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疲れることばかりだ、
もう死んでしまってもいいかな・・・。
そう思っていた主人公の前に現れたのは
不慮の事故で5年前に死んだ親子が運転するワゴン。
ワゴンが連れて行ってくれるのは過去の自分の大切な場所。
未来をすべて知っている自分が
過去の自分に戻る。
未来を変えてやる、
あのときと同じ過ちは繰り返さない、
そう思っていても過去の自分の行動をなぞるだけになってしまう主人公。
『分かれ道は、たくさんあるんです。でも、そのときには何も気づかない。
みんな、そうですよね。気づかないまま、結果だけが、
不意に目の前に突きつけられるんです』
確かにそうだと思う。
そうやって後悔したりして生きている。
『同じ星空でも、星座を知ってるひとと知らないひとでは、
ぜんぜん見え方が違うんだろうなあ、って。
星座を知らないとぜったいにつながりっこない、遠く離れた二つの星だって、
いったん知ってしまうと、他につなげようがない気がしちゃうんですよね。
ひとの人生も同じだと思うんですよ。』
結果を知っていても何もできなかった、
つらい過去をなぞるだけでもう嫌だと言った主人公に
投げられた言葉だ。
大切な場所、
何か後悔を残した場所、
たとえ悲惨な未来は何も変わらないと分かっていても、
それでも悔いのないように、
そこでできる限りのことをしなければならない。
きっとつらいだろうな。
つらいと思う。
その過去に自分と同い年の父親も現れる。
ほとんど絶縁状態だった、
現在では病床で昏睡状態の父親が、
自分と同じ年齢の姿で現われてしまうのだ。
子供の気持ちを分かってやれなかった父親、
父親の気持ちが分からなかった子供、
愛情を持って接していたはずなのに、
どこかですれ違ってしまっていて、
気がついた時にはどちらからともなく離れていく。
私は別に親父と仲が悪いとかそういうわけじゃないけれど、
面と向かって、サシでお酒を飲みながらお互いのことを
話し合ったことなんてない。
テレビを見ながらのどうでもいい話や、
軽口ばかりたたいている親父しか知らないから、
だから聞いてみたいんだ。
真剣に。
「僕が生まれたとき嬉しかった?」
「僕が成長していく姿はどういうふうに見えていたの?」
「僕が成人した時は何を思った?」
「僕の結婚式では何を考えていたの?」
結婚式の最後、招待客のお見送りの時は
私と妻とお互いの両親が出口に並んで見送ったわけだが、
私の祖父と兄弟のようだった人、
(祖父をアニキ、アニキと呼んでいた)
つまり親父にとっては叔父さんのような存在だった人が
涙を流しながら親父と握手をしていて、
その瞬間、親父は顔をクシャクシャにして泣いていたように見えて、
いままでそんな顔は見たことがなかったから私も混乱してしまって、
でもおそらく私が見た親父の涙はあれが生まれて初めてだ。
この先、自分にも子供が生まれたとき、
同い年の親父と出会えたらどんな話をするだろう。
友達になれるだろうか。
小説の中の父親は広島弁だから、
義理のお父さん(妻の父親)が激しく思い出される。
お父さんも本気を出したらこんな言葉遣いなのかなぁ
と微笑ましくなる。
普段から広島弁だけど、たぶん私と話しているときは
多少なりともセーブしている気がするからだ。
それにしても小説で涙したのはこれが初めてじゃないだろうか。
やはり父と子という関係、感情移入せずにはいられないのだろう。
子を思う親の気持ち。
心の底から愛しているのに、
なかなか伝わりにくいものなんだな。
それが伝わらないまま、分かり合えないままこの世から去るとしたら、
それはやっぱりすごく後悔するだろうな。
だから死に際、枕もとに立ったりするのだろうか。
正直に自分の気持ちを伝えられないっていうのは、
すごくよくわかるけれど・・・。
恥ずかしいというか、なんというか、
そんなん言わんでもわかるじゃろ?みたいな。
茶化して逃げ出したくなるんだ。
まぁ、そういう姿勢が対女性にしても問題になってくるわけで、
女性は態度や言葉で示してくれないと納得しないそうなので、
親子だけの問題ではなさそうだ。
38歳になった時、約9年後、この小説の主人公と同じ年齢になった時に
もういちどこの本をキチンと読み返してみようと思う。
というより、生まれて初めて、同じ本を最初からまた読み直している。
いろいろと思い出深い一冊になりそうだ。