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のり屋のバーサン日記

落語に親しみ、犬猫と和む…
何でもないけど、めでたい毎日

1ヶ月かけて1冊の本を

2010-11-27 00:02:18 | 落語の資料
読みました。

『十代目 金原亭馬生 噺と酒と江戸の粋』
 石井徹也 編著(小学館刊)

今から30年近く前、
54歳の若さで亡くなった、
先代の金原亭馬生師匠(以下、先代)の評伝です。

お弟子さんたちはじめ、
新宿末広亭・当代の席亭さん、
娘で女優の池波志乃さん、
立川談志師匠らが
先代への愛を(ときには愛ある悪口を)
語っている。

あまりの面白さに、
速く読むのがもったいなくて、
わざと少しずつ読んでるうちに、
忙しくなって物理的に読む時間がなくなり…

結果、1ヶ月かかってしまった

ハッと心に響いた箇所に、
付箋を貼りながら読んでいたら、
本まわりがピロピロに。

のり屋のバーサン、
落語ファンなので、
先代の高座には接していません。

が、同級生に先代のお弟子である、
金原亭の噺家がいるおかげで、
今の金原亭一門には勝手に親しみを感じており、
年々、先代への関心も高まっていました。

「金原亭一門には、
 オレがオレが…って、しゃしゃりでるヤツはいない。
 それは師匠がそうだったから」

とは、
お弟子の雲助師匠、当代・馬生師匠らの言葉。

そう。
まさに、そうかも。

金原亭一門の高座に接したときの、
じんわりとした、あったかさ

お客をむりむりにネジ伏せて大笑いさせるような、
パンチはないけれど、
いつのまにか落語の世界に誘われて、
気づいたらクスクス笑いが止まらない…
あの感じ。

ときに物足りなく感じることも
なくはないけど…

この本を読んだ今は、思います。

あの奥ゆかしさが、金原亭なんだな

十八番ネタをつくらなかった代わり、
ほかの噺家が演じない珍しい噺、
新作も高座にかける、
「噺のデパート」みたいな師匠だったらしい。

文中には、
知らない演目もたくさん出てきた。

昨今、若手の柳家三三師匠が、
珍しい噺を次々と高座にかけて話題だけれど、
先代の馬生師匠の影響もあるのかも??

今の若手・中堅どころには、
先代に憧れている噺家が多いようだから。

バーサンも、
これからたくさんの落語を見て聴いて、
また改めて、この本を開いたら、
もっともっと付箋を貼りたくなるに違いない。

ずっと大切にしたい、
真の意味で「落語の資料」と呼べる、
魅力的な評伝です

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