琉球王国時代の美術・工芸品について、当時の製作技法の再現、またその技術を用いて当時と同じものを復元する「琉球王国文化遺産集積・再興事業」の2016年度報告会「王国の美~手わざを探る」が30日、那覇市の県立博物館・美術館で開かれた。
県が15年度から進める事業で、今回初となった報告会では染織、三線、陶芸などの作家9人が復元(模造)の工程を写真で示し、先人の技をよみがえらせようと悪戦苦闘する様子を語った。
延べ150人が訪れ、満席となった会場には、完成した3種の〓(はちまち)、銀の酒器、紅型の型紙などが展示され、来場者は精緻な技に見入った。同事業では19年度までに65件を仕上げ、同年度から公開する予定。
当時の技術は沖縄戦や近代化で多くの資料が失われている上、難易度が高く手間がかかる技法も多い。
紅型の城間栄市さん(城間びんがた工房)は「(県指定無形文化財『びん型』保持者の)父は普段戦後の大変な時期のことを語りたがらないが、今回復元に当たり長い時間をかけて話してくれた」と語った。
国宝の「緑釉四方燭台(りょくゆうしほうしょくだい)」に取り組む大嶺實清さん(読谷山窯、県立芸大元学長)は「精密に計算された土や釉薬(ゆうやく)が電話1本で購入できるが、それではこの美しさは出せない」と指摘。陶土のもととなる原土探しから始まる「利便性とは別世界の美意識」を再現する苦労と奥深さを語り「いい加減なことはできない。もっと時間がほしい」と訴えた。
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