UENOUTAのお絵描きとかブログ

 お絵描きや小説、YouTubeとかの報告とかしていきます。

ある日、超能力に目覚めた件 283P

2023-09-26 23:55:00 | 日記

「あれ?」

 消えてなくなった三毛猫を撫でてた手、そこに何かある……と草陰草案はその手の中の物を見た。そこには何か、綺麗な石があった。黄色いトパーズみたいな綺麗な石だ。別に研磨されたとかなさそうな、そこらに落ちてそうな形してるが、色が真っ黄色で透明感もある。

 それを見て……草陰草案は「綺麗」――といった。するとそれを見て、アンゴラ氏がなんかおかしな反応をしてる。それに猩々坊主は気づいた。

「あれに何か感じるのか?」

「ええ……良いものなのか、悪いものなのかは正直よくわかりませんが……なにか……とてもひきつけられると言いますか……そんな感じです」

 そんな会話を一番後ろで諦観してる野々野足軽はこう思う。

(まあ、綺麗だからな)

 実際かなり綺麗にできたと思ってる野々野足軽である。実際あの猫もちょっとした演出。緊張感を取り戻してもらって、さらに何か秘密の共有というか……そんなのが目的だった。それに……だ。それにこれからの事を考えての事でもある。あの猫も、そしてあの石ころも……

「ねえ、草案ちゃん……あの猫って……」

「あの子は……ちょっと小さいときに出会った猫に似てたってだけだよ……そんなわけ……ないよね」

「でも……それ……きっと草案ちゃんの為に残してくれたんじゃないの?」

 普段はオカルトなんて微塵も信じてない野々野小頭である。けどそんな小頭にも、今の猫が草陰草案と全く関係なんて思えなかった。だって……姿を見せて……そして何やら残していった。それに……だ。ここにいる誰もが思ってるだろうが……今まで見た変なナニカ――とはさっきの猫は違ってた。少なくとも、野々野小頭はそう思ってる。

「そうだったらいいな……」

「そうだよ絶対!」

「ああ、某もきっとそうだと思う」

「猩々坊主さん……」

 なんか女子中学生の二人の会話に割り込んでくる猩々坊主。そしてあの猫の事をこういった。

「あれはきっと、お主の守護霊だったんではないかな? 見ろ」

 そういって猩々坊主は今さっき、草陰草案が助け出された場所を示す。そこはかなり悲惨な場所だ。上階の一部が崩落して、この場所に落ちてきて、瓦礫だけじゃなく、そこにあった棚やらなんやらが積み重なってる。

「わかるか? 本当ならきっとお主は助かってない。これにどこも潰されずにかすり傷程度なんて考えられない」

「それって……」

「ああ、さっきの猫の守護霊が守ってくれたんじゃないか? それにそう考えた方が良いだろう?」

「……そうですね。はい……きっと私はあの子に助けられた……そう思うようにします。もうあの子はいなくなってしまったかもしれないけど、きっとこれはあの子が私に残してくれた贈り物なんですよね」

「うむ」

 そんな風にいっていい感じになってる。それからは皆でこの廃ビルからでて、外には事前に連絡しておいたのだろう、草陰草案の両親がいた。そして両親に引き渡して、今回の草陰草案失踪事件は幕を下ろす。

 あんなことがあったんだ。草陰草案も少しは自重するようになった……かと思うだろうが、二日の検査入院を経て学校に通いだした草陰草案はいつも通り……いや、いつも以上だった。

「小頭ちゃん凄い凄いよ!!」

「なに?」

 放課後、さっそくそんな事を言って教室に乗り込んできた草陰草案は野々野小頭の腕をつかんで引っ張っていく。そして人気のない廊下で、野々野小頭の背中を壁に押し付けて、自身はその両手で野々野小頭が逃げられないようにしてた。

 そしてその息は「はあはあ」と荒い。何やらやけに興奮してるな? と思ってる野々野小頭。とりあえず冷静になってもらうためにも話を聞く必要があるだろうと判断する。

「何があったの?」

 面倒ごとは嫌だな……とか思いつつ、そんな風に聞く。すると草陰草案はこういった。

「私、目覚めちゃった!!」

「え?」

 その瞬間野々野小頭に寒気が走った。まさかそっち系に目覚めた……とかじゃないよね? と思ったんだ。確かに草陰草案とは仲いい。友達の中では一番……親友だろう。

 けど野々野小頭にはそれ以上になる気はない。


ある日、超能力に目覚めた件 282P

2023-09-25 20:57:46 | 日記

「あれって……」

 ゴクリ……と野々野小頭は唾を飲み込んだ。いや、野々野小頭だけじゃない。他の皆、それこそ草陰草案・猩々坊主・アンゴラ氏・チャブ氏・ミカン氏……それぞれ皆、緊張が走ってる。でも野々野足軽は違った。

「猫じゃん、迷い込んだのかな?」

「ダメ!」

 野々野足軽がかわいらしい猫に近づこうとしたら、野々野小頭が声を荒げた。きっとこの廃ビルでみた、怖い猫を思い出したんだろう。

「なんだよ? ただの猫だぞ?」

「えっと……その……」

 野々野小頭は歯切れが悪い。どう説明したらいいのか……と思ってるんだろう。なにせ……だ。なにせここで見たことを素直に話したとして、兄である野々野足軽が信じてくれるだろうか? って不安がある。というか普通は信じない。実際、今見えてる猫は普通の猫みたいだ。顔が二つある……なんてことはなかった。

 けど、この場所で見る猫を警戒してしまうのはどうしても避けられない野々野小頭だ。それだけあれの衝撃は強かった。そしてそれは野々野小頭だけじゃない。草陰草案もそうだし、大人たちもそうだ。アンゴラ氏なんて、懐に手を入れてる。きっと何か武器……というか武器のようにできる石とか札とかを忍ばせてるんだろう。

「みゃー」

 再びそんな風に声をだしてなく猫。三毛猫みたいに見えるその猫はなかなかに丸い。野良猫にしては太すぎではないだろうか? と思うほどには太かった。

 すると……

「あれ? 君……もしかして……」

 ――と何やら草陰草案が思い出したように言った。そしてその声にこたえるように「にゃーお」と鳴いた三毛猫。たとたとと野々野足軽なんて眼中になく歩いて、ただひたすらに草陰草案を目指す。その前はもちろんだけど大人たちもいた。けどなぜだろうか? その三毛猫の堂々としたその歩き姿に、自然と誰もが道を開けた。

 そして三毛猫は草陰草案の前へといった。

「君の声……聞いたことある気がする」

「みゃー」

 そういって体を草陰草案へとこすりつける三毛猫。そしてそれをなでる草陰草案。すると……だ。すると三毛猫の体か淡く光りだした。そして透明になっていって、その内見えなくなった。消えるその瞬間「みゃみゃ」と鳴いて、その三毛猫は消えていく。

 そんな三毛猫を撫でたままの態勢で……草陰草案の頬に一筋の涙が流れる。そして体を丸めて「ありがとう」と泣き出した。皆何が何だかって感じだけど、空気を読んで草陰草案が落ち着くのを待ってた。


転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)運命という世界線を壊せ 919

2023-09-25 20:51:28 | 日記

はてさて、どうにかザンサンシャカレの都市核は確保した。ここはどうにかなったわけだけど……他の場所はどうだろうか? 他の街の都市核も確保して、一か所に集める予定だ。そしてもちろん、都市核が無くなった街には住めなくなるから、一斉にアズバインバカラへといくことになる。

 そのためにもアズバインバカラは今、絶賛拡大工事中である。まあけど、実際、街にできる……というか街に成れる範囲というのは決まってる。だから下手に拡張なんてのは出来ないって感じではある。

 でもそれも一つの都市核では……ということだ。今アズバインバカラには複数の都市核がある。まあ今までは、それを使おうとはしてなかった。なにせ都市核というのは神聖で、さらに言うと謎の物体だったからだ。まあ謎の物体というのは今でも変わってない。今でも謎ではある。けど都市核には膨大で莫大なエネルギーが内包されてるのは確実なのだ。

 そしてこれから起こるのはこの世界を二分する戦いである。神聖だし、よくわかんないから使えないんなんて言えないだろう。言ってらんない。

 それにこの計画が出たとき、都市核が保護する領域を拡大させることは絶対的に必要だった。だってそうしないと、いくら建物をたくさん建てたとしても、宵にはまっさらになっちゃうからね。なにせ宵には都市核が守ってる範囲外は分解してるんだからね。もちろん明には再構成されるが、都市核が守ってる範囲外はただ自然の状態に戻るだけである。建物まで再構成はされない。

 でもそこで他の都市核である。都市核を起動、鎮座させれば、都市核を中心とした数十キロ四方は宵でも守られる。でも……だ。でも問題があった。それは都市核を起動できないってことだ。

 どうやら都市核を起動できるのはその街の領主とか限られた人たちだけで……その都市核の起動権を守るために、領主一族はいるようなものなのだ。

 では、今アズバインバカラにある他の都市核とか、どうなるかというとまあ勿論だけど、生き残りの領主一族やらその末裔でもいれば簡単だが、そんなのは都合よく表れないわけで……どうしようもないってことになる。

 けどだからって遊ばせるなんてできない。なにせ死活問題だからだ。これからアズバインバカラへは今残ってる街の領民たちが押し寄せてくるのだ。今までの範囲では当然、受け入れるなんて不可能だ。なので都市核の保護できる範囲の拡張は必須。

 けど複数ある都市核はあった所で宝の持ち腐れ。まあ今も残ってる街にはちゃんと領主がいるから、回収してから拡張するって感じにすればどうにかなるにはなる。

 まあそれも大変だが。でもそれでもG-01が回収した都市核は無駄だからね。それはもったいない。なので私も知恵を出した。起動は出来ない。ネナンちゃんとかの特別な子でもむりだった。でも解析することで見えてきたこと……そう都市核は微妙に違うが、共通する部分はもちろんある。だから、ただ単純に今起動してる都市核に接続することは出来ないのだろうか? てね。それをやってみたのだ。

 それは案外今、上手く行ってる。そこにさらに領主たちが都市核を回収して、万全の都市核が複数加わるのなら、もしかしたらアズバインバカラの土地事態に変化が起こるかもしれない。


ある日、超能力が目覚めた件 281P

2023-09-24 20:38:05 | 日記

「う……ううん……小頭ちゃん……」

 泣いてる野々野小頭に反応したのか、草陰草案が目を覚ました。彼女を見て、そして周囲を見回す。

「えっと……私……やっちゃった?」

「やっちゃいすぎだから! いっぱい叱られればいい……」

「今回は……ちゃんと反省してるんだけどな。一緒に謝ってくれる?」

「バカ……今回だけだからね」

「うん……」

 そんなやり取りを二人はしてる。野々野足軽は確かめてたとはいえ、一応しっかりと草陰草案を見てる。それでやっぱり身体的には異常はなさそうだった。それに草陰草案は最初は寝ぼけてた感じだったが、次第にちゃんとやり取りもハッキリとしつつある。本当に不幸中の幸いで彼女は助かったらしい。

「よかったよかったですな……グスグス」

「とにかく無事に見つかったことだし、関係者には連絡をしたほうがいいかもしれないな」

「そうですね。歩くのも辛いだろう?」

 そう言って皆が草陰草案を心配する。それに対して草陰草案も「すみません」といった。自分のために再びこんな所まで来てくれたって事に感謝してるんだろう。

「えっと……その……」

「どうしたの? 痛い所ある?」

「その……」

 何やら言いよどむ草陰草案。それに対して皆が心配そうな顔をする。なにせ状況が状況だったからな。すると――

グゥゥゥ

 ――となんか気の抜けるような音がこの廃墟に響いた。そして真っ赤になる草陰草案。どうやら今のは草陰草案の腹の音だったらしい。でもそれはそうだろ。なにせ少なくとも丸一日はそれこそ何も食べてないし、飲んでない筈だ。胃の中も空っぽになるだろう。

「こ、これを!」

 誰も飲み物も食べ物も持ってないと思ってたら、ミカン氏がそのリュックからペントボトルの水を取り出した。しかも新品だ。飲みかけ……とかではなかった。どうやら事前に用意してくれてたらしい。

 配慮もしてペットボトルの蓋をキュッと軽く開けて渡してくれるミカン氏。そして野々野小頭が草陰草案の頭を支えてその口に先端をあてがう。

 コクコク

 ――と彼女の喉がなる。更に色々と買ってたのか、ミカン氏が栄養価の高そうでかつ食べやすそうな食べ物を取り出してた。用意がいい人である。そんな中、ちょょっとした安心感に満たされてたとき、『みゃーお』という音が聞こえて、皆に緊張の糸が走った。


転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 918

2023-09-24 20:33:24 | 日記

「お許しください。お許しください。アーシャーラーマラー」

 ザンサンシャカレの宮殿の地下。厳重に隠されてた部屋に私たちはきてる。いや、来てるのはそれこそ、ザンサンシャカレの領主と私=ドローンだけである。やっぱりここはずっとそれこそ領主一族しか入れなかったそんな場所なのだ。それは実際、アズバインバカラとかも変わりない。

 やっぱり都市核というのは街を支える核だから、秘して祀らないといけないらしい。なにせこれがなくなったら、街は崩壊する。人が生きていくことはできなくなるのだ。だからこそ、万一を考えてもこの場所は当代の領主と次の領主と決められてる子供以外は知る由もないらしい。

 まあ教会の奴は多分しってるんだろう。ミレナパウスさんは匂わせてたし、この場所を知ってるからこそ、攻め込んできたはずだ。だから実際ミレナパウスさんは連れてきてもよかったのかもしれない。

 でもそれをここの領主は了承しなかった。もしかしたら彼らの方に投降してたら一緒に連れてきたりしたかもしれない。でもミレナパウスさんはこの世界の者たちではなく、私たちの方に投降したのだ。それが彼としてはちょっとプライドが傷ついたのかもしれない。

 結局のところ、私たちは外からきた得体のしれない奴らだからね。そんな奴らよりも自分たちは下に見られてるのか――ってことなのかも。私たちのやったこと……そして私たちがいるからこそ、教会にたてつけてるわけだし、それをちゃんと領主の人たちはわかってる。

 納得もしてる。理解だってしてるだろう。初めて私……G-01を見たとき、腰を抜かしてた人たちもそこそこいたからね。お披露目……とはちょっと違うか? 顔合わせ……的なそんなのをアズバインバカラでしたのだ。

 私がいる庭の方にぞろぞろとやってきて、そこで私は膝を折ってたわけだ。いつものようにね。私がいる場所は広場みたいになってるから、沢山のアズバインバカラの民衆がいた。G-01を拝んだり、その周りで遊んだりがアズバインバカラの日常風景だからだ。

 そんなところにやってきて、領主たちはG-01のことを便利に使える人形とかと思ってたのかもしれない。なんかそれこそG-01の前に勇者とかとも挨拶してたわけだけど、勇者は優しいからね。侮られてたんだろう。

 そして世間ではG-01は勇者の下の存在となってる。だからもしかしたら領主たちはG-01という存在をどういう風に便利に使えるか……的な皮算用をしてたのかもしれない。

 でもそんなのを打ち砕いた。和やかで、にぎやか、そんな広場になってる場所でなされるままにされてるわけのG-01を御しやすそうだと思ったかもしれない。

 でもG-01が動き出して立ち上がった時。その大きさに領主たちは驚いて腰を抜かしてた。そこできっと彼らは悟った。

 私たちを敵に回したらいけないってね。

「お願いいたします」

 そういって台座から取り外したザンサンシャカレの都市核をドローンへと託してくる。それに迷いがないのも、G-01という存在が自分達よりずっと上位にいるとわかってるから。

 やっぱり最初の印象って大事だよねって私は都市核を受け取りながら思ってた。