松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆足並みをそろえるルール・熟議の市長選挙②(新城市)

2017-07-06 | 1.研究活動
 候補者が、足並みをそろえて、公開政策討論会になるには、いくつものハードルがあるようだ。

 何よりも、候補者が「やろう」となって、話が先に進む。新城市のケースでは、白井さんからの公開質問状があってから1週間、それに対して穂積市長さんからの回答、そして逆提案の公開政策討論会があってから2日間、もう一人の候補者の山本さんからは、音信がない。白井さんからは、すでに配達証明付きの郵便で送られ、今度はファックスで送るそうである。知らないということはないから、あえて返事をせずにいるということなのだろう。

 山本さんが返信をしない理由については、推測の域を出ないが、今回の取り組みが、市民自治にとってプラスであることは異論がないであろうが、ただ白井さん、穂積さんの土俵に乗るのは不利と考えているからだろうか。白井さん、穂積さんとも、議論上手であるし、白井さんは現職の市会議員、穂積さんは市長なので、山本さんとすると政策面でも不利と感じているのだろうか。しかし、政策討論会は、政策の内実もあるが、結果として、それに伴う候補者の人となりをも競うことになるので、弁舌鮮やかに、論理鋭く、相手の弱点を突くような議論の仕方は、むしろマイナス評価を受ける場合もあるかもしれない。

 さて、この論考は、新城市で行われようとする熟議の市長選挙のレポートを通して、新城市における取組を一般ルール化して、全国の自治体でもできるようにするには、どうしたらよいかを考えるものである。その点で、今回、まず露呈したのは、候補者が足並みをそろえて、参加することの難しさである。その対応策として、どのような制度や仕組みが考えられるか。

①一番すっきりするのは制度化、義務化である。告示後、立候補者は、公開政策討論会に出なければいけないという制度改正である。この制度設計については、もう少し先に考えていくことにしよう。
②制度化、義務化になる以前に任意で候補者がそろって公開政策討論会を行うには、どうしたらよいかである。

 本人たちの誘因に働きかけることが一つのアプローチであるが、考えられるのは、これに出ないと候補者としては失格であるという社会的評価を受ける社会的誘因に働きかける仕組みである。

 ただ、これが誘因になるには、社会全体に、こうした仕組みの必要性が認知されることが必要である。社会の暗黙の声として、候補者たるものは、公開政策討論会から逃げるべきではないという社会的雰囲気である。ここから、今回の先達としての新城市の市長候補者たちがすべきことは、この社会的条件を醸成するために、いきなり公開政策討論会に入るのではなく、公開政策討論のそもそもの必要性を広く市民に訴えるところから始める必要がある。

 あわせて市民もこれに呼応することが必要だろう。しかし、新城市政や新城市の議会を非民主的だと盛んに取り上げるブログも、この件については、なぜか音なしの構えである。市政や議会を市民に近づけるチャンスなので、大いに盛り上げてほしい。
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