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“ 嵐が吹き消した 恵みのろうそくを 再び取り上げ、それに新しい明かりを灯さなければならぬ。” 教皇ヨハネ二十三世

翻訳した日本語版の、本の表紙のセンスのなさについて。

2011-01-30 11:37:50 | Essay
雪が微妙に降り続く中、アマゾンでオーダーしていた、リチャード・ドーキンスの『進化の存在証明』が届きました。
配達お疲れ様です。

 『進化の存在証明』(原題:The Greatest Show on Earth: The Evidence for Evolution)
   著:リチャード・ドーキンス 訳:垂水雄二  刊行:早川書房 2009年


「利己的遺伝子」云々で有名なドーキンス氏の著書ですが、日本版が出た2009年当時、表紙のあまりのチープさに買い控えをしておりました。
氏の著書は、とりあえず上記以外、『利己的な遺伝子』『遺伝子の川』『神は妄想である-宗教との決別』など日本語版は図書館で借りて読んでいます。
特に最後の、『神は妄想である』は、訳がイマイチではありますが――副題の『宗教との決別』という語も、蛇足と思いますが――内容的にはたいへん楽しめましたので、購入したぐらいです。

出版不況と言われて久しいですが、その原因は――もちろん粗製乱造に近い出版物の多さや、景気の良しあし、さらには電子書籍の台頭もあるでしょうが――私は、日本の本のデザインのチープさにも一因があると思います。
イタリアのデザインを、私は一番気に入っています。スーパーで並ぶ、ちょっとした缶や瓶、雑貨などでも、心がワクワクさせられるものが多い。
日本の『渋い』ものも好きですが、それにしても、書籍のデザインは、あまり楽しくない。

『進化の存在証明』も、表紙のデザインがあまりにダサく、内容をざっとパラ見して、結局購入せず2011年を迎えてしまいました。
では、どれくらいダサいかというと、

( 日本語版 )


( 合衆国版はハードカバー/イングランド版はペーパーブック )

( 2010年4月に、廉価版が発売 )


日本語版は「貝」が表紙
やはり、本といっても商品ですから、購買意欲を掻き立ててくれねば! 内容的には、「貝」も悪くはないが、訴求力は弱い。
海外の作品を、日本語に翻訳刊行すると、なぜかいつも表紙はダサくなりがち。
センスが致命的に欠如というか、もう少し、デザインを気にして頂きたいもの。
特に、ドーキンス氏の著作は、内容的にアレなものが多いので、例えば『悪魔に仕える牧師-なぜ科学は「神」を必要としないのか』(原題:A Devil's Chaplain, 2004年日本語版)は、もうアウト。

( 日本語版 )


( 左:合衆国版/右:イングランド版 )


あまりに、キリスト教を意識し過ぎ。
『悪魔に仕える牧師』は、氏のエッセイ集であり、もちろん9.11テロに関係して宗教への辛辣な批判も含んではいましたが、表紙に聖人の図を持ってくるほどではない。
海外版は、氏がまっとうな学者であることに敬意を払って――そういう事だと思います――つとめて宗教的なデザインではない。
2004年といえば、『ダ・ヴィンチ・コード』日本語版が出た年なので、おそらくそれを意識して、小賢しくもキリスト教イメージを全面に出したのだと邪推します。
原題には存在しない、過激な副題も付けたくらいですし。

レヴューは、また、いつか。
  

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