noribo2000のブログ

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インターネットで選挙活動ができる公職選挙法改正案(1) ~議員立法の問題点 つづき~

2005年08月25日 | 政治・社会

インターネットで選挙活動ができる公職選挙法改正案を民主党が昨年の第159国会に提出しているが、一向に審議される気配が無い、ということを前回のブログで書きました。私なりの解消案を考えようと思ったのですが、非常にまとまった論文を見つけたので紹介します。

http://www5b.biglobe.ne.jp/~dai79/seidan.html

議員立法全般に対する問題点と改善策をまとめた論文であり、非常に読み応えがあります。この論文の中の中で、特に野党提出の法案審議に関する問題点について指摘している点をまとめました。

・予算委員会への全閣僚の出席義務
 これにより他の委員会に閣僚が出席できなくなり、予算委員会中は他の委員会が開催できない。これにより他の委員会の審議時間が不足してしまう。そうこうするうちに会期の終了を迎えてしまう。

・会期制と会期不継続の原則
 ご存知のとおり国会は通年で開催されるわけではなく、会期制を採っている。そして、会期中に審議が完了しない法案は継続審議扱いになら無い限り廃案となる。(ということは、民主党提出の公職選挙法案も今度の解散によって廃案?)これによって、野党が提出した法案の審議入りを引き伸ばし会期が終わるのを待つ、という与党側の戦術が成り立つ。また野党もこれを利用し、最初に審議した法案の審議を引き延ばし、他の政府提出法案を廃案にする戦略をとる場合もある。

・委員会提出法案の不透明性
 事前に非公式・非公開な場で根回しされ、全会派で一致した法案は、委員会で実質的な審議がされることもなく成立してしまう。当然公式の議事録に審議の経緯が載ることも無い。


キーワードは「時間」です。

時間が無いから審議できませんでした。」
時間が無いからいちいち委員会開けないので、裏でエイヤっと決めました。」

時間」を言い訳にして、または利用して、審議したくない法案を葬り去る/いつの間にか決めてしまう戦術が国会ではまかり通っています。

いいヒントをこの論文から頂きましたので、これをもとに国会を実質的な審議の場にする案をさらに練ってみます。


インターネットで選挙活動ができる公職選挙法改正案(1) ~議員立法の問題点~

2005年08月25日 | 政治・社会

ブログ党を提唱している私は、インターネットで選挙活動ができるような公職選挙法の改正案に注目しています。実は第159回通常国会(平成16年)にて、民主党から「公職選挙法の一部を改正する法律案」が提出されています。内容は下記のとおりです。

第一五九回
衆第三二号
   公職選挙法の一部を改正する法律案
 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の一部を次のように改正する。

(以下抜粋)
第百四十二条の三 前二条の規定にかかわらず、選挙運動のために使用する文書図画は、電子情報処理組織を使用する方法のうち次の各号のいずれかに該当するものにより、頒布することができる。

 一 当該文書図画を頒布しようとする者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、当該文書図画を当該受信者の使用に係る電子計算機の映像面に表示させる方法

 二 当該文書図画を頒布しようとする者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された事項を電気通信回線を通じ他人のアクセスに応じて送信し、当該文書図画を当該他人の使用に係る電子計算機の映像面に表示させる方法

平たくいうと、ホームページやブログなどを選挙期間中も自由に使うことを認める、ということになり、この法案(正確にはこの法案の中の上記の条文)を支持したいと思います。

昨年の通常国会に提出されたこの法案ですが、さて今はどうなっているでしょうか?

この法案は平成16年4月13日に衆議院で、翌14日に参議院の予備審査でそれぞれ受理されています。そして、平成16年6月11日に「政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会」に付託(そこの委員会で審議することが決定)されました。

その委員会での審議状況をチェックしました。

・平成16年6月16日 第159回国会 第3回委員会
 付託されたことの報告と、今回の委員会で採否を行わないことを確認して、散会。
 (参考: 委員会所要時間 3分)←うーん・・・

・平成16年7月30日 第160回国会 第1回委員会
 再度付託されたことの報告と、理事の選任を実施し、散会。
 (参考: 委員会所要時間 2分)←・・・

・平成16年8月4日 第160回国会 第2回委員会
 別な法案の審議
 (参考: 委員会所要時間 2時間44分)

・平成16年8月6日 第160回国会 第3回委員会
 閉会中審査(国会が休みのときでも必要があれば審議を継続できる)の了承を取り付け、散会。
 (参考: 委員会所要時間 3分)←・・・

・平成16年10月12日 第161回国会 第1回委員会
 三度付託されたことの報告と、理事の選任を実施し、散会。
 (参考: 委員会所要時間 4分)←・・・

・平成16年11月16日 第161回国会 第2回委員会
 別な法案の審議
 (参考: 委員会所要時間 1時間57分)

・平成16年12月1日 第161回国会 第3回委員会
 別な法案の審議
 (参考: 委員会所要時間 8分)←・・・

・平成16年12月3日 第161回国会 第4回委員会
 閉会中審査の了承を取り付け、散会。
 (参考: 委員会所要時間 3分)←・・・

・平成17年1月21日 第162回国会 第1回委員会
 またまた付託されたことの報告と、理事の選任を実施し、散会。
 (参考: 委員会所要時間 4分)←・・・

・平成17年6月8日 第162回国会 第2回委員会
 別な法案の審議
 (参考: 委員会所要時間 1時間14分)

・平成17年7月8日 第162回国会 第3回委員会
 別な法案の審議
 (参考: 委員会所要時間 2時間00分)

・平成17年7月15日 第162国会 第4回委員会
 別な法案の審議
 (参考: 委員会所要時間 2時間06分)

<平成17年8月8日に衆議院が解散>


これまで10時間28分の審議時間のなかで、一度も当法案については審議されませんでした。いつになったら審議が始まるのでしょうか?

このような野党の議員立法の現実については、民主党江田五月氏の著書(ホームページでも読むことができる)に詳しいです。(ちょっと古いかもしれませんが)

そこではいかにも形骸化した国会の委員会の様子が紹介されています。

・法案は委員会で審議しなければならないが、委員会の人数構成は各会派の議員数に比例するため、与党が過半数をとり、実質的には与党提出・政府提出の法案が優先的に審議され、可決される。野党法案がまともに審議されることは少ない。

・最も提出数の多い政府提出の法案についても、事前に自民党の政務調査会で審議されたものだけが提出される。実質的な審議は自民党内の非公開の政務調査会で官僚と自民党議員によって行われる。そこであらかた審議が済んでいるので、国会の委員会の場で自民党議員が法案の質問に立つことは少ない。

最近は議員立法を盛んにやろうという機運も高まっているので事態は良い方に向かっていると良いのですが、ドラスティックに変わっているわけでも無いので、公職選挙法の法案も十分審議されないまま否決になってしまうのではないかと危惧しています。

同じような法案が自民党や政府から出てくれば私はそれでも良いのですが、そのような気配は一向にありません。

実は政府は平成13年~14年にかけ、IT時代の選挙運動に関する研究会というものを立ち上げ、ホームページくらいなら使っても良いだろうと提言をまとめています。これを受け、選挙時もインターネットを使えるよう公職選挙法案を作っていたかもしれません。でも自民党の政務調査会が圧力をかけてその法案を潰した可能性もあります。自民にとっては、今のままで政権が維持できるなら、なるべく旧来の選挙手法のみで戦いたい、ということかもしれません。いずれにしても非公開なので我々には知るべくも無い状況です。

このような状況を何とか打破し、国会を実質的な審議の場にするための一案を今後のブログで紹介したいと思います。