松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆空き家対策協議会の会長は市長でよいのか

2024-06-04 | 空き家問題

空家対策協議会では、市長がそのメンバーで、その流れで市長が会長というのが圧倒的である。それでいいのか。なぜ、そうなったのか。

空家等対策の推進に関する特別措置法の第8条では、

1 市町村は、空家等対策計画の作成及び変更並びに実施に関する協議を行うための協議会(以下この条において「協議会」という。)を組織することができる。
2 協議会は、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)のほか、地域住民、市町村の議会の議員、法務、不動産、建築、福祉、文化等に関する学識経験者その他の市町村長が必要と認める者をもって構成する。
3 前二項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。

と書かれている(令和5年の一部改正で協議会は第7条→第8条になった。Q・Aは旧条文のまま)

1.協議会と名前を付けているが、附属機関としての協議会である。附属機関の意義や立ち位置から、市長がそのメンバーになるというのはおかしいが、なぜ、そうなったのか(空家法は議員立法である)。

国の空家等対策Q&Aでは、苦しい説明をしている。515168.pdf (pref.aichi.jp)

Q 市町村長を協議会に入れる意図は。 
A 市町村は協議会の設置権者である(空家法第7条第1項)ことから、設置権者の長として市町村長が協議会の構成員とされているものと考えられます(「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」に対する御質問及びご意見に対する回答(第二弾)【国土交通省、総務省】)

これをいったら、附属機関は必ず長が入ることになってしまう。

2,協議会には、市長村長は必須としている。

Q 協議会の組織(構成員)について法では、協議会の構成員は第7条第3項に「協議会は、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)のほか~その他の市町村長が必要と認める者をもって構成する。」と明記されているが、協議会は市町村長が構成員となることが前提の協議会という解釈でよいか。 
A 御指摘のとおりです(「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」に対する御質問及びご意見に対する回答(第一弾)【国土交通省、総務省】)。

3.実際には、代理で済ませたいという自治体もあるだろう。 

Q 「市町村長(特別区の区長を含む。)」については、協議会設置要綱等において市町村長の代理者を任命することは可能か。 
A 協議会を設置した場合、空家法第7条第2項の規定により市町村長は構成員となる必要があるため、あくまで市町村長を構成員とした上で、空家法第7条第3項に基づく協議会の運営要領等において、市町村長が他の公務や病気等によりやむを得ず出席できない場合に副市長等が市町村長の代理者として出席する旨を規定する等の必要があります。 

Q 「協議会」について、市町村長の代理は OK とのことですが、臨時の代理ではなく、たとえば副市長や部長を代理としてずっと専任することは可能ですか。また、極端な話しとして市町村長以外のメンバーを外部の方を入れず全て市の関係各課の職員で構成しても差し支えないですか。 
A 市町村長を構成員とした上で、協議会の運営要領等において、代理人として副市長や部長を任命することは可能ですし、ずっと代理人が出席し続けることは妨げられておりません。市町村長以外のメンバーは、市町村長が認める者であれば誰でも可能であり、その構成については市町村のご判断に委ねられます( 空き家に関する質問・回答一覧【中部地方整備局】) 

4.附属機関に市長が入るのは妥当でないことから、メンバーに入って採決に加わらないという措置も考えられる

Q 協議会 構成員 協議会において市長の参加は必須であるが、市長を議事・採決に加わらない構成員とすることは可能か。 
(質問の意図)当市において空家等対策協議会は、特定空家等への該当について協議事項とすることを検討している。ただし特措法によると特定空家に対する一連の措置を行うのは市長であるため、協議会における特定空家への該当に係る協議に市長が加わることは公平を欠くおそれがある。そのため、市長は当該空家が特定空家に該当するかを協議会に諮問する立場として、常時協議会に参加することとしたい。A 法第7条第3項より、協議会の運営に関する事項は協議会が定めることとなっていることから、御指摘のように、案件によっては議事・採決に加わらないような運用も可能です。 空き家に関する質問・回答一覧【中部地方整備局】 

5.市長がメンバーになるのは、法律上は仕方がないとしても、その会長は市長でなくてもよいのではないか。

Q 協議会 構成員 協議会の長についての説明がなされていないが、長の選出は任意でよいということか(市町村長が必須の構成員となる場合、市町村長が長となるのが自然の流れになると考えられる。その場合協議会に柔軟な対応や開催が難しくなると考える)。 
A 空家法第7条では、協議会の長について特段の規定はなく、また同条第3項で「協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。」とされていることから、協議会の構成員のうちどの者を協議会の長とするかは当該協議会において決定頂くものと考えます。なお、市町村長は協議会の必須の構成員です(「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」に対する御質問及びご意見に対する回答(第二弾)【国土交通省、総務省】 )

6.そもそも、特定空家や管理不全空家の認定を業務内容とする協議会に、最終的に認定する市長が入るのは好ましくない。市長を入れる理由の説明も難しい。空家法はあきらかに書きすぎであるし、むしろ間違いといえる。余計なトラブルのもとでもある。

国が「なお、市町村長は協議会の必須の構成員です」といっているなか、市町村長を外すことは難しいとしたら、攻めて会長は市町村長でないとすべきだろう。

7.しかし、大半の自治体は市町村長が会長になっている。ざっと見たところ、枚方市は学識者が会長になっている。小田原市は私が会長である。

8.副会長をやっている厚木市に、特に管理不全空家が導入され、固定資産税の減免がなくなる認定をするので、市長が会長であることを代えた方がいいんじゃないと言おうと思った(私を会長にしろという話で、何か、いやな奴であるが、気心も知れているし、私はそういうことを言う人だと思われているので、悪意にはとらないだろう)が、よく見たら、条例で「市長を会長とする」と書いてある。

9.条例改正してまでという話にはならないので、言うのを止めた(条例改正するとなると、市長が会長ではまずかったという説明をしないといけない。実際には融通が利かない、議論が活発化しない、今後トラブルのもとになる(現にトラブルになっているわけではない)といった程度の理由で、条例改正は無理である。

10.もやもやは残るが、協議会は第三者的立場を貫徹し、真摯な議論をすることで、疑念がおこらないようにしていくことにしよう。

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