UENOUTAのお絵描きとかブログ

 お絵描きや小説、YouTubeとかの報告とかしていきます。

ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第一話Part2

2024-07-13 19:28:47 | 日記
カキーン!!
 
 青空を突き刺すように飛んでいく白球。その白い球は夏に向けてどんどんと高くなっていってる空の綿菓子に吸い込まれていくようだった。誰もがその光景を見上げた。その気持ちいい音が校舎に響き渡り、早くから来てた学生たちもきっと一度は空を見てしまっただろう。
 
 けど一人だけ、それに納得できてない者がいた。
 
「な……ななななな、ふざけんな!!」
 
 そういってピッチャーの位置にいる彼は帽子を地面にたたきつける。
 
「おい、立石――」
「部長!! もう一回! もう一回お願いします!! 俺の球があいつに……片目のあいつに打てるわけないんです!!」
 
 そういってる彼はどうしても納得いかないみたいだ。これ以上ないくらいに気持ちのいい音を出してたが……あれはきっとまぐれ、偶然、そんなのだと言い張る。
 
「落ち着け立石。そもそもがたったの一回で見極めるつもりはない。やれるな園田?」
「もちろんです部長!」
 
 そういって再び構える園田亮。そしてそんな園田亮に籠からボールを取って立石が声をかける。
 
「まぐれだったのに残念だったな。今度はああはいかないぞ」
「……」
 
 その言葉に園田亮は何も言わない。ただじっと、まっすぐに立石を見てる。そしてその目は一時も揺るがない。まるでもう一度ホームランを打つのを確信してるかのような……そんな目だ。そしてその揺るがない姿に立石は「まさかまた……」とか思う。でもそれを振り払った。
 
(そんな訳ねえ……そんな……)
 
 一度深呼吸をして嫌な考えも一緒に息と共に吐きだす。そして落ち着いてボールを握った。自身のフォームをいつものようにして、そしていつものように投げる。それだけでいいと立石は思ってる。園田亮がいなくなって収まったその席。けど、それはおこぼれなんかじゃない。いずれ追い抜くはずだったのが、早く来ただけ……そんな自信が彼にはあった。
 だから打てるはずない。けど――
 
カキーン!!
 
 ――すぐに聞こえたその音。再び青空に響いたその音は白球を遥か高くへといざなった。
 
「嘘だろ……」
 
 そんな誰かの声が聞こえた気がした立石。けどそれは聞かなかったことにしたようだ。
 
「もう一回だ!! いくぞ!!」
 
 もう部長の許可を取る気もないようだ。すぐに投げることで止められるのを防いだ。でも再び、三度の音が響く。でも立石は「もう一回だ!」といった。そのたびに気持ちのいい音は響いた。
 
 
「はあはあはあ……そんな……」
「気が済んだか立石。お前が投げた投球52球。その全てはホームランだ」
「そんな……こんなの……嘘だ!!」
「いや、本当に嘘のような結果だ。まさか全部ホームランなんて……この目で見てるはずだが、信じられない」
 
 力尽きてしまってる立石。そしてその立石に同情しつつも、部長はちゃんと結果をわかってる。けどその部長さえもその結果には疑問があるようだ。なにせすべての投球をホームランで返してるんだ。そんな事が起こりえるだろうか? と部長は……いや、部長だけじゃない。ここにいる他の部員たちもきっと思ってるだろう。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿