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ファーマー・スタジオ「革&ものづくり工房」の日々

人の暮らしに寄り添うものづくりを。
小さな工房で革を中心に体験教室や様々なものづくりをしています。

長らく申し訳ありませんでした。

2020-09-02 14:36:50 | ビジネスに対する考察
ファーマー・スタジオのブログを長く放置して申し訳ありませんでした。
今年からコロナが蔓延していますが、それとは関係なくファーマー・スタジオの在り方について
ずいぶん長く考えてきました。
革カバンを作ること、職人という存在、そしてコロナ後の社会の変化。

コロナが革業界にマイナスに働くとは考えてはいません。

むしろ時間はかかるけれども「職人」という存在の大切さは再確認され始めるのではないかと考えています。
今回のファーマー・スタジオのあり方に対する考えは自分自身、つまり私の生き方に起因しています。

私は以前から書いているようにデザイナーに長く就いていました。
デザイナーから革職人への転職は「うつ病」の発症や業界のモラルの悪化などいくつかの要因の結果でした。

教室が拡大し生徒数が50名を超える頃から、自分の立ち位置を疑問に思うことが多くなりました。
生徒からの要望が増えるたびに教室の中でがんじがらめになり思っている方向とは
違う方向に進まなくてはならなくなっている自分に気づいていました。

生徒の人数には関係なく、彼らの未来や方向性に対する責任は重く、
プロを輩出出来る教室のあり方を続ける限りそこからは逃れられないことを自覚していました。

私は自分のことを良く「種を蒔く人」と呼んで位置付けてきました。
それは今でも変わっていません。

現実に私のような未熟な講師であっても、私の教室からは数名のプロを輩出しています。
それは「プロ」と「アマチュア」の差は技術などではなく、
ものづくりに対する意識の違いだという信念に共感できた生徒たちが存在したからだと思っています。

技術はその意識の下で本人が育て上げるものだと思っています。

最近よくデザインのことを考えます。
それは望郷のように懐かしい感覚ではなく、もっと奥底から湧きあがる情熱に近いものです。

この15年の間に歳を取り、命に関わるような病気も経験しましたが、まだ生かされている自分自身と
この新しい情熱に対して、諦めず、前を向き、立ち向かうことが自分の使命のように感じ始めています。

「革」とか「鞄」という枠に囚われず、
もっと大きなフィールドで「種を撒き」育てなくてはならない。
そんな気がしています。

これまでの経験が役に立ち、また役に立たないかもしれない、という覚悟をして
踏み出すべきだと心の中で叫んでいます。

「革や鞄」を捨てるのではなく、それらを全て包括して、目の前の荒野に種を蒔く。
花が咲くのか実がなるのか分からないけれど、自分自身がそうだったように
小さな種から小さな芽が出るのを見てみたいと感じています。

活力に溢れ体力もあった30代の頃と同じように踏み出す自分にワクワクしています。
燃え尽きる直前のロウソクは明るく輝くと言いますが、
私のロウソクはこの三年間で知恵と経験を蓄えてゆっくりと消えることなくまだ燃えています。

いろんなことにチャレンジし、経験をさせていただき、様々な人に迷惑をかけ、
それでも我がままを押し通させていただいてきたことに感謝します。

恩を返すことができるかなんてわかりませんが、
もう一度我がままをさせていただきたいと思います。
大地に水をまき、光を注ぎ、種を落とすことをお許し下さい。
これが私の我がままです。

運があればまたお目にかかれるかも知れません。

まずは、最初の花を咲かせようとしています。

この花があなたの目に届きますように。

2019年ファーマー・スタジオ生徒作品展開催/9月15日〜23日

2019-09-01 09:57:10 | ビジネスに対する考察
2019年9月15日(土)〜23日(月)ファーマー・スタジオの生徒による作品展が開催されます。

「第11回ファーマー・スタジオ生徒作品展」

今年も力作が揃いました。

生徒の経験年数もベテランが増え、新人さんたちも刺激を受けて頑張っています。



開催期間/2019年9月15日(土)〜23日(月)(17日(火)のみ休み)

場所/ちてはこカフェ(菓子店) 奈良市法蓮町1232 1F

※期間中2F教室の見学も出来ます(開講日 火曜・木曜・日曜)

※販売もあります。(生徒の作品、卒業生も参加)

みなさんお誘い合わせの上ご来場下さい。




設備の増設と少し未来の話

2019-07-23 22:28:51 | ビジネスに対する考察
大阪教室に新しい腕ミシンと革スキ機がきました。




これらの機械は教室への設備投資だけでなく

ファーマー・スタジオの将来への布石でもあります。

まだ詳しいことは言えませんが

2〜3年後にファーマー・スタジオは大きく変化することになります。

今、日本の製造業は大きな転換期に差し掛かっています。

また教室業に関しても同じことが言えます。

ファーマー・スタジオを解説してから13年の月日が経ちました。

この間に環境は大きく変化し、社会のニーズも変化しました。

この数年間それらを見ながら変化の方向や自分自身のあり方について深く考えていました。

たくさんのことを経験し、今また沢山のことを日々学んでいます。

これから数年をかけてそれらの結論を出さなくてはいけない時期が来ています。

形がはっきりと示せる時が来ればまたこのブログで報告させていただきます。

生徒さんの作品/ワンショルダーバッグ

2019-06-12 17:51:09 | ビジネスに対する考察
生徒さんの作品が完成しました。

ワンショルダーバッグ。




最近は女性でもこのワンショルダーバッグを持っている方を見かけます。

コンパクトで必要最低限のものを入れるにはとても便利ですね。

うちの教室でもワンショルダーバッグは今年2つ目です。

今回は布を内張りして内側をバイアステープで処理しています。

この方は現在腕ミシンに挑戦中。

手縫いとミシン縫いでは縫うための工夫が違いますが

まだまだ苦戦されています。

少しづつ上達中。

革縫い教室に興味のある方はこちらをご覧ください。

※奈良教室
https://blog.goo.ne.jp/odessykatefahmoh/e/57c72a2423f3806727c57d65742ca5f7

大阪教室
https://blog.goo.ne.jp/odessykatefahmoh/e/0d01598fa27f6d19704c92483798556d

電話によるお問い合わせは
09081450124(岩井)までお願いします。
見学は常時受付ています。

生徒さんの作品/ファスナー付きトートバッグ&メディスンバッグ

2019-06-04 14:01:58 | ビジネスに対する考察
生徒さんの作品です。



ファーマー・スタジオで革縫いをする以前から独学で革縫いを勉強されていました。

良く本に載っていたりする作品は裏を張っていなかったり裏布の処理の仕方が書いていなかったり、

コバの仕上げが芯材と重ねた場合の方法が分からなかったり

カバンの形状を美しく仕上げるための革の寸法を解説していなかったり。

私たちの教室では以前は簡単な革小物から教えていたのですが

徐々に難しいカバンの構造などを教えていく内に面倒になる方が多かったのですが。

最初から革カバンを作る課題に変えてから皆さん根気良く作られるようになりました。

革カバンには覚えるべき要素が多く含まれていて

毎日のように新しい技術や構造を勉強しなくてはならず大変ですが、

革小物で使われるような技術はほとんど網羅されています。

そして何より出来上がった時の満足度はかけがえのないものがあります。

自分でオリジナルのカバンを作ることが出来る満足感は素晴らしいものです。

※革縫い教室に興味のある方はこちらをご覧ください。

奈良教室 https://blog.goo.ne.jp/odessykatefahmoh/e/4f55ebd5350bdca38cd49a9d9c770851
大阪教室 https://blog.goo.ne.jp/odessykatefahmoh/e/c9c1b53ef09e860d14df248097c2722f

お問い合わせ/ fahmoh@lake.ocn.ne.jp

体験教室をしました/コインケース

2019-04-30 21:52:50 | ビジネスに対する考察
コインケースの体験教室には2通りの方法があります。

革の裁断、革処理、穴あけ、縫製までの一通りを経験できる方法と

縫製のみで受講する方法。

前者はたっぷり3時間ほどかかります。

後者の方法だと早ければ30分で完成。



革色はご用意しているものから好きなものを選んでいただきます。

<コインケース>

所要時間/約1時間〜3時間
開始時刻/10:00または13:00開始
※昼12時~13時は昼休みとなりますので予めご了承下さい。
体験料金/3,000円

体験教室お申し込み方法
 代表者氏名、代表者のご連絡先(携帯番号・携帯mailなど確実に連絡の取れるものにして下さい)、希望の日程、
 体験者の人数、各自希望の体験課題名をお書き添えの上、下記アドレスにお申し込み下さい。

 ●お申し込みアドレス fahmoh@lake.ocn.ne.jp

体験教室をしました/ポシェット

2019-04-30 21:45:14 | ビジネスに対する考察
革のポシェットの体験教室をしました。



この体験課題は革質で出来上がりが変わります。

縫う部分が少なく手早く出来るのはハリのある弾力に富んだ革を使うことで

カバン全体の形を維持しているからです。

約2時間で完成。

旅の途中でお立ち寄りいただいて思い出作りに革のカバンはいかがですか?

<革のポシェット>
サイズ/190mm×150mm×100mm
革色/キャメルまたは焦げ茶
所要時間/約2時間
開始時刻/10:00開始(他の時刻ご希望の方はメールにてご連絡下さい)
※昼12時~13時は昼休みとなりますので予めご了承下さい。
体験料金/7,000円(奈良教室での受講のみお茶菓子付き)

体験教室お申し込み方法
 代表者氏名、代表者のご連絡先(携帯番号・携帯mailなど確実に連絡の取れるものにして下さい)、希望の日程、
 体験者の人数、各自希望の体験課題名、希望の革の色(キャメルまたは焦げ茶)をお書き添えの上、下記アドレスにお申し込み下さい。

 ●お申し込みアドレス fahmoh@lake.ocn.ne.jp

プロが学ぶべき技術以外のもの

2019-04-01 22:10:39 | ビジネスに対する考察
ここ数年、生徒さんの中にプロの方が混じるようになりました。

プロといっても同業の方とは限りません。

革カバンだけではなく、布のカバンや靴職人の方、

あるいは店舗経営をされている方。

また、それらを目指している方たち。



ファーマー・スタジオは主体は革の手縫いカバンの教室ですが、

私の経歴が多岐にわたっているため様々な情報や技術について教えることができます。

縫製技術以外にもプロとして知っておくべきことが沢山あります。

まずはデザインそのものについて。

縫製は沢山こなすことで身につけることができますが、

その前にどのようなカバンをデザインするか?によってそのカバン自体の売れ方が変わります。

デザインはその商品の形、そして色の組み合わせ、色の配置、ユーザーに与える印象、機能性など多くの要素を含んでいます。

デザイナーとして20年以上のキャリアを積んでいるので、それらをレクチャーすることができます。

そしてデザインの延長線上にあるのが「商品開発」。

マーチャンダイジングも商品とユーザーを結ぶ重要な要素です。

そしてそれらの中心にあるのが「ターゲティング」。

デザインも商品開発も「ターゲティング」があって成り立つものです。

そこから販売につなげていくための「セールスプロモーション」。

セールスプロモーションを成立させるために様々な「媒体」のことや「プレスリリース」といった手法も重要です。

そこから商材としての「パンフレット」や「カタログ」「DM」「リーフレット」「チラシ」、

さらに「ホームページ」「ムービー(動画)」やネットでのSNS配信などの個別の手法に枝分かれしてゆきます。


これからの時代、「つくる職人」から「売る職人」への変換が必要とされています。

自分で自分の商品をプロモーションする能力を育成する時代に向けて

ファーマー・スタジオでは「つくる」「売る」の両面からそだけるための「プロクラス」を新設する準備を進めています。

詳しくはお問合せ下さい。

fahmoh@lake.ocn,ne,jp

型紙の製作と縫い目の仕上がりのこと

2019-03-12 14:25:51 | ビジネスに対する考察
ファーマー・スタジオでは手縫い用の型紙製作を教えています。

ミシン縫いの場合は型紙に縫い穴まで開けることはありませんが、

手縫いの場合は縫い目を美しく揃えるために

型紙本体にも縫い穴(菱目)を開けて穴数を合わせておきます。




ほとんどの教室では革二枚以上を縫い合わせる場合、

縫い合わせる二枚の革を重ねたままで菱目を打って穴を開けます。

ただこの方法ですと穴を開けた反対面の穴の向きが通常の逆(本来は一つの穴が左下から右上に向かって斜めの切り込み)になります。

穴を開けた革面(銀面側)では通常の菱目穴に対して縫い目はその逆(一つの目が左上から右下に向かっている状態)に縫いあがります。

これが反対面の通常の逆穴の場合は縫い目も逆になるのではなく、ほぼ水平の縫い目になります。

ファーマー・スタジオの方法では革のパーツそれぞれに表面から菱目を打つため、

張り合わせた表も裏も両方とも通常の菱目穴(順目)になるため、縫い目も表裏が同じ傾き(左上から右下に向かっている状態)に仕上がります。

最も美しい縫い目に仕上げるため、とても手のかかる方法で仕上げているのです。

※革縫い教室に興味のある方はこちらをご覧ください。

奈良教室 https://blog.goo.ne.jp/odessykatefahmoh/e/57c72a2423f3806727c57d65742ca5f7

大阪教室 https://blog.goo.ne.jp/odessykatefahmoh/e/0d01598fa27f6d19704c92483798556d


ブランディングとターゲティング

2019-03-07 09:40:56 | ビジネスに対する考察
商品展開を考える時、何を基準に企画してゆくか?



多くのメーカーはその年あるいは少し先に来るであろう「トレンド」を重視することが多いものです。

しかし、本質は別のところにあります。

良く人は「コンセプト」という言葉を口にしますが、では「コンセプト」とは何なんでしょう?

「この商品コンセプトは◯◯です」といった使い方をすることが多いと思います。

コンセプトとは「方向性」という言葉に近いのです。

もう少し言及すればコンセプトとは「ミーティングでお互いが共通の認識を持つことのできる方向性」というのが適正だと言えます。

つまり、その商品の話をする時そこにいる誰もが同じ認識を持って商品を見ているか?

その意思統一をするための「共有している方向性」と言えるのです。

このコンセプトへの認識がそれぞれまちまちであれば、実際の商品を考えるのは難しくなります。

では、コンセプトはどこから導き出されるのでしょうか?

その基本になるのが「ターゲティング」であり、

「ターゲティング」から導き出されたコンセプトに沿った「ブランディング」こそが商品の認知度ひいては販売力に直結しています。

自分たちはどのようなお客様に対してサービスや商品を提供しているのでしょう?

そのお客様の嗜好や行動、経済力、ファッション性、居住地、年齢、性別、暮らしへの欲求などを考慮すること。

それがターゲティングであり、

ターゲティングで定めたお客様(ターゲット層)が望むサービスや方向性に沿って提供する商品(群)を

自分たちの特徴や魅力を訴求し、認知してもらうことが「ブランディング」だと言えます。

コンセプトはこの「訴求」「認知」といった広報宣伝戦略がきちんとターゲット層に届いて反応を引き出すための手法。

コンセプトが自分たちのターゲット層の嗜好や欲求からずれていると商品やサービスを売ることができません。

広報宣伝活動におけるコンセプトがターゲット層にマッチングし

継続的にターゲット層に訴求でき、商品やサービスの方向性をターゲット層に認識され始めると

ブランドが確立してゆきブランディングが完成してゆきます。

ブランディングは時間や労力、あるいは資本を必要としますが

ブランド力が確立するとターゲット層に対して長期にわたり訴求力が持続し

企業の業績の下支えとなります。

そういう意味でブランディングとターゲティングはどのような業種であっても重要なミッションと言えます。