警戒心が強く、
他人様には容易に懐かない犬娘が、
ごくごく稀に、初対面の人に、
でれでれに懐いてしまうことがある。
散歩コースでときどきお会いする、
年輩女性Tさんが、そのひとり。
犬娘を介して道端で知り合ったのが、
もう8年以上も前なのに、
お名前を知ったのは、つい昨年だ。
昨日、バッタリお会いしたTさんから、
尋ねられた。
「最近、お父さまお母さま、
お見かけしないけど、お元気?」
実は…
父はさすがに高齢で寝たり起きたり。
母は年明けに圧迫骨折して、
今はかなり回復したんですけど、
まぁ、いろいろ大変です。
労らなきゃいけないんですけどね。
と、ちょっと愚痴まじりに近況報告
うんうん…と頷きながら、
聞いてくださってたTさん、
別れぎわに。
「でも、悔いのないようにね。
あとから、ああしてあげればよかったとか、
悔いが残るのがいちばん辛いからね」
ハッとした。
たしかに。そうかもしれない。
「悔いのないように」
山の湧き水を飲んだみたいに、
す〜っと胸に落ちた。
よし、これからは、
この言葉を指針にしよう。
Tさん…
さすが、ウソ発見器ならぬ、
「ウソ発見犬」の異名をもつ犬娘が
一瞬で信頼した人だ〜。笑。
「じゃ、またね〜」
スタスタ去ってゆくTさん
(母とほぼ同年代と知る。お若い!)に、
シッポを振る犬娘。
自分もシッポがあったら、
ブンブン振っていたに違いない