベルは☆の位置にきます。

という事情で、Aさんが頑張るということを前提にAさんの弱さと言うリスク要因は受け入れられているというのが登山をグループで(パーティで)登る時の前提です。まぁ昨今ニュースをにぎわす生活保護と同じですね…どうしても頑張ってもダメだから…が前提。わざわざサボろうと思ってもらう人が多いのが昨今。

本題に戻りますと、つまりAさんの下限がアップすることがこのパーティの全体のボトルネック。

パーティで登るとき一番重要なのはそのパーティで自分が一番弱い人(=ボトルネック)にならないことです。

だから、「足が揃っている」っていう言い方するんですよね。

■ 足が揃っている

足がそろっているというのは、2つのことを意味します。

1)歩ける能力が大体同じくらいの人が寄り集まってグループになっている
2)山のレベルと歩く人のレベルが同じくらいで無理がない


この仙丈ヶ岳は、登りやすく、たったの登り4時間、下り2時間、合計6時間の山。

体力が下降気味とはいえ、まだ40代の私たち夫婦にとって、

2)山のレベルが歩く人のレベルと同じくらいで無理がない

という条件は、当然ながら十分満たしています。

ついでに付け加えるなら、林道歩きは1時間ほどで、ザックはよそのご夫婦が夫20kg妻15kgほどを担ぐのが通常の中、軽量化していき、私たち夫婦は、2人そろって11kgほど。軽い。定着テント泊なので、山そのものは空荷に近く、4kgほどもないくらいで登っている。
というわけで、山のレベルは本来のレベルより易しく難易度を下げられているのです。

要するに、夫がヘタレとなり、歩くのを放棄するような、厳しい山ではないのです。

仙丈ヶ岳が厳しい山であるのは厳冬期だけです…

以上の理由により、問題になったのは1)です。

この仙丈ヶ岳の山行が、私に突き付けたのは、1)でした。それも、厳しく。

足が揃わない…。揃わないのではなく、意思の力で持って揃えない、という選択を彼がしたのです。もう彼とは山には行けない…

私にとって、夫と山に行くのは、日ごろ日常生活の中で不足している二人だけのクオリティタイム(質が良い時間)を補うデートの意味がありましたから、これは、彼からデートの否定、ひいては結婚生活自体を否定されているような気がしました。

それで落ち込んでいたのです…。でもここまで拡大解釈する必要はないと最近考えを改めましたが。思考の視野が広すぎるのは一つの欠点ですね。

山がダメなら、他の手段で。

■ ハグのススメ

…というわけで、山に夫と一緒に行けないのなら、別の手段が必要です。

夫婦の時間と絆を作る活動が要ります…

毎日出かける前にハグする、帰ってきてもハグする、というのは、イタリア人の年配の男性に教わった結婚生活を円滑にする秘訣だそうです。

海外でこれをやっていないカップル自体を目にしたことがないですが…夫には結婚当初から仕込んでいますが、10年たっても身についていません(汗) 

海外では、私なんて、ベビーシッターでしかないのに、常に会ったらハグ、別れてもハグでした。 介護をしているときも同じ。まず部屋に入ったら、84歳のアルツハイマーを患ったメイおばあしゃんにハグしにいくのです。もう習慣です。やらないと変な気がする。

以前勤めていた会社は、新大阪のインテリジェントビルの11Fにあり、12Fにヨーロッパの会社がオフィスを予定していました…先発で来たのは男性エンジニア一人… フランスの人でしたが、エレベーターで立ち話して以来、ランチ友に。この方とは駐在中のランチ友でしたが、合えばハグだけでなく、右左右とキスをするのが習わしでした。
フランスでは右左右の3回か、さらに左を足して4回か、で、お育ちがばれる…都会っ子か田舎育ちかが分かるのだそうです…今頃元気にしているでしょうか…

夫は、いってらっしゃいと言っても、まーだそのまま素通りしようとします…私が両腕を広げないと…。

日本の夫婦の姿ってどうしてこんなにも愛情に薄い(と一目見える…)のでしょう…???

夫婦関係をいかに良好に維持するかについて、双方からの努力がなければ、何十年も一緒にいるという契約が結婚なのですから、早晩に双方に飽きが出てくるのはもう結婚する前から分かり切っています。飽きるのは人間の性で、そのたびにパートナーを取り換えていたら、結婚なんて5回も6回もしないといけなくなってしまいます。子供には大迷惑。 

夫は私にハグされたほうが精神的な安定状態がよさそうに見えます。 

私の目には、子供と男性は同じように見えて仕方がないのですが…

山にも行かない、食事も一緒に取らない、では一体ハグがなかったら、ルームメイト以上の何があるんでしょう???

良く聞く既婚者のぼやきはパートナーがルームメイトのようだ、ってことなのですが… まぁ昔の日本人妻のように、暴君をパートナーにするよりマシですが…


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