朝日新聞には、
巨泉さんの死亡した日にちが
記されてなかった
(拙稿「【訃報】 大橋巨泉さん、畏友、永六輔の後を追って大往生だな」の記事、資料参照。*http://blog.goo.ne.jp/nrn54484/e/b84f949daf8fbaf1226973911e226f35)。
命日にわざわざ気が回らないほどの
「巨星、落つ」
という事件そのものだった証だな。
参考までに、
命日を推察する
ツイートを紹介する。
非自公民の脱原発に一票(しろ) @xciroxjpさん、発信だ。
――"大橋巨泉、10日の参院選の結果を見て死んだんだね。
10日は意識はあったんだろう。
11日朝に自宅で体調が悪くなった…
大橋巨泉も参院議員だった。
米国の同時多発テロの時「米国を支持する」と文言にあった国会決議に
民主党議員として只一人反対。知識人だった。"〔1:32 - 2016年7月21日 〕——
彼の命日は失念しても
残された
彼の
「一つだけは書いておきたい。
安倍晋三の野望は恐ろしいものです。
選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さい」
(毎日新聞記事。下記〔資料〕)
という遺言は、
忘れまじ。
転載元:非自公民の脱原発に一票(しろ)@xciroxjpさんのツイート〔1:56 - 2016年7月21日 〕
この遺言を巡って、
東京新聞に記事が掲載された。
こんな内容だ。
さとしん/Shin Sato/佐藤伸@shinsato0130さんが
「遺言、多くに人に届け」と
ツイート〔6:31 - 2016年7月21日 〕に
記しておられる。
僕も
そう思う。
<追記>
やっと命日が特定できるようになった。
リテラによれば、
今月12日に急性呼吸不全で亡くなっていたとのことだ
(下記〔資料-2〕参照)。
〔資料〕
「牧太郎の青い空白い雲 /578 巨泉の遺言『選挙民をナメてる安倍に一泡吹かせる!』」
毎日新聞(2016年7月7日)/サンデー毎日(7月17日号)
☆ 記事URL:http://mainichi.jp/sunday/articles/20160707/org/00m/070/002000d
新聞の片隅にちょこんと載った記事が、本当は大ニュース!ということがある。
「20代の独身男女のうち、結婚したい人の割合が3年前と比べて男性で約28ポイント、女性で約23ポイントと大幅に減少した」
という小さな記事だ。本来ならば、一面トップでもおかしくない記事ではないか。
明治安田生活福祉研究所という小さな組織の調査結果なので、小さな扱いなのか? あるいは、権力が「圧力」をかけて地味な扱いにさせているのか?
記事によると、調査は今年3月、恋愛と結婚をテーマに全国の20~40代の男女を対象にインターネットで実施。約3600人が答えている。
20代では「できるだけ早く結婚したい」「いずれ結婚したい」という回答が、男性で3年前の67・1%から38・7%に激減している。女性は82・2%から59・0%になっている。男性は3人に2人が結婚を諦めている。
独身でいる理由は、男性は「家族を養うほどの収入がない」が最も多い。女性は「結婚したいと思える相手がいない」。
これは、男性の経済力に直結している。
20~30代の未婚女性の半数以上が結婚相手に「年収400万円以上」を望んでいるのに、実際にこの収入がある20代男性は15・2%しかいない。
要するに、この3年間に若者は「貧乏で結婚できない」と諦めているのだ。
結婚できなければ、少子化対策も意味がないじゃないか?
× × ×
参院選の投票まで1週間をきった。
自民圧勝を予測するメディアも多い。それはそれでよい。当たるも八卦(はつけ)、である。問題は参院選がフェアに行われているか?である。正直に言えば、アンフェアである。与党と一部メディアは参院選の争点を隠している。
憲法改正が最大の争点なのに、なぜか隠す。
前回、このコラムで書いたのだが舛添騒動、その後に起こった英国のEU離脱の陰に、安全保障、武器輸出……日本の武器が他国の人間を殺すかもしれない、という差し迫った問題を隠している。
そして、「若者が抱える諸問題」も安倍さんは隠している。
貧しくて結婚できない!
それを解消するには「派遣労働の禁止」以外にない。 派遣に就く若者は年々増え、長年働いても給料は増えない。年金も掛けられない。戦前の“女工哀史”に似ている状態だ。
であれば、選挙の争点の一つは「派遣労働」のはずだが、これを隠しているのだ。
「2018年問題」をご存じだろうか?
この頃(英国のEU離脱もあって)、リーマン・ショック級の就職氷河期が再来するだろう。大学を卒業しても「仕事」がない!という深刻な問題が存在するのに……安倍さんはアベノミクスが成功した!と嘘(うそ)を言い続ける。
× × ×
話が変わる。
がんで闘病中のタレント、大橋巨泉さん(日大一高の先輩)が5月下旬から集中治療室に入っているらしい。体重は43キロ以下に激減し、歩けないらしい。
6月27日発売の『週刊現代』のコラム「今週の遺言」で、彼は「何時(いつ)まで生きられるかわからない」と書き、計930回にわたって続けてきたコラムを終了した。後輩の当方、残念でならない。
その巨泉さんの「最後の遺言」は……。
「一つだけは書いておきたい。安倍晋三の野望は恐ろしいものです。選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さい」
巨泉先輩だけでなく、「まっとうな日本人」は安倍晋三のドス黒い野望に気がついているはずなのだが?
さて、参院選の結果は一体どうなるのだろう。
◆太郎の青空スポット 話題のグランピング
自分でテントや道具を用意することなく、設備の整った施設で快適にキャンプを楽しみ、同時にホテルのようなサービスを受けられる。寝袋ではなくて、エアコン付きでベッドで眠る。まったく新しい形のキャンプスタイル「グランピング」がこの夏、流行の気配だ。6月29日に、京都で初めてのグランピング施設「GRAX(グラツクス)」がオープン。徒歩5分の所に温泉。温泉に入れるキャンプ場は“青空ホテル”のようなものだ。
問い合わせ=るり渓温泉(京都府南丹市)電話0771―65―5001
毎日新聞夕刊にコラム「大きな声では言えないが…」を連載中(大阪本社版を除く)
■人物略歴
まき・たろう
1944年生まれ。毎日新聞に入社後、社会部、政治部を経て『サンデー毎日』編集長に。宇野宗佑首相の女性醜聞やオウム真理教問題を取り上げる。現在、毎日新聞客員編集委員。ブログに「二代目・日本魁新聞社」がある
(サンデー毎日2016年7月17日号から)
〔資料-2〕
「大橋巨泉の遺言「安倍晋三に一泡吹かせて下さい」がテレビの追悼特集でことごとくカットに! その政権批判を改めて聞け」
リテラ(2016.07.21.)
☆ 記事URL:http://lite-ra.com/2016/07/post-2432.html
以前より体調の悪化を心配されていたタレント・司会者の大橋巨泉氏が、今月12日に急性呼吸不全で亡くなっていたことが明らかになった。82歳だった。
本サイトでも以前、紹介したように、巨泉氏は「週刊現代」(講談社)7月9日号掲載の連載コラム「今週の遺言」最終回で、すでに病が身体を蝕んでいることを綴っていた。だが、それでも巨泉氏は〈このままでは死んでも死にきれない〉と綴り、直後に迫った参院選について、読者にメッセージを送っていた。
〈今のボクにはこれ以上の体力も気力もありません。だが今も恐ろしい事や情けない事、恥知らずな事が連日報道されている。書きたい事や言いたい事は山ほどあるのだが、許して下さい。しかしこのままでは死んでも死にきれないので、最後の遺言として一つだけは書いておきたい。安倍晋三の野望は恐ろしいものです。選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さい。7月の参院選挙、野党に投票して下さい。最後のお願いです〉
まさに、このメッセージが巨泉氏にとってほんとうに最後の遺言となってしまったわけだが、しかし、ワイドショーやニュース番組はこの巨泉氏の遺言をことごとく無視。ベテラン司会者としての仕事を紹介するに留め、『報道ステーション』(テレビ朝日)でさえ最後のコラムの〈今も恐ろしい事や情けない事、恥知らずなことが連日報道されている〉という部分までしか紹介しなかった。安倍首相について言及した部分まで報じたのは、『NEWS23』(TBS)だけだ。
たしかに、『11PM』(日本テレビ)や『クイズダービー』(TBS)、『世界まるごとHOWマッチ』(MBS)といった人気番組の司会を数々こなし、一方でお茶の間ロックやアングラ演劇などのサブカルチャーをテレビにもち込んだり、クイズバラエティを定着させたりといった巨泉氏の功績が大きいのは言うまでもないが、最後の遺言にも顕著なように、巨泉氏は自民党の強権性にNOの姿勢を貫きつづけた人であった。テレビはそこから目を逸らしたのだ。
巨泉氏といえば、民主党議員だった2001年に、アメリカの同時多発テロを非難し「アメリカを支持する」との国会決議に民主党でたった1人反対、戦争へ向かおうとする姿勢を断固拒否したエピソードが有名だが、すでにセミリタイア状態だった巨泉氏が政界へ進出しようとしたのは、そもそも当時人気絶頂だった小泉純一郎首相の進めようとする国づくりに対する危機感があった。
周知の通り、小泉首相は新自由主義的な政策を押し進め、この国は弱い者にとって非常に生きづらい国になってしまった。巨泉氏は「週刊現代」の連載コラムで小泉政権がつくったこの国の在り方をこう批判している。
〈冷戦終了以降、アメリカ型の新自由主義経済がわがもの顔の現在、それに歯止めをかける思想や組織の存在は必須なのである。でないと「負け組」や「新貧困層」が拡大し、その中からテロリズムが増殖するのである。(中略)小泉やハワードが目指しているのは、「強者の論理」でくくる社会。自由主義経済なればこそ、弱者のための政党や組合は必要なのだ。何万人とリストラする大企業に対し、個人でどう戦うのかね!?〉(「週刊現代」05年12月10日号より)
周知の通り、その後、巨泉氏は議員を辞職し、再びセミリタイア状態に戻る。カナダ、オーストラリア、ニュージーランドを転々とする悠々自適な生活を送るのだが、第二次安倍政権の時代に入ると再び社会的なメッセージを発信するようになっていく。それは、安倍首相は経済を最優先にすると口当たりのいいことを言っているが、その本音は憲法を変えて国民から権利を奪い、日本を再び戦争ができる国へと戻そうとしていることを見抜いていたからだ。
〈彼にとって「経済」はムードを煽る道具に過ぎず、本当の狙いは別のところにあるからだ。(中略)
安倍は先日、「国づくり」に関する有識者会議で、「ふるさと」や「愛国心」について熱弁をふるった。曰く、「日本人は生れ育った地を愛し、公共の精神や道徳心を養って来た。ふるさとをどう守ってゆくかを考えて欲しい」。見事なウソツキと言う他ない。(中略)
「公共の精神や道徳心」を強調することで、現憲法が保障してくれている、「個人の権利(人権)」に制限を加えたくて仕方がないのだ。それでなくても「知らしむべからず」なのに、もっと制限を加えて、政権の思う通りにあやつれる国民にしたいのである。そのためには現在の憲法が邪魔なので、これを改正するために、まず人気を取り、その勢いで改正してしまおうという訳だ。(中略)
そもそも憲法とは、国民が守るの変えるのという法律ではない。国家権力(時の政府)の公使を制限するためにあるものだ。軍部が暴走して、数百万人の国民の命を奪った戦前戦中のレジームへのタガとして現憲法は存在する。それを変えて戦前への回帰を計る現レジームは、禁じ手さえ使おうとしている。止めようよ、みんな〉(「週刊現代」13年5月4日号より)
巨泉氏はさらにこのようにも語っている。
〈ボクの危惧は、4月にウォール・ストリート・ジャーナルに、麻生太郎副総理が述べた言葉によって、裏うちされている。麻生は「参院選で安倍政権が信任された時、首相の関心はおそらく経済から教育改革と憲法改正に向うだろう」と言っていた。要するにボクの持論通りなのだ。“経済”とか“景気”とかいうものは、あくまで人気(支持率)を高めるための道具であり、本当の目的は教育と憲法を変えて、「強い日本」をつくる事なのである。この鎧を衣の下に隠した、安倍晋三は恐ろしい男なのだ〉(「週刊現代」13年6月22日号)
しかし、巨泉氏の警告も虚しく、「アベノミクス」を釣り餌に圧倒的な議席数を獲得した安倍政権は横暴な国会運営を開始。周知の通り、昨年はまともな議論に応じず、国民の理解を得られぬまま安保法制を強行採決させてしまった。
そんな状況下、巨泉氏は「週刊朝日」(朝日新聞出版)15年9月18日号で、自身の戦争体験を語っている。1934年生まれの彼が実際にその目で見た戦争は、人々が人間の命をなにものにも思わなくなる恐ろしいものだった。それは安倍政権や、彼らを支持する者たちが目を向けていない、戦争の真の姿である。
〈何故戦争がいけないか。戦争が始まると、すべての優先順位は無視され、戦争に勝つことが優先される。昔から「人ひとり殺せば犯罪だけど、戦争で何人も殺せば英雄になる」と言われてきた。
特に日本国は危ない。民主主義、個人主義の発達した欧米では、戦争になっても生命の大事さは重視される。捕虜になって生きて帰ると英雄と言われる。日本では、捕虜になるくらいなら、自決しろと教わった。いったん戦争になったら、日本では一般の人は、人間として扱われなくなる。
それなのに安倍政権は、この国を戦争のできる国にしようとしている。
(中略)
ボクらの世代は、辛うじて終戦で助かったが、実は当時の政治家や軍部は、ボクら少年や、母や姉らの女性たちまで動員しようとしていた。11、12歳のボクらは実際に竹槍(たけやり)の訓練をさせられた。校庭にわら人形を立て、その胸に向かって竹槍(単に竹の先を斜めに切ったもの)で刺すのである。なかなかうまく行かないが、たまにうまく刺さって「ドヤ顔」をしていると、教官に怒鳴られた。「バカモン、刺したらすぐ引き抜かないと、肉がしまって抜けなくなるぞ!」
どっちがバカモンだろう。上陸してくる米軍は、近代兵器で武装している。竹槍が届く前に、射殺されている。これは「狂気」どころか「バカ」であろう。それでもこの愚行を本気で考え、本土決戦に備えていた政治家や軍人がいたのである。彼らの根底にあったのは、「生命の軽視」であったはずである〉
しかし、立憲主義を揺るがすような国会運営をし、メディアに圧力をかけて「報道の自由度ランキング」が72位にまで下がるほどの暗澹たる状態に成り果てたのにも関わらず、先の参院選では改憲勢力が3分の2を超えれば遂に憲法改正に手がかかるという状況になった。
そんななか、巨泉氏の体調は悪化。3月半ばごろから体力の落ち込みがひどく、4月には意識不明の状態に陥り2週間ほど意識が戻らなくなったことで、5月からは集中治療室に入っていた。そして、前述した「週刊現代」の連載も、4月9日号を最後に休載となっていたのだが、家族の助けを受けて何とか書き上げたのが、7月9月号掲載の最終回。ここで巨泉氏は本稿冒頭で挙げた〈安倍晋三に一泡吹かせて下さい〉という「最後のお願い」を読者に投げかけたのだ。
だが、残念なことに改憲勢力が3分の2を越え、現在政権は選挙中に争点隠しをつづけていたのが嘘のように、したたかに憲法改正への動きを進めようとしている。最後の最後まで、平和を希求するメッセージを投げかけつづけた巨泉氏の思いを無駄にしないためにも、我々は政権の悪辣なやり方に断固としてNOを突きつけつづけなくてはならない。
〈「戦争とは、爺さんが始めておっさんが命令し、若者たちが死んでゆくもの」。これは大林素子さんの力作「MOTHER 特攻の母 鳥濱トメ物語」の中で、特攻隊長が、出撃してゆく隊員に、「戦争とは何か」を告げるセリフであった。
現在にたとえれば、「爺さん」は、尖閣諸島の国有化のタネをまいた石原慎太郎維新の会共同代表だろう。「おっさん」は当然、“国防軍”を平気で口にする安倍晋三首相である。彼らはおそらく死なない筈だ。扇動したり、命令したりするだけで、自分達は安全なところに居る。前の戦争の時もそうだった。そして実際に死んでゆくのは、罪もない若者なのだ。それを知っていたからこそ、9条改正に6割以上の若者が反対しているのである。おそらく前の戦争のことは、学校で教わったに違いない。安倍政権は、この“教育”さえも改悪しようとしている。怖ろしい企みである〉(「週刊現代」13年5月11日・18日合併号より)
(新田 樹)
巨泉さんの死亡した日にちが
記されてなかった
(拙稿「【訃報】 大橋巨泉さん、畏友、永六輔の後を追って大往生だな」の記事、資料参照。*http://blog.goo.ne.jp/nrn54484/e/b84f949daf8fbaf1226973911e226f35)。
命日にわざわざ気が回らないほどの
「巨星、落つ」
という事件そのものだった証だな。
参考までに、
命日を推察する
ツイートを紹介する。
非自公民の脱原発に一票(しろ) @xciroxjpさん、発信だ。
――"大橋巨泉、10日の参院選の結果を見て死んだんだね。
10日は意識はあったんだろう。
11日朝に自宅で体調が悪くなった…
大橋巨泉も参院議員だった。
米国の同時多発テロの時「米国を支持する」と文言にあった国会決議に
民主党議員として只一人反対。知識人だった。"〔1:32 - 2016年7月21日 〕——
彼の命日は失念しても
残された
彼の
「一つだけは書いておきたい。
安倍晋三の野望は恐ろしいものです。
選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さい」
(毎日新聞記事。下記〔資料〕)
という遺言は、
忘れまじ。
転載元:非自公民の脱原発に一票(しろ)@xciroxjpさんのツイート〔1:56 - 2016年7月21日 〕
この遺言を巡って、
東京新聞に記事が掲載された。
こんな内容だ。
さとしん/Shin Sato/佐藤伸@shinsato0130さんが
「遺言、多くに人に届け」と
ツイート〔6:31 - 2016年7月21日 〕に
記しておられる。
僕も
そう思う。
<追記>
やっと命日が特定できるようになった。
リテラによれば、
今月12日に急性呼吸不全で亡くなっていたとのことだ
(下記〔資料-2〕参照)。
2016年7月22日未明 記
〔資料〕
「牧太郎の青い空白い雲 /578 巨泉の遺言『選挙民をナメてる安倍に一泡吹かせる!』」
毎日新聞(2016年7月7日)/サンデー毎日(7月17日号)
☆ 記事URL:http://mainichi.jp/sunday/articles/20160707/org/00m/070/002000d
新聞の片隅にちょこんと載った記事が、本当は大ニュース!ということがある。
「20代の独身男女のうち、結婚したい人の割合が3年前と比べて男性で約28ポイント、女性で約23ポイントと大幅に減少した」
という小さな記事だ。本来ならば、一面トップでもおかしくない記事ではないか。
明治安田生活福祉研究所という小さな組織の調査結果なので、小さな扱いなのか? あるいは、権力が「圧力」をかけて地味な扱いにさせているのか?
記事によると、調査は今年3月、恋愛と結婚をテーマに全国の20~40代の男女を対象にインターネットで実施。約3600人が答えている。
20代では「できるだけ早く結婚したい」「いずれ結婚したい」という回答が、男性で3年前の67・1%から38・7%に激減している。女性は82・2%から59・0%になっている。男性は3人に2人が結婚を諦めている。
独身でいる理由は、男性は「家族を養うほどの収入がない」が最も多い。女性は「結婚したいと思える相手がいない」。
これは、男性の経済力に直結している。
20~30代の未婚女性の半数以上が結婚相手に「年収400万円以上」を望んでいるのに、実際にこの収入がある20代男性は15・2%しかいない。
要するに、この3年間に若者は「貧乏で結婚できない」と諦めているのだ。
結婚できなければ、少子化対策も意味がないじゃないか?
× × ×
参院選の投票まで1週間をきった。
自民圧勝を予測するメディアも多い。それはそれでよい。当たるも八卦(はつけ)、である。問題は参院選がフェアに行われているか?である。正直に言えば、アンフェアである。与党と一部メディアは参院選の争点を隠している。
憲法改正が最大の争点なのに、なぜか隠す。
前回、このコラムで書いたのだが舛添騒動、その後に起こった英国のEU離脱の陰に、安全保障、武器輸出……日本の武器が他国の人間を殺すかもしれない、という差し迫った問題を隠している。
そして、「若者が抱える諸問題」も安倍さんは隠している。
貧しくて結婚できない!
それを解消するには「派遣労働の禁止」以外にない。 派遣に就く若者は年々増え、長年働いても給料は増えない。年金も掛けられない。戦前の“女工哀史”に似ている状態だ。
であれば、選挙の争点の一つは「派遣労働」のはずだが、これを隠しているのだ。
「2018年問題」をご存じだろうか?
この頃(英国のEU離脱もあって)、リーマン・ショック級の就職氷河期が再来するだろう。大学を卒業しても「仕事」がない!という深刻な問題が存在するのに……安倍さんはアベノミクスが成功した!と嘘(うそ)を言い続ける。
× × ×
話が変わる。
がんで闘病中のタレント、大橋巨泉さん(日大一高の先輩)が5月下旬から集中治療室に入っているらしい。体重は43キロ以下に激減し、歩けないらしい。
6月27日発売の『週刊現代』のコラム「今週の遺言」で、彼は「何時(いつ)まで生きられるかわからない」と書き、計930回にわたって続けてきたコラムを終了した。後輩の当方、残念でならない。
その巨泉さんの「最後の遺言」は……。
「一つだけは書いておきたい。安倍晋三の野望は恐ろしいものです。選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さい」
巨泉先輩だけでなく、「まっとうな日本人」は安倍晋三のドス黒い野望に気がついているはずなのだが?
さて、参院選の結果は一体どうなるのだろう。
◆太郎の青空スポット 話題のグランピング
自分でテントや道具を用意することなく、設備の整った施設で快適にキャンプを楽しみ、同時にホテルのようなサービスを受けられる。寝袋ではなくて、エアコン付きでベッドで眠る。まったく新しい形のキャンプスタイル「グランピング」がこの夏、流行の気配だ。6月29日に、京都で初めてのグランピング施設「GRAX(グラツクス)」がオープン。徒歩5分の所に温泉。温泉に入れるキャンプ場は“青空ホテル”のようなものだ。
問い合わせ=るり渓温泉(京都府南丹市)電話0771―65―5001
毎日新聞夕刊にコラム「大きな声では言えないが…」を連載中(大阪本社版を除く)
■人物略歴
まき・たろう
1944年生まれ。毎日新聞に入社後、社会部、政治部を経て『サンデー毎日』編集長に。宇野宗佑首相の女性醜聞やオウム真理教問題を取り上げる。現在、毎日新聞客員編集委員。ブログに「二代目・日本魁新聞社」がある
(サンデー毎日2016年7月17日号から)
〔資料-2〕
「大橋巨泉の遺言「安倍晋三に一泡吹かせて下さい」がテレビの追悼特集でことごとくカットに! その政権批判を改めて聞け」
リテラ(2016.07.21.)
☆ 記事URL:http://lite-ra.com/2016/07/post-2432.html
以前より体調の悪化を心配されていたタレント・司会者の大橋巨泉氏が、今月12日に急性呼吸不全で亡くなっていたことが明らかになった。82歳だった。
本サイトでも以前、紹介したように、巨泉氏は「週刊現代」(講談社)7月9日号掲載の連載コラム「今週の遺言」最終回で、すでに病が身体を蝕んでいることを綴っていた。だが、それでも巨泉氏は〈このままでは死んでも死にきれない〉と綴り、直後に迫った参院選について、読者にメッセージを送っていた。
〈今のボクにはこれ以上の体力も気力もありません。だが今も恐ろしい事や情けない事、恥知らずな事が連日報道されている。書きたい事や言いたい事は山ほどあるのだが、許して下さい。しかしこのままでは死んでも死にきれないので、最後の遺言として一つだけは書いておきたい。安倍晋三の野望は恐ろしいものです。選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さい。7月の参院選挙、野党に投票して下さい。最後のお願いです〉
まさに、このメッセージが巨泉氏にとってほんとうに最後の遺言となってしまったわけだが、しかし、ワイドショーやニュース番組はこの巨泉氏の遺言をことごとく無視。ベテラン司会者としての仕事を紹介するに留め、『報道ステーション』(テレビ朝日)でさえ最後のコラムの〈今も恐ろしい事や情けない事、恥知らずなことが連日報道されている〉という部分までしか紹介しなかった。安倍首相について言及した部分まで報じたのは、『NEWS23』(TBS)だけだ。
たしかに、『11PM』(日本テレビ)や『クイズダービー』(TBS)、『世界まるごとHOWマッチ』(MBS)といった人気番組の司会を数々こなし、一方でお茶の間ロックやアングラ演劇などのサブカルチャーをテレビにもち込んだり、クイズバラエティを定着させたりといった巨泉氏の功績が大きいのは言うまでもないが、最後の遺言にも顕著なように、巨泉氏は自民党の強権性にNOの姿勢を貫きつづけた人であった。テレビはそこから目を逸らしたのだ。
巨泉氏といえば、民主党議員だった2001年に、アメリカの同時多発テロを非難し「アメリカを支持する」との国会決議に民主党でたった1人反対、戦争へ向かおうとする姿勢を断固拒否したエピソードが有名だが、すでにセミリタイア状態だった巨泉氏が政界へ進出しようとしたのは、そもそも当時人気絶頂だった小泉純一郎首相の進めようとする国づくりに対する危機感があった。
周知の通り、小泉首相は新自由主義的な政策を押し進め、この国は弱い者にとって非常に生きづらい国になってしまった。巨泉氏は「週刊現代」の連載コラムで小泉政権がつくったこの国の在り方をこう批判している。
〈冷戦終了以降、アメリカ型の新自由主義経済がわがもの顔の現在、それに歯止めをかける思想や組織の存在は必須なのである。でないと「負け組」や「新貧困層」が拡大し、その中からテロリズムが増殖するのである。(中略)小泉やハワードが目指しているのは、「強者の論理」でくくる社会。自由主義経済なればこそ、弱者のための政党や組合は必要なのだ。何万人とリストラする大企業に対し、個人でどう戦うのかね!?〉(「週刊現代」05年12月10日号より)
周知の通り、その後、巨泉氏は議員を辞職し、再びセミリタイア状態に戻る。カナダ、オーストラリア、ニュージーランドを転々とする悠々自適な生活を送るのだが、第二次安倍政権の時代に入ると再び社会的なメッセージを発信するようになっていく。それは、安倍首相は経済を最優先にすると口当たりのいいことを言っているが、その本音は憲法を変えて国民から権利を奪い、日本を再び戦争ができる国へと戻そうとしていることを見抜いていたからだ。
〈彼にとって「経済」はムードを煽る道具に過ぎず、本当の狙いは別のところにあるからだ。(中略)
安倍は先日、「国づくり」に関する有識者会議で、「ふるさと」や「愛国心」について熱弁をふるった。曰く、「日本人は生れ育った地を愛し、公共の精神や道徳心を養って来た。ふるさとをどう守ってゆくかを考えて欲しい」。見事なウソツキと言う他ない。(中略)
「公共の精神や道徳心」を強調することで、現憲法が保障してくれている、「個人の権利(人権)」に制限を加えたくて仕方がないのだ。それでなくても「知らしむべからず」なのに、もっと制限を加えて、政権の思う通りにあやつれる国民にしたいのである。そのためには現在の憲法が邪魔なので、これを改正するために、まず人気を取り、その勢いで改正してしまおうという訳だ。(中略)
そもそも憲法とは、国民が守るの変えるのという法律ではない。国家権力(時の政府)の公使を制限するためにあるものだ。軍部が暴走して、数百万人の国民の命を奪った戦前戦中のレジームへのタガとして現憲法は存在する。それを変えて戦前への回帰を計る現レジームは、禁じ手さえ使おうとしている。止めようよ、みんな〉(「週刊現代」13年5月4日号より)
巨泉氏はさらにこのようにも語っている。
〈ボクの危惧は、4月にウォール・ストリート・ジャーナルに、麻生太郎副総理が述べた言葉によって、裏うちされている。麻生は「参院選で安倍政権が信任された時、首相の関心はおそらく経済から教育改革と憲法改正に向うだろう」と言っていた。要するにボクの持論通りなのだ。“経済”とか“景気”とかいうものは、あくまで人気(支持率)を高めるための道具であり、本当の目的は教育と憲法を変えて、「強い日本」をつくる事なのである。この鎧を衣の下に隠した、安倍晋三は恐ろしい男なのだ〉(「週刊現代」13年6月22日号)
しかし、巨泉氏の警告も虚しく、「アベノミクス」を釣り餌に圧倒的な議席数を獲得した安倍政権は横暴な国会運営を開始。周知の通り、昨年はまともな議論に応じず、国民の理解を得られぬまま安保法制を強行採決させてしまった。
そんな状況下、巨泉氏は「週刊朝日」(朝日新聞出版)15年9月18日号で、自身の戦争体験を語っている。1934年生まれの彼が実際にその目で見た戦争は、人々が人間の命をなにものにも思わなくなる恐ろしいものだった。それは安倍政権や、彼らを支持する者たちが目を向けていない、戦争の真の姿である。
〈何故戦争がいけないか。戦争が始まると、すべての優先順位は無視され、戦争に勝つことが優先される。昔から「人ひとり殺せば犯罪だけど、戦争で何人も殺せば英雄になる」と言われてきた。
特に日本国は危ない。民主主義、個人主義の発達した欧米では、戦争になっても生命の大事さは重視される。捕虜になって生きて帰ると英雄と言われる。日本では、捕虜になるくらいなら、自決しろと教わった。いったん戦争になったら、日本では一般の人は、人間として扱われなくなる。
それなのに安倍政権は、この国を戦争のできる国にしようとしている。
(中略)
ボクらの世代は、辛うじて終戦で助かったが、実は当時の政治家や軍部は、ボクら少年や、母や姉らの女性たちまで動員しようとしていた。11、12歳のボクらは実際に竹槍(たけやり)の訓練をさせられた。校庭にわら人形を立て、その胸に向かって竹槍(単に竹の先を斜めに切ったもの)で刺すのである。なかなかうまく行かないが、たまにうまく刺さって「ドヤ顔」をしていると、教官に怒鳴られた。「バカモン、刺したらすぐ引き抜かないと、肉がしまって抜けなくなるぞ!」
どっちがバカモンだろう。上陸してくる米軍は、近代兵器で武装している。竹槍が届く前に、射殺されている。これは「狂気」どころか「バカ」であろう。それでもこの愚行を本気で考え、本土決戦に備えていた政治家や軍人がいたのである。彼らの根底にあったのは、「生命の軽視」であったはずである〉
しかし、立憲主義を揺るがすような国会運営をし、メディアに圧力をかけて「報道の自由度ランキング」が72位にまで下がるほどの暗澹たる状態に成り果てたのにも関わらず、先の参院選では改憲勢力が3分の2を超えれば遂に憲法改正に手がかかるという状況になった。
そんななか、巨泉氏の体調は悪化。3月半ばごろから体力の落ち込みがひどく、4月には意識不明の状態に陥り2週間ほど意識が戻らなくなったことで、5月からは集中治療室に入っていた。そして、前述した「週刊現代」の連載も、4月9日号を最後に休載となっていたのだが、家族の助けを受けて何とか書き上げたのが、7月9月号掲載の最終回。ここで巨泉氏は本稿冒頭で挙げた〈安倍晋三に一泡吹かせて下さい〉という「最後のお願い」を読者に投げかけたのだ。
だが、残念なことに改憲勢力が3分の2を越え、現在政権は選挙中に争点隠しをつづけていたのが嘘のように、したたかに憲法改正への動きを進めようとしている。最後の最後まで、平和を希求するメッセージを投げかけつづけた巨泉氏の思いを無駄にしないためにも、我々は政権の悪辣なやり方に断固としてNOを突きつけつづけなくてはならない。
〈「戦争とは、爺さんが始めておっさんが命令し、若者たちが死んでゆくもの」。これは大林素子さんの力作「MOTHER 特攻の母 鳥濱トメ物語」の中で、特攻隊長が、出撃してゆく隊員に、「戦争とは何か」を告げるセリフであった。
現在にたとえれば、「爺さん」は、尖閣諸島の国有化のタネをまいた石原慎太郎維新の会共同代表だろう。「おっさん」は当然、“国防軍”を平気で口にする安倍晋三首相である。彼らはおそらく死なない筈だ。扇動したり、命令したりするだけで、自分達は安全なところに居る。前の戦争の時もそうだった。そして実際に死んでゆくのは、罪もない若者なのだ。それを知っていたからこそ、9条改正に6割以上の若者が反対しているのである。おそらく前の戦争のことは、学校で教わったに違いない。安倍政権は、この“教育”さえも改悪しようとしている。怖ろしい企みである〉(「週刊現代」13年5月11日・18日合併号より)
(新田 樹)
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