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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第四十二話part4

2025-04-16 23:24:21 | 日記
「えっとこれは……」
「何が目的だ。応えろ」
 
 バチバチと角からスパークを放出させて凄む鬼男。それに対して簡単な顔のこの妖怪は「ふえええええ鬼……」――とか言ってついにはその点の様な目よりもおおきな涙がこぼれだす。それは服の袖では受け止めきれない程の大きさと量……はっきりいってマンガ的表現でよく見る、ドバドバという量である。
 
(なにあれ、凄い)
 
 この小さな存在の全ての水分を吐き出してそうな涙。でも……どうやら鬼男の言ってることは正しかったらしい。
 
「いたっ?」
 
 何やらチクッとした痛みが走った。でもどこにも小頭には外傷はない。けど、確実にこの場所に変化は起きてた。だって……小頭の息が白くなってのだ。急激に冷えるこの場所の気温。
 更に……
 
「こいつ……」
「うえーーーーん! うえーーーーん鬼怖いよーー」
 
 そんな事をいいつつ、その妖怪は体を薄くさせていってる。涙は同情を誘うための手段であり、そして油断させるための道具。さらに言うなら、次の行動への伏線でもあった。鬼男の力が一気に高まったおかげで、寒さは一気に吹き飛んだ。再びこの空間の靄へと潜ろうとしたこの雪ん子なのか、もっと別の何かなのかわからない奴は鬼のあふれる力に恐れをなしてとことことその小さな足で距離をとろうとする。けど……
 
 ドガアアアアアン!!
「あっ……あぁぁ……」
 
 鬼男の動きは早かった。やっとで捕らえたこの場所の元凶だ。鬼男は油断なんてやっぱりしてなかった。だから逃がすなんてことはしない。彼は逃げようとしてたそいつの前に出て拳を突き立てた。鼻先をかすめたであろうその衝撃にそいつはごろんと頃がった。
 
「下手なことをするな。次は当てるぞ」
 
 コクコクと鬼男の脅しに全身を使って首肯するその存在。青くなってるそいつの目に、涙はない。どうやらやっぱり涙はただの手段だったらしい。
 
(見た目かわいいけど、こいつはきっと悪い妖怪なんだ)
 
 それを小頭は再認識した。いくら鬼男に警戒しろ……といわれても、ついついかわいい存在には甘くなってしまう小頭だけど、そんな事はやめようと心に強く刻む。
 
「なんでこんなことを……ううん、早く皆を返して!」
 
 そんな風に強く小頭はその存在に向かっていった。けどその言葉を聞いた瞬間だった。今まで間抜けで抜けた感じだったその点の様な目を横棒にしてそいつは笑い出した。
 
「あははははははははははあはははははははははははははははははははははははははははははははは!!」
 
 それはとても邪悪な……そう、邪悪な笑いで小頭はゾッとした。悪意がここまで込められた笑いをしらないから。


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