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noriba-ba's garden

ターシャ・テューダーの庭を訪ねる旅(その2)

「ターシャの庭を訪ねる旅」の続きである。

 

いよいよ、憧れのターシャが晩年まで暮らしていた

あの、屋敷の中へ足を踏み入れる。

 

前述したように撮影禁止だったので

ここから先は私の記憶を頼りに書き進めるしかない。

 

私たちのグループは

ターシャの長男セスの説明を聞きながら

まずはリビングルーム、続いて台所を見て回った。

何度もビデオで見たことがあるので

初めて来たような気がしない。

 

ターシャが愛用していた机やロッキングチェアー。

描きかけの花のデッサンノートに手作りのファブリックの数々。

実際にターシャが使っていた

カップボードのティーカップや壁にかかった調理器具。

台所の奥の部屋に並べられたスパイス類の保存ビン。

ドアに貼り付けられた直筆の覚え書きメモ類。

そして、庭が見える窓辺に置かれた素朴な花瓶に

さりげなく生けられた可憐な花たち。

 

私にはそれらが

薄暗くつましい室内の中で

あたかも特別なオーラを放っているかのように

息をのむほど美しく輝いて見えた。

その一つひとつに

在りし日のターシャの息遣いが感じられ

今なお、そこにターシャが暮らしているような

そんな不思議な感覚だった。

 

2階には古くからの友人を迎えるためのゲストルーム。

さらに1階の奥まったスペースには

ものづくりに使う材料のストックルーム。 

そして、その奥にはあえて古い形式を取り入れたと

思われるバスルームとトイレット。

 

普通なら誰もが公開をためらうはずの

こうしたプライベートな空間まで

余すところなく私たちに見せてくれようとする。

そこにターシャファミリーの意志と覚悟のほどを感じた。

 

そのことを如実に示しているのが

屋敷の中で最後に案内されたターシャの寝室だ。

2008年6月18日に、彼女はこの部屋で

愛する家族に看取られながら永遠の眠りについた。

 

最後の時を過ごした天蓋付きのベッドからは

大好きな庭が3方向の窓越しに見えるようになっており

ベッドもベッドカバーも、調度品や家具も

その当時のままに保存されていた。

まるでターシャが安らかに息を引き取った時から

時計が止まってしまったかのように…。

 

私にとってターシャ・テューダーは

ナチュラルガーデンを始めるきっかけを与えてくれた人であり

大好きな絵本作家であり

生き方のお手本を示してくれた人でもある。

その憧れの人が永遠の眠りについた最後の場所に

こうして立っていることが信じられなくて

厳粛な気持ちで

しばし呆然と佇んでいた。

 

続きは後日…。


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