
風土記:奴多之社(努多之社)
延喜式:―
雲陽誌:艫田明神(猿田彦命)
様 式:小祠(大社造擬)
御祭神:猿田彦命


一畑電車で出雲方面へ向かうと、秋鹿駅のつぎは松江フォーゲルパーク駅。鳥たちや花々と触れ合える鳥類園があります。地元なのにまだ行ったことがありませんが、年に何回かペンギン駅長が観光客を迎えてくれるそうです。つづいて高ノ宮駅。駅名はここから北に2kmほどいった山中に鎮座する高野宮(内神社)に由来しています。駅のホームからは同社の一の鳥居が見えるのですが、いざここから参拝となるとそれなりの覚悟がいるように思います。
題意の奴多之神社はこの一の鳥居から200mほど山手に向かった左手の森の中にありました。近隣では珍しい両部鳥居が目印。境内は広く、拝殿(神楽殿)を左手に、一段高みに本殿と、境内社が並んでおられます。なにより目を引くのが苔むした狛猿像。さらに本殿の下にも数多の猿坐像が置かれています。当社の御祭神が猿田彦命であることに、これらの坐像も所縁があるのでしょうが、独特雰囲気がありました。


旧秋鹿村誌に記される由緒に依ると、高姫命が女嵩野山に降臨なされた際、猿田彦命はみずから船の艫をとり大神をお導きになられ、のち高姫命は嵩野山に、猿田彦命はこの地に鎮座されることとなった。故に、この社を古人は艫取大明神と呼び、風土記の奴多之社をこれとして崇敬してきたとのこと。船の艫取りに由来する岡本の艫田神社に対し、名原友田神社とも呼ばれております。なお雲陽誌では大垣の頁に、艫田明神、猿田彦命をまつる、これ風土記の阿之牟社かと記されておりますが、秋鹿村誌では北東の森清神社を阿之牟社と比定しています。
〈境内社〉

本殿右手に小社があるが社名祭神は不詳。参拝の折、四方を注連縄にて囲まれる。
〈所在地〉
島根県 松江市 大垣町 名原
参拝日:平成23年11月21日