松下啓一 自治・政策・まちづくり

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★コミュニテイ講座(代々木)

2011-02-08 | 2.講演会・研修会
 NOMAのコミュニティ講座に参加した。参加者は27名と満員となった。
 今回は八戸市の協働担当の方に来ていただき、事業を紹介してもらった。八戸市は、東北一の協働推進自治体で、さすが、さまざまな施策を重層的に行っていた。特に印象的だったのは、地域ごとの温度差にあわせて、初級から上級までのメニューが用意されていていることである。ついつい、同じ自治体内だと横並びにしたくなるが、考えてみれば、地域ごとに事情が違うので、できることの違いが出てくるのは当たり前である。八戸市の報告が興味深かったということは、たくさんの質問が出たことから、よく分かる。
 今回は、コミュニティの課題をグループごとに順番をつけて出してもらった。課題は、行政側だけでなく、市民側にもたくさんあるということが、明らかになった。これについては、政策現場の興味深い意見なので整理しておこうと思う。
 コミュニティ政策でキーとなるのは、コミュニティの位置づけをはっきりすることである。これまで、それがはっきりしないから、コミュニティ政策もふらふらする。私はコミュニティ(特に地域の自治組織)は、市民の幸せをつくる重要な存在と考えている。それは、今回の新燃岳の噴火をみても、高齢者を回って、救援活動を行っているのは市民だからである。地域の自治組織なくしては、地域の安全、安心は維持できない(自治組織が不要という論者は、その場合の代替案を示す必要があるだろう。NPOが担うべきというのなら、どのようにNPOを組織化するのかを示さなければならないし、行政がやるとなったら、そのための予算をどこから捻出するかを示す必要がある)。
 これは自治基本条例で議論し、明確に位置づけるべきだと思う。
 質問で、自治会への参加促進するためにという政策のひとつとして、自治会員になれば、ごみ料金は安くなるというのは、どうかという意見が出た。
 整理すると次のようになる。
 ①自治会員ゆえに、ごみ料金が安くなるというのは、憲法14条等の問題がある。合理的差別かどうかである。一般には、単なる合理性だけではなく、厳格な合理性が求められるから、やや無理がある。
 ②これを乗り越えるには、ごみの有料化を前提に→自治会への補助→自治会員へはごみ収集料金が無料になるゴミ袋の配布等という手段を講じるという方法ならば、いけるだろう。ここでは、なぜ自治会への補助を出すかというところが論点である。自治会加入促進という理由ではだめなことは無論である。
 ③自治会に入らず受益だけを受けるフリーライダーというのがいる。しかし、たとえばごみステーションの掃除や地域の美化は、自治会に入っていなくても、そこの住民ならば担うべき責務がある。判例も自治会に入っていなくても共益費部分は負う責任があるといっている。自治会に入っていなくても共益費を集めている自治会もある。自治会は、掃除をするひとつの担い手に過ぎない。同じまちに住むもの同士として、自治会は未加入者に、清掃の参加を求めることができることになる。
 ④それでも、やりたくない人に強制することはできない。そうなると、まちのルール、さらに言えば、民主主義のルールに戻ることになる。同じまちに住むものとして、いわば市民としての役割は何かという問題である。私たちの民主主義とは、他者への配慮を前提としてなりたっているからである。
 ⑤そうすると、自ら自律し、他者への思いをはせる社会作り、もう少し言うと、そうした行動をとらないと、人として恥ずかしいと多くの人が感じる社会を作っていくことが大事ということである。これが自治基本条例を論じる理由でもある。私たちは、今、新しい社会システムを再構築する、そのとば口に立っているのだと思う。簡単なことではないが、取り組んでいかないと、私たちの未来はないということだと思う。
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