UENOUTAのお絵描きとかブログ

 お絵描きや小説、YouTubeとかの報告とかしていきます。

ある日、超能力が目覚めた件 280P

2023-09-23 20:22:18 | 日記

(自分は何もしてないのに……)

(偶然では?)

 野々野足軽の頭にアースの声が聞こえる。チャブ氏のやったことはそれだけすごいことだった。実際現状を一番良くわかってた野々野足軽は誰よりもハラハラしてた。だって透視で瓦礫の中の草陰草案がどういう状況なのか見えてたのだ。ハッキリ言って、生きてたのは奇跡以外の何物でもない。軽症なのもそうだった。

 普通ならそれこそ、瓦礫に手足の一つでも潰されても何もおかしくないし、もっと悲惨なら、瓦礫に巻き込まれたと同時に、胴体とか……下手したら頭とか潰されてて、それで彼女の人生が終わっててもおかしくなかった。

 でも彼女はまだ生きてる。それもほぼ怪我なし……でだ。擦り傷くらいの軽症だけ。これを奇跡と言わずになんというのか……野々野足軽が仕込んでたのなら、こうなるのもわかる。だが野々野足軽は今回は何もしてない。というか、流石に野々野足軽でも、命を奪わないからと言って、女子中学生を廃墟で瓦礫に埋める……なんて暴挙はしない。

 誰にもバレないだろうし、事故としか思われないのは確実だが、流石にそんな事は野々野足軽はしないのだ。いや出来ないといってもいい。力的には勿論出来るが、彼の心ではそんな事はできない。

 だからこそ、救出したいのは勿論本心だ。だから無事に草陰草案を助け出すためには勿論力を出し惜しみする気はなかった。当然だけどバレないようにだが……でもなんとチャブ氏はそんな助けなんて必要なかった。

(力の発動は感じませんでしたよ)

(そうだけど……俺は力を知ってるから……)

 そう野々野足軽は自身にある力を知ってるからこそ、チャブ氏が行った事をただの奇跡とは思えなかった。極限状態になると、人はその内に眠る力を開放するという。それはきっと誰にでもある。ただ誰も気づいてないだけだ。そしてその力を開放する術を知らないだけ。

 だから極限状態にならないとアクセスできない。誰しもに野々野足軽のような力があるのか……それとも授けられた力なのか……それは野々野足軽にはわからない。でもチャブ氏を見て、力自体は誰しもの中にあるんではないだろうか? と野々野足軽は思った。

「大丈夫か!?」

「息はあるぞ!!」

「おおおおお落ち着いて。最後まで慎重に行きましょう」

 そんな風に大人達は最後まで頑張ってくれた。そしてついに草陰草案を瓦礫の中から救い出す。

「草案ちゃん!」

 瓦礫から救い出した草陰草案元へと駆け寄る野々野小頭。仰向けにされた草陰草案の側で膝を折って野々野小頭はその顔を覗き込む。瓦礫の中にいたから、草陰草案は汚れてる。けど奇跡的にそれだけだ。気絶してる草陰草案はちゃんと呼吸してるのが胸の動きでわかる。

 ポタポタ――と野々野小頭の涙が草陰草案の顔に落ちる。そして草陰草案の頭を優しく抱き召して野々野小頭はこういった。

「バカ、何やってるのよ」


転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 917

2023-09-23 20:16:10 | 日記

『とりあえず、君は彼らの言う事にはちゃんと従ってください。ちなみに僕は勇者と呼ばれてる。よろしく』

「お噂はかねがね……勇者様に紹介されたということは、私は認められたのでしょうか?」

『ああ、君の協力を感謝する。歓迎するよ』

「ありがとうございます」

 ドローン越しに勇者の声が聞こえてくる。それに対して、ミレナパウスさんは丁寧に応答してくれた。行き成り勇者を出すのはどうかと思ったけど、どうやら教会に勇者はちゃんと認識されてるらしい。まあなにせ手痛い痛手を負わせたのが勇者だから、指名手配とか……されててもおかしくないくらいだよ。実際されてるのかは知らないが……なにせこの世界手配書がそこら中にばらまかれる……なんてないからね。

 そもそもが紙がめっちゃ貴重だし……そんなに使えるわけないのだ。紙なんてのはこの世界では上流階級のそれこそ契約書? 的なそんなので使うくらいである。

 まあだから指名手配とかないのかもしれない。でもミレナパウスさんは教会の上層部くらいにいただろうから、情報も共有されてたのかもしれない。

 まあだけど……この勇者の声……

「んん……うまくいったね。トーンも口調も何もかも完璧だったね。これなら私が勇者という人となりをちゃんと理解できてたら、ばれることはないかも」

 そう、ミレナパウスさんと会話した勇者……実は私である。何を隠そう、私が発した声をG-01の機能で変声して外へと発してたのだ。

 まあ実際、ミレナパウスさんは勇者を知ってても会話はしたことないから、判断材料がないだけかもしれない。もしもこれから勇者と合流した時に、「あれ?」とか思う可能性もなくはない。

 けど私的には結構自信があった。声もそうだし口調とかも……ね。私は実は別に勇者に寄せた発声をしてるわけじゃない。口調は意識してるけど……私は声を変えてしゃべってはいない。

 そこは全てG-01の性能に任せてる。私の発した声……言葉をリアルタイムに解析して、それを今まで蓄積してた勇者の発声の声のデータから割り出して、私がしゃべった言葉をまさに勇者がしゃべってるようにG-01が変声して出来上がってる。

 いやほら、私ってずっとここに一人でいるからね。時々勇者や魔王とかの声を使って一人で勇者や魔王になって、会話するって遊びを発案したのだ。その経験がまさかこんな場面で役に立つとは。

 実際この機能、かなり優秀で精度がいい。変な違和感なんてものはないし、自分で三役やってたとしても、自然と三人で話してるように錯覚するくらいである。

 だからきっと本当の勇者に会った時もミレナパウスさんは違和感なんて感じないだろう。でも……

「一応勇者には事前に私が会話した内容は伝えておこう」

 報連相って大事だからね。


転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 916

2023-09-21 04:30:50 | 日記

「貴方を捕虜とします。よろしいですね。聖女・ミレナパウス」

「いいえ」

「え?」

 ザンサンシャカレの領主である人がミレナパウスさんに声をかけた。ここは「はい」とか低姿勢……とまでは言わないが、それに近い態度を取ると思うだろう。なにせもう彼女の味方はいないのだ。なにせ残ってた奴らも彼女が殺し尽くしたから。

「私はあなた達に捕らえられることはありません」

「何をいっ――ひっ」

 ザンサンシャカレの領主さんはミレナパウスさんから放たれる力に気圧されてる。どうやら彼女の中では、今でも彼らはミジンコみたいな価値しか無いと判断されてるみたいだ。

『殺気を放つのはやめてください。こちらの陣営に手を出したら許しませんよ』

「はい、存じております。ただ、私の事を誤解してるようなので教えてあげようと思っただけですの」

「ご……誤解とは一体? 貴方は降伏……したのですよね?」

 恐る恐るとザンサンシャカレの領主さんが聞く。すると私の手前……というか私がよこしてるドローンの手前、ミレナパウスさんはさっきの殺気を引っ込めてこういうよ。けど、どこかツンケンとしてる声色だ。

「違います。私はあなた達に降伏したのではありません。私が降ったのはあくまでジイゼロワン様の陣営です」

 そう言って彼女は私……いやドローンに向かって手を伸ばしてその体を掴む。そして4つある足? 腕? まあどっちでもいいけど、その一つを取って、口づけしてきた。どうやら忠誠の証? みたいな行為だろう。

 けどさ……

(私自身が受け取りたかった……)

 ――だってミレナパウスさんの唇ってめっちゃきれいなんだよ。顔の半分は隠れてるから、上部分はどうしようもないが、その唇はまさに芸術。それをこんな量産型の機体に奪われるなんて……

「触覚感知の機能をつけておくんだった」

 私はそんな後悔を激しくしたよ。だってなかったわけじゃないのだ。その機能。実は有った。けどその時は「は? 触覚? そんなのよりも聴覚とか視覚の方が優先でしょ」――って事で触覚なんていらないと切り捨てたのだ。その次だとしても、触覚はないかな? 嗅覚は微妙ではあるが、それよりも触覚って微妙じゃん。後はセンサー類とかをもっと高性能にするとかになって触覚なんて部分はドローンには不要と切り捨ててた。

 でも今私はその選択をとても後悔してる。

「くっそーーー!」

 そんな魂を叫びを上げつつ、自分の使ってる水をバシャバシャするくらいには悔しい。


ある日、超能力が目覚めた件 279P

2023-09-20 23:51:46 | 日記

瓦礫が積み上がった場所を大人達がとりあえず周囲を見回しして、ちょっと手で感触をたしかめてみたりしてる。実際この中にいると分かれば……と大人達は思ってるだろう。だから後ろの方から野々野小頭に声をかけてもらってるが、返事はない。

「どうだ?」

「なんとか……どうにか?」

「でも下手に動かしたら……崩れたり……」

「そうなったら中の人は……」

 そんな事を大人達は言ってる。確かにいきなり崩れてしまってるわけで、この中に草陰草案がいるとしたら、内部が空洞になってるはずだ。だってそうなってないと、草陰草案が生きてる可能性はない。

 もしも、下手にこの瓦礫を刺激してその空間がグシャ――となってしまったら? その恐怖を彼らは恐れてる。

「その、チャブ氏……さっきの発言はここに草案氏が居ると確信してるってことです?」

 ミカン氏がそんな事をチャブ氏に聞いた。さっき野々野小頭に彼は「生きてる」と言ってた。それがミカン氏は気になったんだろう。それは実際他の皆さんも気になってる。

 もしかしたらただ野々野小頭を落ち着かせるために適当に言った――可能性だってあるからだ。

「ああ、彼女は居る」

 今度は本当に確信めいて、そう告げるチャブ氏。そして次にミカン氏と猩々坊主はアンゴラ氏を見た。彼も頷く。そうなると、きっといるんだろうという空気がながれて、とりあえず上の方から瓦礫をどかしにかかった。

 まずは持ち上げられる程度の瓦礫を大人たちは運ぶ。けど、すぐに問題にぶつかった。二人……いや三人がかりとかでやらないといけない瓦礫とか、それを下手に動かしていいのかっていうね。

 それを動かすと、必ず全体のバランスが崩れるだろう、そんな瓦礫。そうなるとどのくらいの空間がこの瓦礫の中に開いてるのかわかんないのに、下手したらその空間が潰れてしまう可能性がある。

 そうなったら……そうなったら草陰草案は死んでしまう。それを恐れると、なかなかでかい瓦礫をどかす何てことはできない。

(さて、どうしよう)

 ――と野々野足軽は考える。どう助けるのがいいのか……これはなかなかに難しい問題だ――とか思ってると、チャブ氏がなんかダウジングの棒を瓦礫に当ててる。一体何を? と野々野小頭と野々野足軽は思ってる。

 まるで叩いてその音を聞いてるようなチャブ氏。するとこんな指示を出してきた。

「この瓦礫は大丈夫だ」

「よし!」

 大人たちはチャブ氏のその言葉を聞いて三人で瓦礫を持ち上げて横にそれをどかす。そしてチャブ氏がどかす瓦礫を指示して、三人が物理的に瓦礫をどかす……そんな事を繰り返して行く。

 すると瓦礫の中に人の手が出てきた。なんと、チャブ氏はどうやらこの絶妙なバランスの瓦礫を崩すことなく、草陰草案の埋まってる場所までたどり着けたらしい。

(本物?)

 そんな事を思って、野々野足軽はちょっとワクワクしてた。


ある日、超能力が目覚めた件 278P

2023-09-19 23:56:47 | 日記

「草案ちゃん! 草案ちゃん!? いる!? いたら返事して!!」

 そう言って野々野小頭が瓦礫が積み上がってる場所へと声をかける。野々野小頭は半分に折れてしまってるスマホを握りしめながら、目の前の光景を見て、涙をこらえてた。

「早く、退かさないと!」

「待て待て」

 無闇に瓦礫に近づこうとする野々野小頭を足軽は止めた。それに対して――キッと鋭い眼光を向けて来る野々野小頭。

「何!? 邪魔しないでよ! あそこに居るかもしれないんだよ!? てかあの人の変な棒もあの瓦礫を示してグルグルしてるじゃん! アレってそういうことでしょ!?」

「変な棒……」

 なんかチャブ氏が野々野小頭の言葉にちょっと傷ついてる。今の時代、中学生はダウジングなんて知らないらしい。せっかく自信を取り戻してそうなチャブ氏が再びぐさっとさされたのは気の毒だが、野々野小頭には他意はない。ただ友達があそこにいるかもしれない――その思いしか野々野小頭にはないんだ。

 勿論、チャブ氏達は、大人としてそこら辺もわかってるだろう。だから変な棒とかいわれたが、チャブ氏はこういい出した。

「野々野……ちゃん……いや、野々野さん? でもお兄さんもいるし……ここは小頭ちゃん? こんなおっさんに名前呼びなんて嫌……か?」

「なんでも良いですよ……」

 チャブ氏は野々野小頭をどう呼ぶか……勢い込んで声をかけたが、それが定まってなかった。実際野々野兄妹が揃ってるせいである。確かに女の子を下手に名前呼びなんてしたら、この時代それだけでセクハラ言われてもおかしくないかもしれない。

 それに基本、おっさんたちはオタクなのである。なかなかいい歳してるが、女性と話したことなんてそんなにない人たちである。だから困った。けど「なんでも良い」と許しがでたから、とりあえずチャブ氏の中では『野々野小頭』を『野々野さん』『野々野足軽』の事を『野々野くん』と呼ぶことにした。

「ええっと、すまん、俺のせいで。けどお兄さんはきっと崩れてる所に不用意に近づくのは危険だと……そう思ったんだろう。君はそこにいてくれ。俺たちが瓦礫をどかす。それに、こんなのは嘘だと思うかもしれないが、君の友達はまだ生きてるよ」

「つっ!? そんなの当たり前です!」

「――ご、ごめん」

 そう言って野々野小頭は腕で目をこすりつつ、後方に下がった。それに野々野足軽もついていく。妹を心配する兄……という感じだ。野々野小頭を追いかけるさい、野々野足軽はチャブ氏を見た。すると彼は野々野足軽に頷くような仕草をしてみせた。

 それが何かはよく野々野足軽にはわかんない。多分「妹を守っていろ」とかそういうことなんだろうと野々野足軽は思った。野々野足軽の視線は今さっき言った「まだ生きてる」って本当なのかな? って視線だった。

 いや、野々野足軽はわかってる。その答えを知ってる。けど、チャブ氏にはわかんないはずだ。けど……なんかその自信はなんか野々野小頭を安心させるためだけの『嘘』ってわけでもなさそうに感じた。

(いや、わかるわけないはずだけど……)

 そう疑問に思いつつ、大人たちが瓦礫に近づくのを野々野足軽は見守った。