お招きを頂いて、キリスト教徒ではない私だけれど、
中に入ると縦に細長く伸びたステンドグラスから夕日が差し込んでいて、
シンプルだからこその凛とした静けさが美しい。
オルガンのパイプがステンドグラスに誘導されるように真っ直ぐ伸びていく。
左側にちょこんと腰掛けたカエル君からも、後でありがたいお言葉が有ったよ
パイプオルガンの楽譜というのを始めて見せていただいたけれど、
意外とシンプルなんだね。
演奏が始まった
幸運にも演奏家のすぐ後ろで様子を拝見する事が出来て、驚いた!
パイプオルガン奏者は忙しい。
目を閉じれば荘厳な音が体に直接入り込んで来るような、夢心地だけれど、
目を開いて演奏する姿を見ると、全身が常に躍動していて、
足の動きに及んでは、まるでタップダンスの様。
私は当日まで存じ上げなかったが、
演奏家の男性はパイプオルガンの世界では第一人者だそうな。
常々、パイプオルガン奏者の方々は、
日頃どのように練習をなさるのだろうかと思っていたけれど、
3歳からオルガンの演奏を始めたという彼のご自宅には、
パイプオルガンが有り、後進の育成にも力を注がれているという。
私達を除いては敬虔な信者の方々ばかりの、とても家族的な演奏会。
曲の間にはオルガンのメカニズムに始まり、作曲家のエピソード等、
興味深いお話をお伺いする事が出来て、
まさに "Once in a lifetime opportunity" だった。
演奏を聴きながら、ふとパイプオルガン奏者が、
以前旅先で出会った機織りの職人さんのように見えて来た。
全身を使ってリズムを取りながら、
軽やかにシルクを織り上げて行く彼を思い出した。
音を紡ぐ。
まさに、その言葉がしっくり来る素晴らしい演奏会だった。
演奏会の終わり頃、近くで静かに聴いていた小さな兄妹が、
お父さんとお母さんにもたれかかるように眠りに落ちて行った。
いつも、美しい芸術は平和な眠りを誘う。
大音響の静寂。
パイプオルガンの紡ぎ出す音楽を言葉で表すのなら、そうなるかな。
体の中に、その心地よい残響をかかえたまま外に出ると、
教会も闇に包まれて静かな眠りについていた。
心に残る夕べに感謝。