映画なんて大嫌い!

 ~映画に憑依された狂人による、只々、空虚な拙文です…。 ストーリーなんて糞っ喰らえ!

曖昧な映画体験 (その21)

2011年10月08日 | 僕の映画史
 オリヴァー・ストーンの『7月4日に生まれて』と、ハル・アシュビーの『帰郷』の内容が酷似していた事へは、敢えてここでは触れず、ちょっとだけH・アシュビーの作品へと思いを馳せてみます。やはり個人的には『ウディ・ガスリー/わが心のふるさと』は外せません。ジョン・フォードの『怒りの葡萄』に内容が酷似していた事へは、敢えてここでは触れず、大好きなアコースティック・ギターの音色に、再び、訳も無くどっぷりと酔い痴れたいものです。演奏は、デヴィッド・キャラダイン本人でした。あのような誤魔化しの無い演奏は、それだけでも痺れる値打ちがあります。ウディ・ガスリーも真っ青の、プロ歌手顔負けの腕前でした。D・キャラダインの父上ジョン・キャラダインがJ・フォードの『怒りの葡萄』に出演していた事へは、敢えてここでは触れず、無論、『駅馬車』で父上が演じていた賭博師ファットフィールドのキザなキャラクターが、クリント・イーストウッドの『許されざる者』でリチャード・ハリスが演じていた殺し屋イングリッシュ・ボブに踏襲されていたとしても、更には、保安官(ジーン・ハックマン)からボコボコにされた挙句に町を追われる交通手段が“駅馬車”であったとしても、敢えてここでは触れません。

     ■『7月4日に生まれて』 (1989年/米) オリヴァー・ストーン監督
     ■『帰郷』 (1978年/米) ハル・アシュビー監督
     ■『ウディ・ガスリー/わが心のふるさと』 (1976年/米) ハル・アシュビー監督
     ■『怒りの葡萄』 (1940年/米) ジョン・フォード監督
     ■『駅馬車』 (1939年/米) ジョン・フォード監督
     ■『許されざる者』 (1992年/米) クリント・イーストウッド監督

 昨今、映画館も入替制が当り前となりつつある中、まず上映開始の時刻を事前に調べ上げ、半端な時刻であれば、どこかで時間を潰すというのが世の常でありましょう。ところが昔は、半端な時刻でも取り敢えず映画館へ入り、途中からでも見始めた後、見逃した箇所だけを見直して、話が繋がった所で映画館を去るという見方もあました…と言いますか、そう人もチラホラおりました。約2時間の上映時間を考えると、已むを得ない事情も理解出来ましたが、映画ファンにとっては身が引き裂かれるような思いで、勿論、許し難い掟破りの行動でした。

 そんな折、父から『チャンス』を誘われたのは、餞別用のギフトを伊勢丹へ注文しに行くので、そのついでに「どうだ?」というものでした。かれこれ30年近く前の出来事です。別段、断る理由もなかったので、父に誘われるまま、まずは新宿ピカデリーへと二人で向かった訳です。窓口では上映開始の時刻を確認し、半端な時刻だったので、当然、その間に伊勢丹での用事を済ませるものと思っていました。ところが、父からは意外にも「途中だけど、いいだろう?」という掟破りの一言が飛び出し、幾ら新宿だからって、そう脳天気に「いいとも!」とは答えられもしません。僕は黙ったまま不信と軽蔑の一瞥を投げ、父は怪訝な表情のまま伊勢丹へと歩き出しました。伊勢丹の喫茶店で、父と二人パフェを突きながら、「お前、まだ女子プロレスラーになりたいのか?」と重い口を開いた父へ、「もう諦めた」と答えた僕は、とうの昔に忘れ去っていた金沢での冗談を、今さら持ち出す父の神経を疑いつつ、すっかり映画を見る気分を削がれたのでありました…。

     ■『チャンス』 (1979年/米) ハル・アシュビー監督

 庭師のチャンス(ピーター・セラーズ)が、友人のベンジャミン・ランド(メルヴィン・ダグラス)の葬儀を途中で抜け出し、近くの公園で佇む場面が、強く印象に残っています。池の上をチャンスが歩いて行き、手に持っていたコウモリ傘で水の表面を差す演出が物悲しく、この作品が飽く迄も風刺劇であって、現実には存在しない架空の物語である事は充分に承知していながらも、つい何時迄も彼の言動を見守り続けていたい思いに駆られてしまい、その願いが適わぬ事も充分に承知しながら、それでも尚、受け入れ難い葛藤があった事だけは、敢えてここでは触れておきます…。


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