300を超える空き家条例ができているが、むろんメインは適正管理(除去)であるが、その一割くらいに活用のタイトルを持つ条例がある。
牛久市あき家等の適正管理及び有効活用に関する条例、魚沼市空き家等の適正管理及び有効活用に関する条例などである。空き家特措法の勧告、命令、代執行による除去を基本に、有効活用を一条付加した内容になっている。
京都市の空き家条例は、京都市空き家の活用,適正管理等に関する条例で活用が前面に出ている。その分、活用に記述が厚い条例である。
有効活用の部分を特化したものとして、松江市空き家を生かした魅力あるまちづくり及びまちなか居住促進の推進に関する条例、燕市空き家等の適正管理及びまちなか居住促進に関する条例とするものもある。
以上は、いずれも、適正管理(空き家の除去)を主眼とするが、芸西村移住促進等空き家再生住宅の管理運営に関する条例、京都府空家及び耕作放棄地の活用による移住の促進に関する条例などは、空き家処理の条例ではなくて、地域資源として空き家を活用して、移住促進を狙うものである。
空き家=活動拠点と考えると、移住以外にもその応用範囲は広がる。NPOの悩みの一つが、活動場所なので、「市民公益活動を促進するために空き家を活用する条例」というのも、早晩できるだろう。ちなみに、京丹後市コミュニティビジネス応援条例「市は、地域課題の解決、地域の活性化及び地域の暮らしの向上のための生活基盤の整備並びに空き家の有効活用による住宅確保等定住の促進を図るもの
とする」として、やや強引であるが、空き家が登場する。
条例に書かれている有効活用の代表例は、「所有者等は、空き家等を適正に管理するとともに、移住、定住等による地域の活性化を推進するため、自ら利用する見込みがない空き家等を、第三者への賃貸、譲渡等により有効に活用するよう努めるものとする。2 市及び市民等は、所有者等と連携し、かつ協力して空き家等の有効活用に取り組むものとする」(砺波市第16条)というものである。
支援内容については、条例では書きにくいが、松江市では、「所有者等は、当該空き家を、第三者への賃貸又は店舗、地域交流拠点若しくは体験施設等としての整備等により積極的に有効活用する」として、「市長は、空き家を有効に活用した居住促進又は店舗整備等まちなかの賑わいづくりを行う者に対し、必要な支援を行う』と書かれている。魚沼市は、必要な支援を行うことができる場合として、(1)地域交流拠点として整備する場合、(2)定住を促進する住宅として整備する場合、(3)その他市長が認める場合を明示する。燕市では、「まちなかの空き家等の所有者等は、当該空き家等を居住促進や店舗整備等により、まちなかの賑わいづくりに積極的に有効活用するよう努めるものとする。2 市は、前項の規定により空き家等を有効に活用した居住促進又は店舗整備等まちなかの賑わいづくりを行う者に対し、必要な支援を行うことができる」(10条)とする。
支援内容については条例事項というよりも、政策事項なので、一つひとつ、自治体ごとの空き家政策に当たる必要があるが、京都市の支援策は町屋再生と絡めて手厚いものとなっている。これについては別の機会にと取り上げよう。