国道3号線ぞいの超レトロ穴場湯で鉱泉行水

2009-08-21 10:29:00 | 熊本の温泉など
 山鹿温泉からさらに国道3号線を南下、植木町に入ったあたりにある宮原温泉。ずっと目をつけていた温泉ですがやっと訪れることができました。


 「え?ここ?」


 まさか国道沿いにあると思わなかったので逆に迷ってしまいましたが……。宮原温泉はたった2軒の宿しかない温泉なのですが、透明なアルカリ泉が多い北部熊本地方には珍しい赤い炭酸水素塩泉が楽しめるということでひときわ個性的な温泉なのです。今回たずねたのはその2軒の中でもさらに古い「元湯旅館」のほう。


 国道ぞいに立つ黄色いノボリを目印にまがると、両側が低い田んぼ、まるで舞台の花道のような短い道路がありそして砂利の駐車場に着きます。駐車場からして交通量の多い国道と比べると別世界、ひなびた田舎の土のにおいを感じる民家の庭、といった風情です。

 奥へ入ると、おお~! 立派な唐破風の玄関。


立派な唐破風の玄関



 この段階で良い温泉のヨカンがビシビシと伝わってきます。道に迷った時に電話していたので、女将さん・ご主人が待っていてくれました。


 「うちは赤湯ですけどよかですか?」
 と何故か申し訳なさそうにきかれます。


 私らマニアには信じられないのですが、年配の方の中には
 「水道水のような透明な湯じゃないとゆるさーん!」
 という人もどうやらいるようですね。


 大分県の長湯温泉に「金臭くて嫌」とクレームつけたヒトもいると、どっかで聞きました。


 私はむろん
 「赤湯大好きですっ♪ 赤湯目当てで参りました~」
 と答えたら、二人とも顔をほころばせてくれて、それでは、と温泉へ案内してくれました。


 夏の草花が生い茂る庭を奥へと進み、縁側のようなところで履物を脱ぎ、建物の中へと入ります。ここにもまな板がいっぱい干してあり、ここからしてレトロムード全開。


まな板



 昔通っていた小学校の旧校舎(私が通っていたのは福岡でも最古の部類に入る小学校です)か、それとも古い駅舎か。


廊下窓



 木枠の窓は白いペンキ塗りで、明治時代の洋館風の内装の名残。はめ込まれたすりガラスと地紋ガラスから見れば、鮮やかな夏の緑もやわらいで見えます。


 こちらは宿泊棟。昔ながらの湯治宿といった雰囲気です。


湯治



 女将さんにいつごろの建築か聞くと、明治時代とのこと。宮原温泉の発見が明治27年とのことなので、創業当初のままなのかもしれません。


 懐かしい館内のしつらえにきょろきょろしているうちに女湯に到着。天井が高くて浴場と脱衣所が素通しになっていてますます広く見える温泉は、私の貸切状態です。


温泉1
温泉2温泉3



 温泉から振り返るとこのように、脱衣所。


脱衣所



 あちこちに紅茶染めのように肌色に染まったタオルが干してあるのが、赤湯好きの私をますますワクワクさせます。


 宮原温泉は冷鉱泉で、石炭で沸かしているという内湯は、浴場の広さに比べるとこぢんまりしています。冷めない様にカバーがかかっていて、その1つをあけてくれました。カバーがかかったままのほうは熱い湯で、

 「ぬるいときは、ここをこうして」

 と女将さんが湯船の中から丸めたタオルを引っこ抜きます。そのタオルもみごとに赤く染まっているのですが、つまり、2つの浴槽の隔壁に穴があいていて、その穴から熱い湯が通るようになっているわけです。ぬるくないので、穴はタオルでふさがれました。


 かけ湯は温めたものと、冷鉱泉のままのものと2種類用意されています。この用意されている湯壺がこれまた歴史を感じさせるつくり。


湯壺



 深い穴に桶を突っ込んで湯を汲みだすのですが、
 「そうだよな。明治時代にはカランなんてないもんなあ。昔の人はこうやってかけ湯してたんだよな」
 と深く納得&昔の湯治を動作で体験するという貴重な経験になりました。飲泉できるようコップも用意されています。ピリピリとした炭酸に鉄の匂いが舌に残る、効きそうな鉱泉です。


鉱泉



 そして。
 湯船で赤い湯に温まったあとの、冷鉱泉の行水。これが夏にはたまりません♪ 最初顔を洗うだけにしたのですが、体にかけだしたら気持ちいいのなんのって。お湯で温まった体は、夏というだけあり次々汗が噴き出してくるのですが、それを冷たい鉱泉で洗い流す。


 冷たくて毛穴が引き締まるのですが、鉱泉が通った後の肌からはジーン、ジワーンと温かさがこだましているようです。炭酸泉ならではの血管膨張作用だと思われますが、キューン! 冷たいッ! →じわ~ん、あったか~い♪ の繰り返しが体験できる夏の鉱泉行水、やみつきになりそうです。あまりに気持ちよくて、かつリラックスしすぎたせいか、成分チェックするの忘れました。ホムペによれば炭酸鉄泉とのこと。PHは中性あたりだと思われます。


 帰りのお土産にと、なぜかヤクルトみたいな乳酸飲料と、ペンをくれました♪


お土産
 宮原温泉 元湯旅館
 HP:http://www.town.ueki.kumamoto.jp/sightseeing/yukemuri/200707.html


 植木町ホームページより


 入浴400円。
 シャワーなどは当然ありません。
 石けん、シャンプーなどは持参。