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On The Road

小説『On The Road』と、作者と、読者のページです。はじめての方は、「小説の先頭へGO!」からどうぞ。

4-2

2010-01-28 21:25:09 | OnTheRoad第4章
 「あの、病院の前だし、喫茶店にでも行きませんか?」と僕は言った。飲み物はもういらない。2人に必要なのは落ち着いて話すことだと思った。このままでは本心ではないことを言いあってしまいそうだ。僕が立会人に向いていないならバスで帰ればいい。
 僕はサトウさんの肩をさわった。堅くなっていた肩の力がスーッと抜けていって「ジュースでも飲むか?」とサトウさんが言った。

 さっきスズキさんと上ったばかりの坂を3人で降りた。途中でどちらかが口を開くと言いあいになりそうだから、サトウさんが先頭になって僕はアキトシさんの半歩くらい前を歩いた。

 「お大事に」はさっきより少し空いていた。午後の診察が始まったからだと思う。
サトウさんが奥に僕は隣りに、アキトシさんは僕の正面に座った。僕はコーヒーを3つ注文した。


4-1

2010-01-27 21:22:08 | OnTheRoad第4章
 「アキトシです」と自己紹介されなくてもサトウさんの息子さんだとすぐわかった。サトウさんを微調整したらアキトシさんになるくらい2人は似ている。不謹慎だけどおかしくなるくらい。

 「お前が来るんならオレは二度とこない」とサトウさんが言った。お母さんと2人でケーキを食べていたのが見つかったときに、小学生だったアネキはあんな顔をしていた。
 「オフクロは病気なんだよ。息子が見舞いに来て何が悪い」。アキトシさんの言うことは間違っていないと思う。
 でも、「どうせもうすぐ退院だ。お前の家に連れていけばいい」とサトウさんが言ったのはちがう。サトウさんは退院を楽しみにしていたし、アキエさんだってなでしこに帰りたいと思う。
 「オフクロが病気になったのはオヤジのせいじゃないか」とアキトシさんがどなって、僕の頭の中を「一触即発」という四字熟語が飛びかった。


第4章 Shall we go?

2010-01-27 21:21:23 | OnTheRoad第4章
僕はズルして中学の絵のコンクールで賞をとったけど
それからズルはしてなくて
クラス委員にもサッカー選手にもトレーダーにもなれなかった

レリビーレリビーと繰り返すと
だから僕になれたじゃんって気分になれるよ

あとはそんな僕を認めてくれる誰かと会えればいいんだけど


コージの詩集「灰色ノート」より