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Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

瀬戸内国際芸術祭2013 ヤノベケンジを訪ねて

2013-03-31 00:30:47 | 瀬戸芸


今週の金曜日に3年間務めた職場を退職し、腑抜けの殻になってしまった私は、新しい職場への不安から
逃避するために小豆島の坂手地区にある瀬戸芸参加作品を見に行ってきました。

今回見たのは、神戸と小豆島を結ぶジャンボフェリーが停まる坂手港周辺にある、ヤノベケンジ氏関連の3作品。

3年前の前回にくらべ、今回の芸術祭は小豆島の展示作品がどばんと増えましたが、その中でも特にメディアで
とりあげられているのが、この坂手地区に展示されている、ビートたけしとヤノベケンジのコラボ作品
「ANGER from The Bottom」です。これはもともとNHK-BSの番組の企画でビートたけしのアイデアをもとにヤノベさんが
作った巨大オブジェで、まあなんかいろいろあって瀬戸芸に参加して小豆島に展示することになったそうです。
すでに東京の美術館での展覧会で、お披露目もされています。

ヤノベさんの名前は「サン・チャイルド」という作品が話題になったときに知ったのですが、一般的な知名度はどうなんでしょうね。
新聞その他メディアの報道を見ると、ビートたけしの名前ばかりが目立っている気がします。
まあ、たけしのアイデアがなかったらこの作品は生まれなかった、と言われればそれまでですが。

で、そんな「ANGER from The Bottom」を見に行く前に、坂手港にあるヤノベケンジ関連作品を見に行きました。



ジャンボフェリーの待合室の壁に描かれた、「小豆島縁起絵巻」です。15年ほど前にヤノベさんが発表した
「トらやん」といキャラクターと、ビートたけしとのコラボから生まれた「ANGER from The Bottom」の化け物の
小豆島を舞台にした神話を描いた壁画だそうです。描いたのは岡村美紀さんという学生さんで、ヤノベさんが1997年に
発表された「トらやんの大冒険」という絵本とリンクしていると思います、多分。



建物の左端に描かれていた絵。上の頭に斧が刺さっているのが、「ANGER from The Bottom」の化け物。

化け物の下には、



後姿なのでわかりにくいですが、シュノーケルの道具みたいなのをつけたトらやんが2人。



水を吐く化け物。こういう酔っ払いいるよね。



天を仰ぐトらやん。この壁画にはトらやんがいっぱいいます。何人いるか数えてみよー。日が経つにつれ増殖するのかも。

壁画が描かれた建物の奥には、イカしたミラーボールがあります。



「THE STAR ANGER」という名のこれも、ヤノベケンジさんの作品です。今日は天気が良かったのでキラキラしてました。
これは、かつての灯台に代わって、瀬戸内の海を照らしているとか何とか。
関係ないけど「ANGER(怒り)」と「ANGEL(天使)」って一文字違うだけで随分変わりますね。



ミラーボールの上には、真っ赤な目をした竜が口をあけて吠えています。「アンガー!」って。(←おい)



ちなみにこのミラーボールは、ミラーボールなのでまわります。夜はライトアップされて、坂手港がディスコに
変身!とまではいきませんが、キラキラしてきれいなんだろうなと思います。見たことないけど。

私が見に行った翌日、このミラーボールの周辺でイベントをするというので、地元の人たち(おもに前の職場の人たち)が
その準備をしに大勢来ていました。休みなのに、お勤め(でもたぶん無給)ご苦労さまです。
しかしあの人たちはいつ休めるんだろう…。

辞めた翌日に前の職場の人たちに遭遇してしまい、複雑な心境になりつつ、最後に「ANGER from The Bottom」が
置いてある、小高い場所まで登って行きました。



かつて井戸があった場所に設置された、井戸のオブジェ。私の身長よりも高かったので、2メートルくらいあるかな。



井戸の横にある、謎の小屋。この中で夜な夜な秘密の実験が…行われるはずはなく、巨大オブジェを制御するための
コンピュータがあるそうです。

この「ANGER from The Bottom」は諸事情により1時間に1回しか姿を現さないのですが、私は場所取りもかねて
予定時刻の20分くらい前に行きました。その20分の間は、井戸の向こうの山を眺めたり、海を見下ろしたりして
時間つぶし。坂手のこの場所に来たのは実は初めてだったのですが、なかなかいいロケーションだなぁと思いました。
道が狭くて勾配が急なので、移動は大変だろうなぁとも思いますが。

出現時刻が迫ると、井戸の周りにはどんどん人が集まってきました。「ここで飲み物と食べ物売ったらかなり
儲かるだろうな」などとスノッブな発想をしつつ待機してたら、出てきました。



ゴゴゴ…下から垂直にあがってくるのかと思いきや、うつぶせの状態から起き上がるような感じで、
悪いキューピーみたいな顔をした化け物の頭が見えてきました。



顔のアップ。脳天に刺さっているのは斧です。これはビートたけしのアイデアで、童話の「金のおの 銀のおの」の
パロディなんだそうです。あの童話に出てくる正直なきこりのように、金のおのと銀のおのが欲しくて井戸に斧を
投げたら、井戸から頭に斧が刺さった化け物が出てきた、という感じの。でも、井戸の中でうつぶせになってたのなら、
斧が刺さってるのは後頭部じゃなきゃならんのじゃないかなー…なんてツッコミはダメですかね。



体も見えてきました。鎖かたびらでぐるぐるまきにされてるようにも見えます。ある地元の人は、「体にワカメが
くっついている」と言ってました。



最高到達点まで達した状態の化け物。でもまだ口が閉じてます。



がばーっ。勢いのないマーライオン。勢いがあるとそのへんが水浸しになるのでしょうがないです。
口の中に牙がびっしり生えているのが結構怖い。

水を吐いたら、また口を閉じて、化け物はそろそろと井戸の中に戻って行ってしまいました。そのあまりにあっけない
幕切れは、見ていた人の中から「え?もう終わり?」と同様の声があがるほど。その儚さがまた良いんでしょうけど。

化け物が井戸の中に戻るとき、ゆっくりと頭を下げるのを見て、私の後ろにいた人が「ありがとうございました~」と
アテレコをしていました。そういうのを聞くと、怖そうに見えた化け物もかわいく思えます。こういったフリーダムな
感想(?)を聞けるのが、芸術祭の面白いところです。美術館でよく出くわす、自称「芸術に詳しい人」のうんちくより
よっぽど楽しいです。

坂手と醤の郷には他にも作品があるのですが、時間がなかったので今回はこれだけ。
また天気のいい週末に出かけようと思います。


おまけ:帰りにつくだにやさんで食べた佃煮ソフト。



キャラメルをさらにさっぱりさせた感じの味で、美味しいです。緑色のハート型の物体は昆布。味は昆布です。


2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (カイシャ)
2013-04-05 23:54:02
長年なじんだ環境から抜け出るのは裸になったみたいな感じですよね。でももちきちさんのウイットでソフトランディングまちがいなしです。
いつもながら、けらけら笑わせていただきました!ほんと文才がおありですね!私ももちきちさんのとなりで見ていたような感じです。ソフトクリームも昆布味ですか?ってもともとああいうのには海草から抽出したのりが入っているけど。
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コメントありがとうございます (もちきち)
2013-04-06 00:07:51
>カイシャさん
こんばんは。
3年勤めた職場を去るのはちょっとさびしかったですが、一週間もたつと気持ちが落ち着いてきました。
まあ、どちらも家の近所だし…。
ソフトクリームはしょうゆの風味が香ばしくて、ちょっとくせのあるキャラメルみたいな味で美味しかったです。
昆布味のソフトクリーム…実は北海道の礼文島で見たことがありますが、チキンな私は無難にバニラ味を買ってしまいました。どんな味だったんだろう。。。
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