松下啓一 自治・政策・まちづくり

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○空き家問題から自治体産業政策を考える・メモ

2016-04-22 | 空き家問題

 空き家問題から自治体産業政策を考えてみよう。メモ。

 ・地方創生の流れで、地域において仕事を創生することが大事である。
 ・これまでの自治体産業政策は、補助金と税制優遇くらいであった。

 空き家問題では、空き家ビジネスが注目される。そのスキームは、空き家の管理を入り口に、その後の売買、賃貸、修繕、新築、取り壊し、相続問題等、大きなお金が動く、ビジネスチャンスにつなげるものである。つまり、空き家管理そのものは、ビジネスとしては、なりたたないかもしれないが、その後の展開を視野に入れて、ビジネスとするものである。

 このビジネスが成り立つためには、多くの人が空き家の管理について、自覚し、相談し、管理を委託することである。現在は、その受け皿として、建築士、不動産屋、行政書士などが,NPOをつくり、相談窓口を開設している。また、不動産屋さんが単独で、空き家管理始めますというビジネスを始めた。

 こうしたなかで、自治体がとりうる産業政策としては、
 ・多くの市民が、空き家管理を意識するとともに、無料で気軽に相談できる窓口を用意することである(これはあくまでも次のビジネスに続けるため)。
 ・ただし、この場合の大事な視点としては、自治体が全部自分たちでやるという、これまでの発想を乗り越えることである。
 ・つまり、民間がその力を存分に発揮できるように後押しするということで、役所が開設した相談窓口に、NPOや業界団体に来てもらう。あるいは、NPO等が設置した相談に行ってもらうようにPRすることなどの施策が考えられる。
 ・空き家ビジネスの窓口になるNPOがない場合は、設立を誘導し、育成することも必要である。協働提案事業を使ったり、業界団体に働きかけて、体制整備を誘導することも、空き家担当の仕事となる。
 ・こうしたNPOがきちんと公共性を維持し、市民の利益を阻害しないように、手綱を締めるのが、行政の役割である。その意味でのチェックの仕組みが大事になる(ただチェックと言っても、監視ではない。これは高コスト、非効率。ともに公共的な役割を果たしているという、共感と責任に基づく「監視」である)。

 ここでは空き家問題を取り上げたが、ここで述べたことは、自治体産業政策の新たな展開を考えるヒントなのだと思う。

 

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