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バルブ擦り合わせ

2007-07-14 | Weblog
本日はシリンダーヘッドを組みますが…。その前にバルブとバルブシートの当たり面を出して圧縮漏れを防ぐ「擦り合わせ」をやります。バルブコンパウンド細/粗、光明丹、タコ棒(バルブラッパー)、オイルなどを用意。



作業は単純かつ原始的。まず、バルブの縁(シートと当たる面)にバルブコンパウンド細を、バルブの軸にオイルを塗布して、バルブガイドに差し込む。次にバルブの頭にタコ棒をひっつけて、キリのように回転させながらバルブをシートに叩き付ける。結構な勢いで叩き付けるので、カン!カン!といい音がします。そんな単純な作業なんだけど、これが結構大変で、まず「回しながら叩き付ける」というのがどうもうまく行かない。あとタコ棒がすぐ外れる。さらには下手だからなかなか削れず、うまく当たり面が出ない。慣れるまで大変でした。



ある程度この作業をやったら、一度バルブに光明丹をうすく塗って差し込み、シートに押し付けてまわしてみます。シートにオレンジの帯がつくと思うんだけど、その真ん中らへんにグレーの輪っかができるようであれば一応面が出ている(その部分が「当たっている」ことになる)



こんな感じで。ただ、光明丹チェックはあくまで仮で、今どのくらい当たりが出てるかな?を知るくらいに留めておいた方が無難かと。最終的には灯油を注いで漏れがないか調べたりします。

つうか、当たり面が広すぎて、なかなかいい当たりが出なかった。バルブが閉まるときは同じ力(スプリングの張力)で閉まるので、当たり面の面積が小さい方が、よりしっかり圧着して閉まるのだ。…とまあ、そんな具合だったのでシート面を少しバルブシートカッターで削るか、と。
使用するのはウミヒラ。値段を聞くとびっくりしますが、手に取ってみるとうっとりするようないい作りです。すばらしい。


ええっと…。その前にバルブとバルブシートの当たり面、バルブシートの形やバルブシートカッターで行う作業の概要を簡単にまとめておきますと…。

《バルブシート部分断面図》
 

バルブシート部分は、120°、90°、60°、3つの角度でカットされていて、このうち真ん中の90°の切れ角によって出ている面(図で濃い線になっているところ)がバルブとの当たり面になっています。あ、この角度の数値はコマンドの場合ですよ。トラとかどうなってるかは知りません。

で、現在この図で出ている当たり面が広すぎると仮定すると…。その面積を減らす為にバルブシートカッターを使います。例えばバルブシートに60°の角度でバルブシートカッターを当て、下へ向かって削っていくと、バルブシートカッターはすり鉢状だから必然的に両サイドも削れて広がるわけです。
 

するとどうなるかというと…。90°の切れ角でできていた傾斜面、つまりバルブとバルブシートの当たり面が削られて、当たり面が小さくなります。
 

水色とオレンジの点線で区切られた部分がなくなったわけですね。60°で削ると内径が広がり、120°で削ると外径が広がる。これについてはどちらも得られる効果は同じなので、状態にあった方を選んでやります。たぶん。

…とまあ、そんな仕組みのバルブシートカッターでがりがりと。使用上の注意点としては、バルブガイドにぴったり合ったサイズのシャフトを選んで使うこと。ここがガタガタだとうまく削れないので。あと、回すときは必ず時計回りに。



シートを削り終わったら、またバルブコンパウンドとタコ棒でカン!カン!叩く。ある程度やって「面が出たんじゃないかな」と思ったら最終チェック。バルブコンパウンドをきれいに拭き取り、何もついてない状態でカン!カン!やります。やってみてバルブがバルブシートに当たって回ったときに「ギキュッ!」とか「キキャッ!」とかそれまで聞いたことない金属同士が密着して擦れる摩擦音が聞こえたら完成。当たり面が出たと判断します。校長の経験からくる判断基準らしい。片方の排気ポートだけどうしてもこの音が出ないので、光明丹でチェック。校長のジャッジを仰いだらば「まあ、出ていると思うよ」ということで、バルブの擦り合わせは終了。灯油チェックまではしなかった。

きちんと面が出るまで何度もやり直すし、面倒かつ緻密な作業だが、ここで圧縮の質とそこから引き出せるパワーが決まると言っても過言ではないので時間をかけてきっちりやります。…最後の最後でファジーな判断はあったけども。

あ、あとバルブコンパウンドを拭き取る際はウェスではなくティッシュで拭き取ります。バルブコンパウンドは細かいガラスのようなものが入っていて、これが誤ってウェス経由でエンジン内部に付着するとダメージを与えるので注意。

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1 コメント

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CCSCモデルファン (ストライベック)
2025-05-12 09:21:29
最近はChatGPT(LLM)や生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、トレードオフ関係の全体最適化に関わる様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術とは違った日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
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