松下啓一 自治・政策・まちづくり

【連絡先】seisakumatsu@gmail.com 又は seisaku_matsu@hotmail.com

★協働研修(弥富市)

2023-04-30 | 2.講演会・研修会
 愛知県弥富市の協働研修である。弥富市は、名古屋から30分くらいのところにある。全体には豊かなまちである(財政力指数2.5の飛鳥村はお隣)。

 この弥富市では、総合計画をつくっていて、その一環で、中堅職員を対象とする協働研修をすることになった。私が頼まれ、午前と午後の2回、協働の基本とワークをやった。

 私の協働論は、市民と仲良くやるという話ではない。やや大げさかもしれないが、日本の地方自治(日本社会)がどう生き残るかの話である。そんな大げさな話であるが、研修は、いつもの通りで、騒音係に行った話やポストイットのまくり方など、やりたい放題で、受講生も戸惑ったのではないか。

 協働は、1990年代に生まれてくる。いまだ、人口ボーナスの真っただ中であるが、すぐ先には、人口減少、少子高齢化が見えている。今までのように、税金だけに頼った地方自治はでは、先がない。どうするか。

 そこで、もうひとつの公共、つまり、公共を担う市民の行動力や知識、関心に注目して、新たな公共の担い手になってもらうというのが協働である。

 では、こうした市民に力を出してもらうにはどうしたらよいか。

 役所と一緒にやることで力を出すのが一つである、これが一緒にやる協働である。1+1を3にする。

 もうひとつ、役所と別々にやった方が、力ができる場合がある。行動原理が違う役所と市民が一緒にやることで、1+1が1.5になってしまうからである。これが一緒にやらない協働である。

 つまり、協働は、もともと、もうひとつの公共の担い手である市民が、その力を存分に発揮して、これからの難局を乗り越え、新たなまちをつくっていこうという概念であって、一緒にやるかどうかは、手段に過ぎない。そんな話となった。

 後半のワークは、弥富市の家族の形態変化を素材に、協働の必要性を考えてもらった。

 弥富市も全国の例とほぼ同じで、単独所帯がトップである。ただ、いくつかの違いがあって、年代別の人口移動を見ると、弥富市は、25歳前後は、転入超過であるが、35歳前後は、転出超過になる。つまり、働く場所がたくさんあるので、若者が働きに来るが、結婚して子どもができるころには、他のまちに転出してしまう。

 夫婦2人世帯の数が、全国に比べて少ないのは、そのせいだろう。
 
 また、単独世帯の中身も他のまちとは少し違うのだろう。おそらく若者がやや多いとも思われるが、それでも高齢者はどんどん増えていくのは間違いない。

 もうひとつ、3世代世帯が、全国平均よりもやや多いというのも特徴だった。ところどころに大きな家があるが、ここは3世代家族なのだろう。

 というのは、弥富市は、木曽川の下流、河口にあるまちである。海抜が、川よりも低いゼロメートル地帯ということである。学校で習った、輪中のまちである。たしかに、町全体がまっ平で、わが三浦半島とは、ずいぶん違う。その分、土地が豊かなので、農業生産力も高かったのだろう。だから、大きな家が残り、3世代家族が、比較的多いのかもしれない。

 いずれにしても、家族の形態を見ると、協働(互助)の必要性がよく分かる。そんな研修になったと思う。

 研修にあっては、(株)ぎょうせいの皆さんにはお世話になった。さまざまな手配から、資料の作成まで、とても助かった。感謝申し上げたい。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ☆もう一本連載を書くことにな... | トップ | ☆チャットGPTで論文を書い... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

2.講演会・研修会」カテゴリの最新記事