のんきに介護

母親と一緒の生活で、考えたこと書きます。

チョコレートとみかん、どっちが好み?

2010年01月31日 22時35分46秒 | Weblog
お袋が入室している部屋は、ナ―スセンターに近いです。

病状が重く、寝たきりの人が遠くに置いておけないからでしょう。

しかし、患者入室の振り分け基準は、病気の程度ばかりではないようです。

病院への注文の多寡も影響している

ということが看護婦さんの説明から分かりました。

数日前、他ならぬお隣りにご家族さんが来られたときです。

「昼夜関係なしにナースコールされるんですよ。それでは

他の患者さんの病状に響きますし、嫌がられましてね、部屋を移って頂きました」

というお話が・・・聞こえてきました。

聞く気がなくとも聞こえるのですよ、これがまた。

確かに、お隣さんは、

何回鳴らしたら気が済むんや

というぐらいナースコールを頻繁にされます。

今日、お見舞いに見えたご家族さん、息子さんでしょうか、

お母さんらしき人を相手に「このボタン押すと、看護婦さんが来てくれる。

水を飲みたいときや何か用があるとき、このボタンを押しや」

と念を押してました。

思わず僕は、

何日か前、看護婦さんから「この方は、ナースコールを押しすぎるんですよ」

という指摘をされたばかりやろと、内心、毒づいてしまいました。

・・・ご家族さんは、看護婦さんはナ―スコールの度に遠くまで駆けつけるのがイヤ・・・

だからこんな部屋の移動をした・・・という風に考えられたのかもしれません。

しかし、それは違うのです。

なぜ、そう断言できるかというと、じっと僕は同室にいて、

数回は無条件で来てくれた看護婦さんも、

度重なると間を置かれるということを、よく知っているからです。

このように、看護婦さんとしては、ナースコールが何度鳴らされようが

知らぬ、存ぜぬで済ますことが出来るのです。

だから、他の患者さんからクレームが殺到したという話は多分、事実でしょう。

3時頃から、

「お腹が減った」という訴えが始まります。

(まだ3時間ある・・・)

初めは僕も同情してました、認知症の方なのかもしれないしね。

看護婦さんが丁寧な応対をしている内は、ほぼ5分か10分間隔で同じ訴えをします。

これでは、いくら優しい看護婦さんでも

付き合ってられないだろうな、という方向へと気持ちが移りました。

それに認知症と言っても、そのような傾向があるという程度です。

僕のお袋など、記憶力が5秒と持たなかったですから、

それと比べると、何の障害もないに等しい人です。

問題は、ご家族さんです。

何が問題かって?

それはですね、同居しているのならば、

母親のこのような激しい食べ物へのこだわりを知っていらっしゃるだろうに、

たとえば、「認知症」の一言で済ましているのではないか、と推測される点です。

つまり、相手にしないということですね。

こだわりの強さに目が行っていながら、なぜかを考えようとしない、

理解しない、その代わり、

医療機関任せで「このボタンを押せ」はないと思います。

こんな支え方では本人が欲求不満に陥るだけでしょう。

本人は、ボタンを押したことを覚えています。

その証拠に最初、ほぼ5分か10分間隔だったものが

時間の経過とともに30分、1時間と押す間隔が規則正しく広がって行きました。

そして、僕の見立てが正しいとするなら、

恐らく無視されている感覚は鮮明に残っているはずです。

どうして分からないのだろう・・・

僕は、前に自分のブログで

お袋が甘い物を欲しがったとき、

欲しがるだけ食べさせる
と書きました(直截的ではありませんが)。

今また、同じ状況に置かれたら同じようにするでしょう。

ただそれは、夕食のときを含め、いろいろ食べ物を用意したけれど、

本人が結果的に甘い物だけを摂取したと言うに過ぎません。

言いたいことの中心は、

欲求を阻止するようなことをすると逆効果ですよ、ということです。

隣りの患者さんの本当の欲求は、

ご家族に対し、当然、求めていいはずの敬意だろうと感じました。

そこが満たされていないため、代償として食べ物に固執されるのではないでしょうか。

昨日、こんなことがありました。

お隣に娘さんらしい人がお見舞いに訪れて来られました。

滞留時間は、約30分。ずっとチョコレートの話をされてました。

大体、こんな風に対話が始まりました。

「何も食べられへんようになったな」と娘さん。

「そうやな」

「お兄ちゃんがな、夜、ミカン持ってくる言うてたわ。

私も何か持ってきてあげたかったんやけど・・・お兄ちゃんとの約束やねん。

持っていったらアカン言うことになってんねん」

「・・・」

「昔は、ほんとよう食べたな、チョコレートとか」

「チョコレートは、アメリカもんがよかったな」

「そうかな。ロッテの『ガーナ』、あれ、おいしいで」

この辺りで止めればいいものを、娘さんは、

「実は、ここにあんねん」とバッグを開いて中を見せているようでした。

「ごめんな。お兄ちゃんとの約束があるからな。

夜、お兄ちゃんにミカン食べさせてもろて」

と言葉を付け足し、またチョコレートの話の続き。

そしてまた、区切りがつく度に、

「ごめんな。お兄ちゃんとの約束があるからな。

夜、ミカン食べさせてもろて」と言って聞かせていました。

チョコレートの話をさんざん聞かされて、ミカンなど食べられるものかと思いました。

しかし、何もないよりマシ・・・かもしれません。

なのに残酷なことには、お兄ちゃんは、その夜、姿を見せなかった可能性があります。

今日、おいでの方がお兄ちゃんらしく思われました。それからすると、

昨日は来なかった・・・ということになるのではないでしょうか

(二日連続では来そうにない、という風に見えました)。

しかも手ぶらの様子でした。

食べ物の持ち込みは、禁止です。ルールを守られたのでしょうか。

それはそれで仕方ないとして――

しかし、兄妹間で取り決めた約束はどうなったん???

人ごとながら気になりました。


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2 コメント

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Unknown (takae)
2010-02-02 00:05:39
病院それぞれ違うかもしれませんが、

忠太さんの所には、ヘルパーさんなど付き添い可能なんですか?

必要以上のナスーコールるするのならヘルパーさんをお願いしてみるのもいいのでは、と思った。

でも毎日こられないけどお見舞いに来られているのなら幸せなのかもしれませんね。

以前、私の両親共に 病院に入院している方の散髪をしに言った事があり、家族の方が1度もお見舞いに来ない方がいて、病院としても可哀相だと思い○月×日に床屋さんが来るので、宜しければ、病院に来てくださいとお願いしないとお見舞いにこないご家族もいるそうです。
今は、私ではなく旦那さんがいっています。
旦那さんは、赤の他人ですが、毎月散髪にいくのだけどお見舞いにいっているようだといいながら、その日の出来事を話してくれます。

今回も長いコメントになってしまってごめんなさい。
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☆takaeさんへ (忠太)
2010-02-02 14:51:43
ヘルパーの病院への「送迎」の派遣申請は、可能です。しかし、「付き添い」となると、どの病院であっても、現行法上許されていません。(介護保険法第四章保険給付第三節介護給付参照。→http://homepage1.nifty.com/greatforest/PH9l123.htm
もし、どうしてもということであれば、個人として業務を委託するしかないです。ただ、その場合は、ヘルパーではなく家政婦さんを雇ったことになります。

ところで、理髪業の方は、ある意味、精神的なサポーターもされているですね。コメントを読ませて頂き、そう感じました。
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