フォトレタッチ戯画

菜の花や　月は東に　日は西に

毎年この時期夕刻に満月を見ると、何故かこの蕪村の句と小学唱歌の「♪朧月夜」が頭の中で一緒くたになって子供のころ何処かで(静岡市郊外の)見た夕暮れの田園風景がよみがえり、私はなんとも安らかな気持ちになるのです。

この句は月と太陽の位置関係が地球を中心に東西約180度、ちょうど今夜のような十五夜に近い夕暮れの光景と思われますが、最近では菜の花畑を日没近い時間に見る機会も滅多にありません。たまに見かけても菜の花畑と満月と一緒に撮ると残念なことに月が米粒のように小さくなってしまい、全くイメージが合いません。また望遠を効かして月を大きく撮ると今度は露出のアンバランスもさることながら、菜の花畑が狭くなったりボケたりしてこれも困ります。
そんな頭の中のイメージとは少し違う風景だが、去年知多半島へ出かけたとき撮った菜の花畑の写真と30倍近いズームで別に撮った月の写真とをアドビーフォトショップを使って合成したのがこの写真です。欲を言えば手前に小川が流れていて、薄闇の中を作業を終えた農夫が鋤鍬を肩に帰ってきたりすれば、まさに♪朧月夜のプロローグとして申し分ないのですが…。

エッ！　お見通しデシタカ…合成！
どうせやるなら建物や送電線もチャンと消せって？！！
（05年3月記）