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“ 嵐が吹き消した 恵みのろうそくを 再び取り上げ、それに新しい明かりを灯さなければならぬ。” 教皇ヨハネ二十三世

ソードアート・オンライン シリーズ PART1

2016-05-08 20:00:10 | Essay
「 真実より出たる 虚の中には、
             実具りて、夢の中に 現あり 」


   坪内逍遥 著 『 梓神子 』( 逍遥選集 第8巻所収 ) 』
            春陽堂 1926年発行 より



 
私は、ラノベが大嫌いです。
まずもって、これは最初に述べておきたい。

書店勤務時代でも、ラノベコーナーの手入れをすることは、正直不本意でした。
もちろん、仕事ですので、それに 商材ですから、手抜きはしませんでしたが。

あの、萌え系のイラストが表紙に描かれた、紙の束。
内容は薄っぺらく、擬音語が、ちりばめられた文章。
子供が世界を救う?
異世界に召喚されて、大冒険?
ご都合主義で修飾された、唾棄すべき 低脳文学。

汚い言い方をすれば、
「 ケツを拭く紙の、役ほどにも立たない 」

それくらい、大っ嫌いです。


誰かの書評 ( アキバ系だったと思いますが )で、
ラノベを、ファンタジー小説と関連づけて、
トールキン教授の 『 指輪物語 』 ですとか、英国のハイ・ファンタジー児童文学ですとかに、
比肩する物だと評していたのを 読んだことがあります。

脳味噌が、発酵失敗して腐敗でもしたのかと思います。

英国のハイ・ファンタジーは、まずもって、人間の生死を 真剣に扱う。
お話の最後で、
「主人公くんのおかげで、みんな助かりましたww」
などと、ご都合主義で終わるようなものはない。


物語の展開では、主要キャラといえど、死ぬ。
また、読んだ後味も けして良い物ばかりではない。
また、日本のラノベなんぞと違って、
「おっぱいぷる~んッ」
しているような、萌えキャラ、お色気キャラなど 存在しない。

セックスアピールするキャラは、その物語背景をしっかりと持っているのであり、
主人公たちを堕落させるために、ベッドへ誘うのだ。



***


上で述べたように、ラノベが嫌いな私ですが、
「まったく読まない」 と言うわけではない。
読まず嫌い、例えて言うなら、エアリーディングではないのです。
「読んだうえで、ほぼすべてのラノベが大嫌い」 なのです。

では、私が―― 私でも、うぅむと唸って、拍手喝采を送ったラノベ作品は何か?

ひとつは、吉田直の 『 トリニティ・ブラッド 』 シリーズ。
あるいは、栗原ちひろの 『 オペラ 』 シリーズ。

共通するのは、
「主要キャラが 死ぬことがある」、というところ。

いきなり死ぬのではない。
物語の展開上、死ぬべくして死に、
その死に対して、キャラクターたちが 出すそれぞれの答え。
それらが、とても 真実みがあるのである。


「 虚実皮膜の間 」 という言葉がある。


しょせん、創作というものには、
ラノベにとどまらず 文学作品すべてに、
「 ツクリモノ 」 という本質がある。
だからこそ、ツクリモノの中に、作者が知る、体験する、あるいは思考する 「 ホンモノ 」 を籠めなければ、ただのオナニー作品にしかならない。
作られた物語に、作者の考える、信じる 現実を 絶妙に籠めることで、
読んで苦いかもしれないけれど、読み手の心を揺さぶる 「 虚実皮膜の間 」 が生まれる。
そう、私は思います。


おっぱいぷる~んの女性キャラに、モッテモテな男子キャラが主人公な作品。
おっぱいキャラがバトルでピンチだ!
男子キャラが颯爽と登場、バトルで勝つ!
・・・ ただ、それだけの、
「 俺TUEEE!! 」 な作品を読むくらいならば、
いっそ 18禁男性向けコミックでも読むのが、よろしかろう。



***


さて、ソードアート・オンラインである。
2月頃に、はじめてアニメ版で、SAOに触れたわけです。


大嫌いなラノベ。
そのラノベが原作だという。
twitterのログを見ると、2月半ば頃に、英雄の動画サービスで初見だった様子。
戦闘に敗れたキャラクターは、「死亡する」 という作中の設定が、いたく気に入って、視聴継続。
そのまま数日で第一、第二シーズン完走。( 2月15日 )




そのまま、原作に手を出してみたけれど、
1,2巻は、ひどく文章が拙すぎて、ページを閉じた様子。( 2月16日 )

暇があったのか、SAOのゲーム版、スマホアプリ 「コード・レジスタ」 をプレイ開始。
あまり熱心にはやっておらず、RANK31到達は、年度末。 ( 3月31日 )




アニメ化された、SAO第8巻 『 アーリー・アンド・レイト 』 までは、すべて手配していた。
いちど、お手配してしまった以上、読まないのも勿体ないからと、少しずつ読み進める。
読むのも疲れ、読み終わったのが三月だったか、四月だったか、それすら覚えていない。


ゲームアプリは継続して遊んでいたので、
GW突入を契機に、もういっそ 原作小説は、全部読んでやろうと、
外伝の『 アグレッシブ 』 シリーズ既刊4巻を、お手配。( 4月28日 )

意外に、文章が、本編と比べて かなり熟れてきた印象。
一週間を経たずに読了。 ( 5月2日 )




好感触だったので、追加で、本編 第9巻以降もお手配。
しかし、第9巻は読みづらかった。
作中の展開で仕方なかったとはいえ、
主要キャラの 「 動き方 」 が、しっくりこず、読むの止めようかと思ったのを覚えています。
それでも、アニメ版のサントラを、BGMに流しながら読み進める。

そして迎えた、第10巻。 ( 5月5日 )

『 人工知能の権利 』 が、作中で取り上げられる。

―― 息を、呑みました。

 

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