松下啓一 自治・政策・まちづくり

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★合同政策形成研修(茅ヶ崎市、寒川町)

2018-08-04 | 2.講演会・研修会
研修成果の発表会があった。この研修会は、茅ヶ崎市と寒川町との合同研修会である。この日は4回目にあたり発表会となった。

今回も、3チームに分かれての検討を行ったが、チーム力にあふれた力作揃いとなった。最優秀になったのは、相模川が氾濫するとの想定で、避難所開設と情報共有をテーマとするものである。

相模川が氾濫するなんて、まさかと思うが、今回は、西日本では、そのまさかが起きた。原発が津波にやられるのだって、まさかである。相模川の氾濫マップもできていて、寒川町では、屋根の上、5メートルまで、水が来る地域もあるそうだ。このケースでは、町内の10ある避難所のうち、7つは水没して使えなくなるそうである。

この事態では、もはや一自治体では、カバーできない。幸い、隣接の茅ヶ崎市の高台地区は、水没を免れるので、ここに共同して避難所をつくろうという計画である。もちろん、困ったときは、近隣で助け合うというのが、法の想定であるが、法があるからと言って、スムーズに共同避難所ができるわけではないので、日ごろの計画や準備のなかで、対応しておこうというものである。

 この発表会には、両市町から関係の職員が参加して、にぎやかに質疑を行う。寒川町のほうから、こんな質問があった。確かにこの計画は寒川町にとってはありがたいが、茅ヶ崎市には、ほとんどメリットがないのではないか。茅ヶ崎市からは、しにくい質問ではないかと思うのであえてしたというものである。ありがたい。

 むろん、助け合いは、話の一部を切り出して、損だ、得だとやっていたら進まない。全体的に考えなければいけない。

 こんな意見もあった。災害時にスーパーなどと協定を結んで、被災者に商品を提供する仕組みを作っているが、実際には、慌てて買いに来た市民に、ほとんどの商品が買われてしまって、提供するものがないということになる。しかし、寒川町には、製造工場がたくさんあり、ここと協定を結べば、スーパーに出す前の商品を買いそびれた茅ヶ崎の市民に配れるのではないか。

 全部をフルセットで持っている自治体は、そうはない。それぞれの弱みを補い、お互いの強みを引き出して、トータル的に、WIN・WINにしていくのが、自治体の矜持である。そんな前向きの議論になった。

 そのほか、フィンランドの育児パッケージを模した「茅ヶ崎・寒川ウェルカムパッケージ」、交通空白地域を埋め、こどもの交流を主眼とする公園連結コミュニティバスなど、興味深い提案となった。研修生も参加者も、大いに学ぶ機会になったのではないか。

 この合同研修が上手くいくのは、参加者はもちろんであるが、茅ヶ崎市と寒川町の研修担当の人たちの力も大きい。これも一生懸命考え、議論した結果だと思う。感謝したい。

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