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おずんつぁんの徒然草

日常生活のよしなしごとをなんとなく。。水彩画やパステル画も。。。

仙台城跡の鳶ブロンズ像と正岡子規

2024-12-04 13:09:16 | 日記、芸術

仙台城跡に行くために仙台駅から観光バス「るーぷる仙台」に乗車しました。9時40分発1番バスは満席。乗客のほとんどが中国人観光客。瑞鳳殿、仙台市博物館、迂回路になっている東北大学青葉山キャンパスを経由して城跡に到着。

工学部キャンパスの東端から城跡入口までの曲がりくねった道路(東北大学植物園の南端に沿うように走っている道路)の両側にはモミジなどの広葉樹が生い茂っている。紅葉の見ごろは終わっているのだがまだ美しさを一部残している。ピーク時にはかなり見事な紅葉を楽しむことができるだろう。仙台市内紅葉の隠れた名所に数えていいと思いますな。

仙台城跡を目指した目的は巨大な鳶のブロンズ像を見るため。小学生か中学生の頃見た記憶があるが、はっきりとは覚えていない。このブロンズ像について明治の偉大な俳人、歌人、文筆家の正岡子規が言及しているので実物を確認したかった。

結核のため自宅で病床に臥していた子規は新聞『日本』に127回にわたって連載した『病床六尺』の第35回(明治35年6月15日)で次のように書いています。

〇 鳥づくしというわけではないが、昨今見聞した鳥の話をあげて見ると、

一、この頃東京美術学校で3間ほどの大きさの鳶を鋳たさうな、これは記念の碑として仙台に建てるそうながこれくらい大きなフキ物は珍しいと言ふ事である。(以下略)

このニュースを子規は『日本』の記事で知ったのでしょう。「3間ほどのおおきさの鳶」とありますが、メートルに換算すると約5.4mになります。東京美術学校(現在の東京芸術大学)が注文を受けて制作したものですが、子規のいうとおり今日実物を見て巨大な鳶像だということがわかりました。「なんだこれは、いぎなりおっきい」というのが実感。造形美術的にもたいへん優れていると思う。価値の高い鳶ブロンズ像だと確信する。

鳶像は西南戦争・日清戦争等戦没者慰霊碑「昭忠碑」の一部として明治35年に設置されたものでしたが、東日本大震災の時、鳶像は台から落下し破損しました。復元された像は安全を期して現在は石碑の基檀に設置されています。

子規は仙台に縁がある人でした。子規は、明治27年に芭蕉の奥州の旅をたどる文学紀行『はてしらずの記』を『日本』に連載しました。途中仙台の針生旅館に投宿し、7月31日から8月5日まで仙台に滞在しました。その間仙台城跡や伊達政宗霊廟瑞鳳殿などを訪問し、地元の歌人鮎貝槐園と交流しています。

『病床六尺』を書いていた頃子規は結核に罹り自宅で病床に臥していました。鳶の記事を見たとき、8年前に訪れた仙台のことを思い出したのでしょう。子規のこころでは仙台訪問の記憶と伊達政宗がつながっていました。病床に臥している部屋の隣の部屋に飾ってあった伊達政宗の額と牡丹のことを詠んだ俳句でそのことがわかります。

政宗の額の下なり牡丹鉢    子規  (明治32年5月9日)

「政宗の額」とはどんな額なのか気になります。推測ですが、仙台市博物館にある伊達政宗肖像画の複製をおさめた額かもしれません。これは江戸時代前期の画家狩野安信によって描かれた肖像画で、左上には政宗の有名な漢詩が書いてあります。

馬上少年過 世平白髪多 残躯天所赦 不楽是如何 (馬上少年過ぐ 世平かにして白髪多し 残躯天の赦す所 楽しまずして是如何にせん)

昭忠碑の建立から33年後に設置された政宗の騎馬像は鳶像の近くにあります。騎馬像には多くの観光客が引き寄せられていきますが、鳶像を見る人は少ないようです。子規との関連を宣伝すべきだと思いますな。

仙台を見渡す鳶や百二十年     みちのく梵論師  

災禍からまた羽ばたけり銅の鳶   みちのく梵論師

政宗の騎馬像、鳶像。どちらも材料は銅。最近銅製品の盗難が多いので盗難対策をしっかりやってもらいたいです。

 

 


定禅寺通りのオデュッセウス

2024-11-28 16:39:56 | 日記、芸術

冷たい強い風が吹く日だったので、外出する時はコートが必須でした。予想最高気温は13℃。

定禅寺通りのケヤキは枝がむき出し、遊歩道には枯葉がいっぱい積もっていました。遊歩道には3体のブロンズ像があります。東京エレクトロンホールの前にある「オデュッセウス」がおずんつぁんの好みです。イタリアの彫刻家ジャコモ・マンズー(1908~1991)の作品。ホメロスの叙事詩「オッデセイ」の英雄オデュッセウスをモチーフにした像です。

これまで絵画に描かれたオデュッセウスは動的な姿をした筋骨逞しい男性ですが、マンズーのオデュッセウスは静的な美しい肢体の青年像につくられている。これみよがしの躍動感あふれる姿でなく、落ち着きはらった姿勢をとり何かを思う表情をしている。マンズーのオデュッセウスは戦士というよりは詩人のようにみえます。

もしかしたらこの像は戦士になる前の青年オデュッセウスかも。彼は将来ギリシャ軍の指揮官となってトロイアと戦うことになる自分の運命を予感しているのかも。このブロンズ像のメッセージは深いと思う。

定禅寺通りの極端なポーズをとる他の2つのブロンズ像と比較すると、マンズーの作品は抑制された表現が際立つ。抑制は上品さを放ちより強い想像力をかきたてる。好みだなあ。駄句を二つ。一句目はトロイア戦争から故郷に帰還するオデュッセウス、二句目は将来トロイアと戦うことになる運命を予感するオデュッセウス。

肩に枯葉故郷を思うかオデュッセウス   みちのく梵論師

秋の陽や運命悟るオデュッセウス      みちのく梵論師  

    

 

 

 


「楽しい!ボーダレスアート展」を楽しみました。独特の色彩が魅力

2024-11-15 13:33:24 | 日記、芸術

仙台は朝から曇りでしたが、午後2時頃から青空が見えてきました。気温も上昇。

八幡杜の館で開催されている「第13回楽しい!ボーダレスアート展ー縄文の土偶とあそぼうー」を見に行ってきました。心や体に障害のある方々によるアート展です。障害のあるなしにかかわらず(ボーダレス)自分を表現したいというコンセプトで創作されたアート作品が展示されています。全体的に感じるのは表現者の強烈なエネルギーです。かれらの集中力と美的感覚がすごいと思いました。

今回のメインテーマは縄文の土偶です。既成概念にとらわれず自由自在に表現した形体と色彩が魅力的です。今年夏に仙台メディアテークで開催された「障がい者芸術世界展IN SENDAI 2024」(8月31付ブログに書きました)でも同じことを感じました。障害者独特の個性的アート、おずんつぁんもいぎなり刺激されました。

縄文土偶の絵

白い細かい線が何本も描かれている独特の世界

油絵。厚塗りの絵具が独特の絵肌と立体感を出している。

自在に配置した犬の絵。

会場では障害者がつくったいろんなグッズを販売。おずんつぁんは4点買いました。金魚の絵の絵ハガキ2枚。黄色い花のマグネット。赤いトマトのキーホルダー。

「楽しい!ボーダレスアート展」は12月1日(日)まで開催。木曜から日曜10時~16時(最終日13時まで)。月曜から水曜までは閉館。

 

 


SDGsな仙台七夕(七夕飾り和紙アート展)・・・冴える繊細な美

2024-10-04 14:19:37 | 日記、芸術

仙台は鬱陶しい曇天。私は気象病にかかる傾向があるので、気分転換に東北電力グリーンプラザで開催されている「第2回仙台七夕和紙アート展」(主催 仙台七夕和紙プロジェクト)を見に行ってきました。感想は「すばらしい」の一語に尽きます。仙台七夕で使用された七夕飾りの吹き流し和紙を再利用した工芸作品が展示されています。現在国際的に広く意識されているSDGsと結びついたアート作品展と言えるのではないでしょうか。

作品のモチーフは多種多様で面白いです。多数の和紙工芸作品を見て、日本人の器用さと繊細な美的感覚がいかんなく発揮されていると思いました。いくら見ていても飽きません。おずんつぁんは久しぶりに芸術的感動を味わいました。

来訪者は女性が圧倒的に多いような気がしました。男性や子供たちや若者たちにもぜひ見てほしい。明日は土曜日で休みです。できるだけたくさんの人々に見てほしいですな。

仙台七夕祭りが仙台文化遺産なら仙台七夕和紙アートもその一部に入るべきだとおずんつぁんは思うんだげど、なじょだべ(どうだろうか)。撮ってきた多数の写真から一部を紹介します。

 

衿、帯、帯締めには七夕和紙を使用

 

 

 

 


「障がい者芸術世界展 IN SENDAI 2024」をみる、作品に驚き感動

2024-08-31 15:49:04 | 日記、芸術

迷走しまくっている台風10号。仙台は午前中雨模様、昼頃から雨やんで蒸し暑くなる。こう毎日蒸し暑いと体にこだえるなあ。おずんつぁん相変わらずがおってます。気分転換が要ると思って外出しました。

今仙台メデアテークで開催中の「障がい者芸術世界展」が知人から素晴らしいよと聞いていたので見に行きました。知人の言うとおりでした。絵画や造形芸術作品一点一点が目をひきます。プロの画家や彫刻家はどちらかというと既成概念の枠の中におさまる作品を創造する。それはある意味で観る側からすれば居心地がいいのですが、障がい者の作品は既成の芸術概念の範疇をはるかに超え、鑑賞者の固定観念に揺さぶりをかける。ここに展示されている作品群は、なに者にもなに事にも遠慮することなく、自分の情念を自由にストレートに表現している。表現されている色彩や形体は衝撃的でかつ感動的です。かつての印象派がそうだったように、伝統的な美の概念の破壊がここにはある。今や、「障がい者芸術」は芸術の重要なジャンルを占めていると思いました。この作品展、おずんつぁんのぷったるんだ心を刺激しました。

おずんつぁんが最も印象的だと思った作品の一つ。秋田県板垣登樹さんの作品「ユリマチノクマ」。木彫りの熊。金色の顔を除く熊の身体全体を無数の多色線で着色。多色線から創出される超現実性が目と心に突き刺さる。「エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ」賞受賞。

絵画で最も印象に残った作品の一つ。北海道佐久間智之さんの「人々 憩いの峠」と題する作品。日常の多様な風景を細密な描写と多彩な色彩で表現。並みでない集中力と持続力を感じさせる作品だと思います。宮城県知事賞受賞。