「願興寺」悠久の1200年

最澄縁の願興寺ブログ。2015年には開基1200年祭を予定。本堂、24体の仏像が国指定の重要文化財。

如来の印相

2012-05-31 09:22:26 | 仏教

願興寺の本尊は、伝教大師(最澄)自刻の薬師如来である。平安時代作の特徴を色濃く表現された至宝である。この仏さまの印相は、左手は施無畏印と呼ばれる印相で、掌を前に向けて説法を聞きに来た人に安心感を与える印相といわれる。左手は与願印といい、人々の願いをかなえる印相であるが、平安時代よりの薬師如来の左手は薬壺(やっこ)を持つものが多いといい、願興寺の薬師如来も例に漏れない。

願興寺の所蔵する4体の如来の内でも、特徴的な印相として全国的にも注目を集めているのが、釈迦如来の説法印である。この説法印は釈迦が始めて法華経を説法した時の印であるといわれ、全国的にも非常に珍しいとされている。

さて、残るは立像、座像の阿弥陀如来だが、阿弥陀如来の印相は九品(きゅうぼん)来迎印といい、指の形と掌の位置によってそれぞれ9種に分けられる。指はどれも親指と人差し指、中指、薬指で輪を作る。これによって上品(じょうぼん)、中品(ちゅうぼん)、下品(げぼん)に分けられる。座像で組んだ脚の上で両手を組んでいるのが上生(定印)、両手を胸の位置に上げているのが中生(説法印)、右手を上、左手を下に向けているのが下生(来迎印)という。品が3種、生も3種で合わせて9種の印を結ぶが、どの段階で現世を終えても阿弥陀如来がお迎えに来られ、極楽浄土へ往生できるという。

願興寺の阿弥陀如来も立像は上品下生(来迎印)を結んでおられ、座像は上品上生の定印を結んでおられる。現世での信仰や徳は座像の阿弥陀さまに向けれた方が段階的には良いとされる。

大仏といえば、奈良大仏と鎌倉大仏を思い出される方も多かろう。非常によく似たこの2体の仏さまであるが、奈良大仏は毘廬遮那如来(びるしゃなにょらい:廬舎那仏ともいう)といい、鎌倉大仏は阿弥陀如来である。そのため、奈良大仏の印相は右手は施無畏印、左手は与願印と釈迦如来などによく見られる印相である。それに対し、鎌倉大仏は願興寺の阿弥陀如来座像と同じ上品上生の定印を結んでおられる。

このように仏さま、特に如来の尊名や役割を知るには印相をで見分けるのも一つの方向である。参考までに写真の釈迦三尊像で釈迦如来は先ほど申し上げた説法印をむすんでおり、普賢菩薩は合掌印(両手の指がしっかりと密着しているので、蓮華合掌である。両手の指同士を重ねるようにするのを金剛合掌という)

願興寺公式サイト

みたけの森のささゆりも見ごろを迎えてきています


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
独り言です。 (堅田正夫)
2012-07-24 21:10:13
岐阜では東大寺の毘盧遮那仏と鎌倉の阿弥陀如来に岐阜大仏を日本三大仏と呼んでいます。
因みに像高は・東大寺14.86m ・鎌倉高徳院11.387m ・岐阜大仏(釈迦如来)13.7mです。

岐阜大仏 木竹芯乾漆造(紙張貫像とも言える)著色  黄檗宗金鳳山正法寺(岐阜市大仏町)                   
38年を要して1832年(正保3年)完成です。

鎌倉や御仏なれど釈迦牟尼は美男におわす夏木立かな 与謝野晶子 
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