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松下啓一 自治・政策・まちづくり

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5.政策実施論・研究者と実務家の関心の違いから

2025-03-15 | 政策実施論
 政策実施論は、政策形成論に比べて、研究者の関心は全般に低調で、研究成果も限られている。それは研究者が研究のポイントを外しているというのではないかというのが私の仮説であり、問題意識である。

 政策実施論は、政策の実施過程の分析を試みる研究であるが、そのなかでも策定した政策が実施段階で変容することに焦点を当てて、その変容のメカニズムを解明しようとする。これは分析型政策実施論ということができるだろう。
 ところがこうした分析は、「行政の研究の中で,広く深い分析を要し,ゆえに難しい」 ゆえに、実務経験のない外部の研究者が、この研究に参入するのは、容易なことではない。どこから手を付けてよいのか、どのように問題にアプローチしたらよいのか、大いに迷うだろう。それが政策実施論研究が低調に推移している理由のひとつだと思う。

 他方、実務者からみると、策定した政策が実施段階で変わっていくのは、特に珍しいことではなく、また、その変容の理由も、体験的によく分かっている。だから、政策が実施段階で変容するメカニズムについては、さほど関心がない。だから研究者と協力して、変容にメカニズムを研究する動機としては弱い。
 実務者が知りたいのは、策定した政策が、実施段階で、形骸化することがないようにするのはどうしたらよいか、あるいは、実施段階で、政策がより実効性を持ものとしてブラッシュアップさせるにはどうしたらよいか等である。政策実施段階における政策の創造性に関して実務者は関心がある(創造型政策実施論)。この点の研究ならば、大いに共感し、プロジェクトもできるのではないか。

 このように政策実施論に対する研究者と実務家の関心のずれも、政策実施論研究を低調にしているもうひとつの理由といえるだろう。
 私としては、実務者の関心から、創造型政策実施論を考えてみたいと思う。
 
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