映画なんて大嫌い!

 ~映画に憑依された狂人による、只々、空虚な拙文です…。 ストーリーなんて糞っ喰らえ!

曖昧な映画体験 (その15)

2009年02月24日 | 僕の映画史
     ■『1900年』 (1976年/伊=仏=西独) ベルナルド・ベルトルッチ監督

 『ラストエンペラー』の音楽監督に坂本龍一さんを起用し、見事、彼にオスカー像を齎したベルナルド・ベルトルッチには、『1900年』という316分(※実質は×2=632分)にも及ぶ超大作がありました。1976年に製作された作品でありながら、日本で公開されたのは、その6年後の1982年になってからの事です。当時の僕は、まだ毛の抜けたチンパンジーが局部的な発毛を恥らっていたような頃で、クラスの女の子たちのオッパイに人差し指を当てながら、「E.T. go home.」と、はしゃいでいるような男の子でした。ですから、ベルナルド・ベルトルッチという名前を聞いても、「どんだけ“ル”が好きなんだよ!」とか、「言うに事欠いて、ルッチかよ!」とかいった言い草だったと思います…。

 公開当時、まず度肝を抜かされたのは、上映時間の長さも然る事ながら、作品の前編と後編を、別々の映画館で上映するという興行の仕方です。それも当然の事のように、別料金でした。高校生が新作を見に行くには、通常の料金でさえ、清水の舞台から飛び降りる覚悟が必要だったにも関わらず…。当時の僕にとっては、あんまりな価格設定でした。無論、泣く泣く諦めた訳です…。

     ■『ラストエンペラー』 (1987年/伊=英=中) ベルナルド・ベルトルッチ監督

 幾年かの月日が流れ、潰れ掛けたレンタルビデオ店の棚に、色褪せた背表紙の『1900年』を見つけた時には、俄然、クラス中のオッパイが指先に蘇って来たようでした。旧作全品100円レンタルという価格設定には、これはこれで、あんまりに思いましたが…。ともかく、10数年越しで出会った、かつての高嶺の花です。そして、改めて度肝を抜かされました。「こんな凄い作品が、色褪せながら100円でレンタルされている場合か!」という僕自身の絶叫で、思わず耳を塞いだくらいです。この作品の決定的なポイントは、エンドロールのタイトルバックにあります。あの走る列車の映像は、作品中にひっそりと仕組んであった壮大な仕掛けの、種明かしとなるものです。あの列車の映像を見て、アルフレード(ロバート・デ・ニーロ)へ思いを馳せられなかったならば、残念ながら、この作品を半分しか堪能できていないと言わざるを得ません。今度、ご覧になる場合は、是非ともご堪能下さい。ポイントは、走る列車の映像です。あの時、アルフレードはどんな思いでいたのか…。そこに気付いた時には、必ず、もう一度見返さないではいられなくなる筈です(※実質は、×2=632分)。とんでもない仕掛けでした。ただ、まだDVD化されていないようです…。


                                                      ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村 映画ブログへ

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Wの悲劇 (2) | トップ | 國民の創生 ~映画の読解 (9) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

僕の映画史」カテゴリの最新記事