松下啓一 自治・政策・まちづくり

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★自治基本条例(米子) 米子モデルの可能性

2008-07-04 | 2.講演会・研修会
(7月3日)
 朝一番の授業(オムニバスの担当分で、夕張の事例を紹介した)を終えて、13時35分の便で米子に向かった。中国地方には大きな積乱雲があるとかで、飛行機はそれを迂回したため、15分くらいの遅れとなった(ただ、米子は晴れていた。初めて)。夕方まで少し時間があったので、皆生温泉に寄って、皆生グランドホテルの日本海が見えるお風呂に入ってから、会場に向かった。
 今回は、事実上始めて、内容の検討になるので、私が話す時間を削って、みんなの思いを発露する機会とした。1人5テーマとしたが、多様な意見が出て、条例の枝振りを豊かにして今後の検討素材がたくさん出すという観点からは、成功だった。
 今、参加している何人かの市民には、自分たちがやっていることの不安、先が見えないもどかしさがあると思う。たしかに、今までならば、行政が段取りをつけてくれて、市民は「行政どうなんだ」といっていればすんだ。しかし、それをやめようというのが自治基本条例づくりである。市民自身が進むべき方向を考え、何が議論したいのかについても市民自身で決めるというのが、この条例づくりである。
 これは、これまでの行政とのやり取りになれた市民にとっては戸惑うことだろう(実は市民だけでなく、市役所も戸惑い、不安を持ちながら進んでいる)。しかし、一度、そこを突き抜けないと、「市民自治」は、身についたものにならないし、10年、20年先の自治は組み立てられないだろう。
 この条例づくりは、走りながら学んでいくことになる。大げさに言うと、終わって初めて、自分たちがやったことの意味が分るというのが、この条例づくりである。当分、暗中模索が続くと思うが、前へ進んでいることは間違いないので安心してほしい。
 以上が、自治基本条例づくりの難しさである。この条例は、机上で、条文をつくればいいという簡単なものではない。そのためには、練達のアドバイザーが必要になるが、次回から2,3回は、流山市で一緒に汗を流した今井邦人さんにバトンタッチして、PIの意義という観点から、自治基本条例の本質を市民(役所も)の人たちに体感してもらおうと思う。
 会が終わって、また11時半近くまで、大いに語った。また、のどぐろを食べた。朝は7時の飛行機なので(2時間目にゼミ)、大いに眠いが、いつもながら楽しいメンバーで、有意義なときを過ごした。
(第1回)
 米子市の市民会議は公募市民24名である。米子市は財政が非常に厳しいが、持続可能なまちづくりを目指して、ここで自治のルールを検討していくことになる。
 ここでも強調したのは、参加した市民の「市民代弁性」である。公募した市民は市民代表ではない(米子市の資料でも強調されていた)。その弱点を克服するためには、市民PIをすることになる。ただ、みんな熱心なので、大丈夫だと思う。そのなかで米子モデルのPIができあがると、すばらしいと思う。
 市役所にとっても、全員公募型の検討会は始めての試みで、大げさではなく、その成否が米子市の将来を決めることになる思う。担当の協働推進課の緊張感が伝わってきた(でもみんないつもニコニコしている)。同時に、市民の力量が問われるわけで、進取の気性に富んだ米子ならば、きっと乗り越えることができるだろう。
 終了後、いつものように夜遅くまで、大いに論じ、オダをあげた。そこで食べたのどぐろが旨く、翌日、境港のおさかなセンターで、お土産に買って帰ることにした。
 今回は、安いチケットを買った関係で、大いに時間の余裕があり、薦められた中海の大根島のボタン園に行った。ボタンもさることながら、庭が見事で、落ち着いた茶房からゆっくりと眺める、という至福のときを過ごした(来月は、連れ合いと来ることにしよう)。そのおかげで、羽田に戻ってから、走り回り、その後泣きながら原稿を書くことになった。締め切りは28日、6000字である。きっとできる、がんばろう。

(5月28日)
 今回も米子は雨であった。今回で米子は4回目になるが、いつも天気が悪い。
 今回は第3回の全体会になるが、会議の運営方法の議論した。前半の1時間は、会議の定足数である。4分の3とする原案に対して、それでは会議が成立しないケースも出てくるのではないかといった議論をして、それを決めるのに1時間を要した。しかし、こうした時間を使うのは決してムダではない。この会議にかける市民の期待が強いことの現れであるし、このために費やした時間は、今後の内容検討の際に戻ってくる(ほかの都市では、こうした議論を7,8回やっている)。急がば回れである。会議では、参加者がお互いを尊重する議論をしていて、気持ちがよい。自治基本条例は内容もさることながら、自治の新しい文化をつくるきっかけとなるものでもある。その予兆を感じさせるスタートとなっている。
 今回は、ひょんなことから松江に泊まることになった。帰りの空港バスを待つ間、宍道湖温泉駅で足湯につかりながら『ワークブック法制執務』(400ページの大部。確認したところ800ページであった。訂正)を読むという至福のときを過ごした。変な観光客であることは間違いない。 
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