「中学生になった頃から歌えなくなった気がします」
カウンセリングをしていると、こうしたことをよく聞きます。
第二次性徴期におこる生理現象として、「変声＝声変わり」があります。
これは身体が大きくなるにつれて、喉、その中の声帯も大きくなるために、声質が変わることです。
男女ともに起こりますが、男性はその差異が大きく、声の高さが1オクターブくらい低くなります。
バイオリンよりも楽器が大きいコントラバスの方が低い音が出るのと同じです。
声帯が太く長くなると、出される声も太く低くなるのです。
声帯が長く太くなっていく変声は半年から一年ほどかかります。
その期間中、声が出し辛くなるのです。
声帯も炎症していますが、その期間、無理に声を出すのは禁物です。
低い声（地声・胸声）、高い声（裏声・頭声）を、交互に発声するのが良いでしょう。
逆に、出し辛いからと言って、声を出さないでいると、声帯や、その周りの筋肉も衰えてしまって、かえって長引かせることになりかねません。
適度な発声によって、声帯、喉全体を動かしておくことが重要です。
こうした変声期に、声のメインテナンスを行っておかないと、上手く歌えないということが起こってしまうのです。
音痴で悩む人の中には、こうしたことが原因となっている人も少なくありません。
高牧康