界門の中の野々野足軽。体がエネルギーの渦によって大きく軋むような感覚が襲う。色んな力がそこには集まってる。数多……といっていい程のその濃密な力。これをどうにかするなんてのは野々野足軽は思ってない。
そんな事ができるなんて思うほど、足軽は傲慢ではない。なにせ自分は特別ではない……と今でも思うくらいのやつである。だからこの数多の世界のエネルギー……力が
集まり黒く渦巻く界門の一角。それとも中心? わからないが、ここで力を回復できれば、まだあの岩のヘビに対抗できる――と野々野足軽はそう思った。
「くっ……これは……」
力の保護……防壁、それがなかったらすぐにでも野々野足軽はその体を崩壊させてただろう。いや、防壁があったとしても、油断をしたらのこの力の渦に飲み込まれてしまいそうだった。
そうなったらきっと……野々野足軽もこの数多の力の集合……のその一部になるんだろう。こんな誰もたどり着けなく……そして誰にも知らない場所……そこでただのエネルギーになるなんてゴメンだ。
なので足軽は抵抗する。本当なら足軽はこの中から自分の世界の力……それをもとめてた。なにせここには繋がってる全ての力が集まってる。だからこそ、ないわけはない。それを取り出して自分に流すことで、無理矢理にでも力を得てどうにかこうにかあのヘビと対抗しようと思ったんだ。
「何が何だか……だな」
力を取り出す……それは早々に無理そうだと思った。なにせ……だ。なにせここに集まった力……それは数多の世界の力が集まって、それは一つの集まった力……になってたからだ。
一つ一つがバラバラに集まって、渦を巻いてぶつかり合って……そしてお互いの尖った部分を削っていって、いつしか丸くなった力は溶け合っていくことになった。いやそれは野々野足軽の想像でしかないが……多分そうなんじゃないか? と思った。
結論として野々野足軽は結論づける。
「これって無理じゃん」
結構早い段階からそれは思った。混ざり合って、溶け合って、ここの力が一つになってる。それを引き剥がす? 無理だ。ならばここに集まる段階……それならまだ混ざり合ってないから野々野足軽は自分の世界の力だけを選別できる可能性はある。けどここには数多の世界の力が流れ着いてる。
その数多から自身の世界の力を見つける? そんな時間はなかった。それに既に野々野足軽は集まった力の中にいる。そして困ることにもなってた。
「これ、でれないじゃん」
入るときは流れに身を任せる事が出来た。でも出る手段はなかったのだ。
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