「この力は……誰のものでもないんだ」
ただ界門から流れてきて、そして界域の流れの中に集まって、ぶつかり合って、ここに溜まっていった力。それには意思なんてない。ずっとただ溜まってきた力だ。だからそこに意思を与える事ができるのは……
「俺が……今の俺のなら……」
野々野足軽は捧げることでこの力と繋がった。そして今力を使う事をやってみる。それはこれまでと同様だ。動かしてみる。まずはね。でもここの力は強大だ。だから引っ張った。それによってある程度、野々野足軽が使える程度の力を引きちぎった。本体から引きちぎることで、自分の意思? を通しやすくしたんだ。そしてそのちぎった力をちゃんと野々野足軽は感じてる。
手にした力は、自分の顔よりも大きいくらい。とりあえずそれを野々野足軽の意思で丸めてみた。
「難しいな」
野々野足軽はまん丸くしたかった。それは誰もが見てもボールだって思うみたいな、そんなのを野々野足軽は想像してやってみた。でも……できたのはもっと不格好だった。意識を強くもたせると、ある程度丸くなる。けど……少しでも気を許したらかろうじて丸かった……といえたその姿は途端に崩れて、スライムみたいになる。
「風とおなじかも」
自身の中にある力……と外にある力の違い。それを野々野足軽は知ってる。野々野足軽の超能力は中にある力だ。なぜかいきなり目覚めたその力。それが野々野足軽の世界を切り開いた。
そして途中で風を得た。それは外の力だった。今や風も中の力がだが、最初は違った。だから中の力を使うのと勝手が違った。でも今は、かなり使いこなせてる野々野足軽だ。だからきっとこの新たな力もそうだろうと思った。
外の力を思い通りに使うには時間と練習が必要だ。だから焦る必要はない。
「馴れてないから、やりすぎても恨むなよ」
野々野足軽はそう言って後ろを見た。力の中心ではなく、ようやく『外』をみる野々野足軽。なにせここで修行をしてる時間はない。だから馴れてなくてもやるしかない。今、野々野足軽はこの力をある程度使えるようになった。ならば……ここからでられるだろう。
野々野足軽は左腕で眼の前の力を掴み、そして大きく横に振るう。すると力は左右に分かれるように野々野足軽に道を開く。野々野足軽はその道をゆく。そしてその左目には繋がったここの力……それと結びついてた。
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