Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

中山農村歌舞伎2013

2013-10-15 00:44:16 | バレエ・演劇




10月の3連休の中日、10月13日に中山地区の春日神社で地元住民による奉納歌舞伎が行われたので、見に行ってきました。
ここ数年、「八日目の蝉」や瀬戸内国際芸術祭の影響で、全国的知名度が急激にアップした中山地区。
今年は瀬戸芸期間中ということもあって、かなりの人出でした(そもそも無料だし)。

私は開演(午後5時)の15分ほど前に会場に着いたのですが、前の方の席はほとんど埋まっていたので、舞台から離れた席で立って見ることにしました。おかげで写真の撮りづらいこと。



第一幕の「三番叟」。

私のコンデジはもう何年も前の古いものなので、ズームがたいしたことなくて、日も暮れかかっていたのであまりうまく撮れませんでした。動きのある場面は全部ピンボケだし。唯一、比較的うまく撮れたのが上の写真です。

「三番叟」は前に来たときにも見て、内容をうっすら覚えていたので、楽しんで見ることができました。これが「継続は力なり」ってことでしょうか(多分違う)。

第二幕は「仮名手本忠臣蔵」の五段目より、子供芸で「山崎街道 鉄砲渡しの場」と「山崎街道 二ツ玉の場」です。
子供が演じるので、見た目はかわいらしいですが内容はかなり物騒でした。



「鉄砲渡しの場」より。左が早野勘平、右が千崎弥五郎。
主君の敵討ちのために、御用金を調達することを千崎に約束する勘平。これが悲劇の始まり…。




「二ツ玉の場」より。勘平の舅の与市兵衛を斬り殺して、勘平の妻のお軽を廓に身請けさせて得た50両を奪う斧定九郎。
お地蔵さんの見てる前で人を殺して金を奪うとは悪い奴です。



人を殺して金を奪った罰があったのか、定九郎は勘平が猪を狙って撃った鉄砲の弾に当たって、死んでしまいました。子供芸なのに、2人も死人が出ちゃいました。うわぁお。

勘平は猪と間違えて人間を撃ち殺してしまったと恐れおののきますが、周りが暗かったので死んだのが誰なのかまではわかりませんでした。でも死体の懐に大金が入っているのだけはわかったので、つい出来心で財布ごとまるっと持って行ってしまいましたとさ…ちゃんちゃん

ここから先は大人の芝居が引き継ぎます。第三幕「仮名手本忠臣蔵」の六段目より、勘平切腹の場です。また死人が出ます。サスペンスドラマ並みです。



第三幕が始まる前にお手洗いに行ったついでに、場所を移動しました。暗くなってきたせいか前のほうが空いてきたので、前の方で立ち見することができました。

第三幕では、廓に連れて行かれるお軽を見送った後、舅の与市兵衛の亡骸を見た勘平が、自分が舅を殺したと勘違いして切腹します。



マジで凹む勘平(右端)。他の人たちはこの時点ではまだ事態をのみこめていません。

正直、お軽が連れて行かれるまではせりふの意味がよくわからなくて(地元ネタで笑いが起きた場面だけはわかった)、ちょっと退屈だったのですが、与市兵衛の亡骸が運ばれてきてからはさくさく事が進むので面白かったです。そんなにさくさく進んだらいかんことなんですけどねぇ、切腹って。しかも勘違いって。



勘違いの挙句、かつての仲間の前で切腹しちゃった勘平。刀が刺さったあたりが赤くなっているのが、芸が細かいですね。それにしても介錯なしの切腹って辛そうです。人間、行動を起こす前に一度立ち止まって考えることも必要ですね。

さて次は第四幕。「仮名手本忠臣蔵」の七段目より、祇園一力茶屋の場です。これも前に見たので、舞台の内容がスムーズに頭に入りました。

第四幕が始まる前、舞台前のスペースはもうほとんど人がいなかったので、こそこそっと移動して最前列で見ることにしました。ビニールシートを持ってきてなかったので、地べたに直に座ろうとしたのですが、近くにいた親切な人がビニールシートを貸してくれたので、お尻を冷やさずに歌舞伎を見ることができました。ありがとう親切な人!



舞台のすぐそばで撮った写真。近い。これは近い。

主君の敵・高師直に、仇討の計画を悟られないよう、祇園の茶屋で遊びほうけているふりをしている大星由良之助。師直の手下の斧九太夫は、由良之助に仇討の本心がないか探りにきます。



手を取って見つめあう九太夫(左)と由良之助。怪しい関係ではありません。



由良之助が読んでいた顔世御前からの密書を、つい手鏡で盗み読んでしまったお軽。それに気づいた由良之助が、お軽を呼び寄せる場面。舞台の屋根の向こうに、半月が光っていました。



由良之助に身請けしたいと言われ、喜んでいるお軽のところに、兄の寺岡平右衛門がやってきました。上の写真の場面では、まだお互い相手が誰だかわかっていません。まあどっちも白粉塗りたくってるから、顔なんてわからないよねぇ。



その後、すったもんだあって、縁の下にこっそり隠れて密書を読んだりスパイ活動していた九太夫は由良之助に見つかり、平右衛門は仇討の仲間に加えてもらうことができ、めでたしめでたし。ちなみにこの後九太夫は鴨川に突き落とされて死にます。「好奇心は身を滅ぼす」って、こういうことなんですね。



全演目が終了して、最後のご挨拶。1人着物がつんつるてんの人がいますが、これも農村歌舞伎の醍醐味です。

自分が知っている人が、化粧と衣装で役者に化けて舞台に上がっているのを見るのは、普通の芝居を見るのとはまた違った面白みがありました。できればまた来年も、見に来たいと思います。

次はビニールシートと防寒着を持って。昼間が暖かかったから油断してたけど、夜はさすがに冷えた…寒かった…。





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