松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆新城市若者議会の改良点・質問から(三浦半島)

2019-12-03 | 1.研究活動
 別の大学の学生から、新城市の若者議会を卒論に書いているが・・・ということで、質問があった。

 何点かあるが、「山形県遊佐町の少年議会と新城市の若者議会について、若者選出方法の違いを論じようと考えているのですが、どう思いますか」という質問である。

 とてもいい質問なので、大要、次のように返事した。

 まず、遊佐町の少年町長・少年議会と新城市の若者議会との大きな違いは、若者の選出方法である。遊佐町は、手上げ(立候補)のあとに、有権者(ほかの若者)の選挙になる。ただ、最近は、立候補者が定数一杯で、信任投票になっている(制度の概要は、拙著若者参画条例の提案に詳しい)。

 この点、新城市は、若者議会に立候補した若者の信任の手続きをとっていない。

 つまり、新城市でいえば、他の若者の信任を得ていない若者が予算提案することの正統性が問題となる。

 むろん、予算提案はあくまでも提案で、市長が予算として出すことを決め、議会が決定するという制度論からいえば、他の町内会や各種団体からの予算要望のひとつだと言えなくはないが、若者議会の予算提案権が、事実上の拘束力を持つ現状から考えると、正統性を担保する仕組みが必要という議論はもっともである。

 その意味で、遊佐町のほうが一歩進んでいるが、遊佐町は、投票権を持つものが、地元の高校(遊佐に住む高校生が通っている隣町の高校も含む)で、高校において、投票をするので、有権者も限られ、高校で投票するから、一定の投票率も確保できる。

 しかし、新城市のように高校生以外の若者も対象とすると、投票制度の制度化が難しくなる。選挙をやっても、実際の投票率は極めて低くなり、費用ばかりの膨大にかかってしまう。

 私がいいねと思っているのは、若者議会で選ばれた後、自分のやりたいことをアピールして、「いいね」を集める方式はどうかというものである。

 自分は、こんなことをしたいとアピールして、「いいね」が少なかったら、やりたいことを変更することも考えられる。

 要するに、選挙は、人を選ぶが、突き詰めると、「何をする」人なのかを選ぶ仕組みである。これは「何をする」に焦点を合わせて仕組み作りといえる。

 若者議会メンバーの一人ひとりの主張に「いいね」をする方式が、難しかったら、この年、若者議会が実施したいと考える政策案をいくつか出して、これに「いいね」をもらう方式も、あるかもしれない。いいね、だけでなく、「こうしたら」も付け加えるというのもあるかもしれない。これはパブリックコメントを取り入れるということだろう。

 アイディアはいくらでも出てくるだろう。

 理想論を言うのは、簡単であるが、やって何も効果がなかったら(費用倒れになってしまったら)、意味がない。体験的にいうと、大人は、頭で考えた理想論に走り、そこで思考がストップするが、若者は、もっと実践的で現実的なので、ちょうどよい「いいね」案を考えるのではないか。

 こんなアドバイスをした。卒論を期待したい。

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