「親父いいいいいい!! かあちゃあああああああん!!」
そんな声が青空に響く。少年は既に村の大人たちに取り押さえられてた。けど、それでも、口を思いっきり開けてそう叫ぶ。農家の朝は早いのだ。既に親父も母ちゃんもきっと起きてる……そう思った。自分の家の屋根くらいしか見えない位置だけど、それでもこれだけ叫べばきっと聞こえる……そう信じて少年は叫んだ。
家にさえ帰らせなければ大丈夫……と思ってたのだろう。けどその読みは外れだ。少年の父ちゃんは息子を見捨てるような大人ではない。
「なにやってる貴様ら?」
なんとか口を塞ごうとされて、かなり荒々しく扱われてた少年。そんな様子をみて、怒気をはらむ声を出してその場に少年の親父が現れた。
「山が昨夜から騒がしいとおもってたが……貴様ら、俺の息子に何をする!!」
そんな風に怒りに任せて突っ込んだ。その迫力に気圧されたのか、少年を拘束してた大人たちが離れた。案外あっさり少年を離したわけだが、それは彼らの目的……それは達してるからだ。村の奴らの目的は幾代だ。幾代は既に村の大人たちに確保されてた。
「まあいいですよ。貴方も息子さんの管理はしっかりとなさったほうがいい。いつか、忽然と消えてしまわないように」
そんな捨て台詞を吐いて、村の奴らはさっていく。用意してた車に幾代を乗せようとしてる。その時、2人の視線が交差する。そして大人しく、幾代は車にのった。そして村へともどっていく。少年をそれを見送るしか出来なかった。
「何やっちょんだお前は!!」
ゴツンと頭がへこんだような衝撃。親父からの鉄拳制裁である。甘んじて受けよう……と思ってたけど、やられるとやっぱりいたい。少年の目には涙がたまる。けど多くは語らない親父らしく、今回のことはを積極的に聞く気はないらしい。けどこのままでは駄目だ。まだ終わってない。
これからだ。これからが、正攻法な戦いだ。
「親父、これを見てくれ」
そう言って少年は薄い服の中から何かを取り出した。それは……それは白かった。そして硬い、まるでカルシウムの塊。そうそれは、人骨の一部、顎の部分の骨だった。
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